テレワークにおける労働問題
おはようございます。弁護士の檜山洋子です。
3日も休みがあると思っていたのに、あっという間に最終日になってしまいました。おかげさまで、すっかり元気を取り戻し、明日からの仕事は頑張れそうです。
最近はWeb会議も増えてきているので、大阪にいなくても仕事を続けられるかもしれないと、少しだけ移住の誘惑に駆られてしまいましたが、多分大阪に戻ったらやっぱり大阪が落ち着くわぁと思って元の生活に戻るんでしょうね。
ワーケーションみたいなのは私には向かないようです。
しかし、世間ではテレワーク等の活用により、勤務形態の自由化が進んでいます。
テレワークの方が効率がいいとか、出勤して対面で話をしないとコミュニケーションが図れないとか、いろんな立場での議論が交わされますが、二者択一ではなく、時と場合によっていろんな形態を選択できる制度があるといいですね。
平成30年のテレワークガイドライン
厚生労働省は、テレワークについて、平成30年2月22日に、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(平成30・2・22基発0222第1号、雇均発0222第1号)を策定しました。
このガイドラインでは、テレワークについて、以下のようなメリットが指摘されています。
【労働者にとってのメリット】
働く時間や場所を柔軟に活用することが可能
通勤時間の短縮とそれに伴う精神的・身体的負担を軽減できる
仕事に集中できる環境での就労で業務を効率化でき、それに伴って時間外労働を短縮できる
育児や介護と仕事の両立をしやすくするなど、仕事と生活の調和を図ることが可能となる
【使用者にとってのメリット】
業務効率化で生産性向上を目指せる
育児・介護を理由とした労働者の離職を防止できる
遠隔地の優秀な人材を確保できる
オフィスコストを削減できる
平成30年ガイドラインの指摘するテレワークにおける労働時間の把握及び管理
平成30年のガイドラインは、テレワークを通常の労働時間制に服する場合と事業場外労働のみなし労働時間制に服する場合とにわけて、それぞれの労働時間の把握と管理について次のように説明しています。
通常の労働時間制に服する場合
通常の労働時間制の場合は、会社に出勤していようがテレワークだろうが、使用者は労働者の労働時間を適正に把握する義務があります。
その場合、使用者は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に従うと良いでしょう。
事業場外労働のみなし労働時間制に服する場合
使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難なときは、事業場外労働のみなし労働時間制が適用されます。
具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な場合とは、以下のような場合です。
① 情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと
② 随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと
テレワーク実施には会社のルールを定めておくこと
一気に広まったテレワークですが、実際にはルールが定まっていないことも少なくありません。
しかし、テレワークを労使共にメリットとなりうる制度として運用し活用するには、事前にしっかりとしたルールを定めておくことが大切です。
労働者間に不平等な扱いがないようにすること、そしてテレワークが不要になったときにはいつでも出社を命じることができるよう、しっかりとしたルールを定めておくようにしましょう。