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人権デューディリジェンスで大切な情報の開示
おはようございます。弁護士の檜山洋子です。
怒濤の週末が終わりました。
来月頭まではまだまだ予定がギュウギュウで身動きが取れそうにありませんが、なんとかひと山超えました。
しかし、まだ高くて険しい山々を超えなくてはならないので、息継ぎしながらなんとかがんばるしかないです。
さて、今日は人権デューディリジェンスに欠かせない情報の開示について書きます。
人権デューディリジェンスは、自社がビジネスを行う上で問題となりうる人権課題を抽出してそれを解決していくプロセス全体のことをいいますが、解決するに当たって大切な役割を果たすのが「情報の開示」です。
自社が人権デューディリジェンスに取り組んでいて、どんな人権課題を重要視しているかについて、まずは社内の役員や従業員全員に知ってもらう必要があります。
当然、現実には100%人権課題を把握できているわけではないでしょうし、把握している課題について解決に向けた取り組みが完璧にできていることも多くないでしょう。
そもそも人権課題が全て解決されているとか、完全に対処できているような会社なら、人権デューディリジェンスに取り組む必要はないのでしょうが、日々変化する人間が日々変化する事業活動に携わっていれば、人権課題の1つや2つは出てくるはずです。
しかも、その課題はどんどん新しいものに置き換わっていくはずです。
ですから、今経営者が把握できている人権課題を社内に公表することで、経営者の人権に対する熱意を従業員に伝えることができますし、もし把握できていない人権課題があれば従業員の方から意見を出してもらって経営者がそれを把握することもできます。
解決方法についても、経営者本人が考えているより、良い方法が従業員側から出てくるかもしれません。
さらに、社外に対しても人権課題への取組みの意思と取組状況について公表しましょう。
取引先が見ていることもあるでしょうし、何より、就職活動中の人たちは通常、人権を尊重してくれる会社を好むはずですから、良い人材が入社を希望してくれる可能性が高まります。
そして、情報開示で大切なのは、取組開始時の意思の表明だけでなく、課題の取組状況について、達成できているか、できていないとしてもどの程度まで達成できているか、取組みの開始すらできていない理由は何か、などについて開示することです。
目標を数値で設定しておけば、達成度を分かりやすく説明することが可能です。
なんでもかんでも数値で評価することは難しいかもしれませんが、何らかの数値を設定することは可能だと思います。
ただし、設定した数値が一人歩きして、その数値をクリアしたから課題達成!と簡単に結論づけてしまうようなことがないようにしましょう。
課題の取組状況を開示することは、最初は抵抗があるかも知れませんが、それも人権デューディリジェンスの大切な一要素であると認識して意識的に行うようにしてください。