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腎臓結石の夜。

数日前の夜11時頃。
夕方からタクシーの仕事に出て、10人目くらいのお客を乗せた後、コンビニに寄った。
飲み物を買って車に戻った途端、右の脇腹が強烈に痛み出した。
痛いなんてもんじゃない。
脇腹の中を魔物の手によってぎゅーっと掴まれているような感覚。
動くことができない。
私はまずいと思った。
経験のある痛み。
それは、10年前、同じくタクシーの仕事中に経験したあの痛みだった。
間違いない。
腎臓結石だ。

10年前の夜、私は仕事中に同じ痛みに襲われ、何とか会社まで辿り着いたが、あまりの痛さに救急車を同僚に呼んでもらった。
納金は内勤の人に任せ、洗車も同僚に変わってもらった。
けたたましいサイレンの音とともに救急車が到着し、私は横浜市内の病院まで運ばれて行った。
そして腎臓結石という診断が下りて、応急処置を受けることになったのだ。

今回もあの時と同じ痛みだ。全身汗でびっしょりになる。
吐き気もする。
何とか呼吸を落ち着け、運転席の背もたれを倒して、痛みのない体勢で横になろうと試みる。
しかし、どちら側を向いても痛みは変わらない。
魔物の手が、私の脇腹の奥深くをギュッギュッと掴みまくる。
クソーッ。ただでさえ高血圧を抱え体調が悪いというのに、弱り目に祟り目とはこのことだ。
私は、どうすることもできず、ただひたすら呼吸を整えるしかなかった。
それでも10分ぐらい横になっているうちに、少しずつ痛みが薄らいできた。
よし、今しかない。
私はコンビニの駐車場から車を出し、会社へ向かい、何とかたどり着いた。そして仕事を終えることにした。
痛みは再びやってくると思われた。
私は10年前と同じように納金を済ませ、同僚に洗車を変わってもらうように連絡した。
そして、仮眠室で横になった。

救急車は呼ばなかった。
救急車で運ばれたとしても、そこで応急処置を受けるだけだ。
家の近くに腎臓関連の専門病院があるので、朝になったらそこに行こうと思った。その方が絶対にいい。
夜中に一度、大きな痛みが襲って来たが、持っていた痛み止めを飲んで何とか耐えた。

結局その日の売り上げは1万円だった。
最悪の売上げ。
まあ仕方がない。痛みが原因で事故ったりしたらとんでもないことになる。
今は仕事を中断し、体のケアを優先させた方がいい。

次の朝、私は家に帰り、すぐに近くの病院へ行った。
その病院は、人工透析などを行っている総合病院で、日頃から使っている。
待ち時間もなく、私はすぐに診てもらえた。
CT検査を行い、すぐに結果がわかった。
前回と同じ腎臓結石だった。 正しく言えば、尿管まで石が下りて来ているので、尿管結石だ。
CTの画像で判断すると、右の尿管に直径4ミリほどの石があるということだった。
これが原因で尿が流れにくくなり、痛みが生じていると医師から説明を受けた。
何はともあれ原因が分かったので私は少し安心した。
尿管結石以外に悪いところはないということだった。
私は、飲み薬と座薬をもらって帰ってきた。

私は1日だけ休んで、次の日から仕事に出た。
結石の痛みは一週間ほどでなくなった。
おそらく、石は尿と一緒に外に出たのだと思われる。

タクシーをやっていると、ずっと座りっぱなしなので運動不足になりがちた。それが原因で内臓系の病気になることが多いと思う。
私は血圧も高いので、食生活など健康には気をつけてきたつもりだったが、どんなに気をつけても何処かにしわ寄せが出るものだ。

 これからも、自分の体を大事にして、タクシーの仕事を続けたいと思う。
健康でいることが一つの財産 なのだ。

私は、腎臓結石の他にも、数年前に大きな病気をした。
命を落とすような危険な病気だったが、それについては、また別の機会にお話ししたいと思う。

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