タクシーは、何歳まで出来るのか?
私がタクシーを始めたのは、 2003年の10月だから約20年になる。
20年というのはそれなりに長い年月だ。
41歳で始めて、 今はもう62歳になっている。
私は、ひとつの仕事を5年以上続けたことがなかった。
飽き性で、こらえ性がない私が、よくこれだけ続いたと思う。
うちの会社の定年は65歳だ。
その後、続けたい場合、健康に問題がなければ嘱託の契約をして一年ごとの更新をすることができる。
大抵の乗務員は契約をして、70歳、75歳まで働いている。
中には80歳を超える乗務員もいる。
この人はタクシー歴50年を超えても元気に乗務し、立派に売り上げを作っている。
私にとっては、レジェンドのような存在だが、タクシー業界で苦難を乗り越え、昭和、平成、令和の時代を生き抜いてきたのだろう。
私もそのぐらいやってみたいが、恐らく体力的に難しいと思う。いいところ75歳が限界だ。
実を言えば、マンションの住宅ローンがあと13年残っている。
住宅ローンは、1ヶ月約10万円なので、少なくとも月25万円の手取りがなければ夫婦で暮らしていけない。
ということは、75歳までは、何が何でもタクシーで稼がなければいけないということだ。
住宅ローンを払えなければ、マンションを追い出され、路頭に迷うことになる。
今まで、何度か住宅ローンを払えなくなったことがあり、断崖絶壁の日々を送ったことがある。
私にとって、毎月の収入が入って来ないということは、「人生の崩壊」を意味する。
この年齢になって、それだけは絶対に避けたい。
会社では、厚生年金にも加入しており、75歳まで払えば月20万円ぐらいもらえるということなので、住宅ローンを完済するまではタクシーを頑張らなければならない。
私の個人的な話はさておき、今回のテーマに戻ろう。
「タクシーは、何歳まで出来るのか?」
結論としては、健康さえ気をつければ、75歳、80歳まで働く事が可能だ。
うちの会社では、60歳からタクシーを始めて頑張っている人もいる。
定年退職後、家でぶらぶらしてるのも嫌だから、タクシーでも始めてみようと思ったそうだ。
車の運転は、もともと好きだったそうで、お客さんを乗せて横浜の街を走れることに喜びを感じていると話していた。
先日は、昼日勤ながら4万円も数字を上げて来た。長距離が2回も当たったそうだ。
私なんかより全然やる気があって、腕がいいのかもしれない。
タクシーは、60歳から始めても、十分活躍できるし、その後、15年から20年は勤務可能なのだ。
それにしても、このくらいの年齢まで働けるというのはタクシーならではだろう。
他の仕事では、なかなかこうは行かないかもしれない。
会社や上司にうるさく言われず、束縛も無く、若い人と比べられることもなく自分のペースで働けるというのがいいと思う。
車に乗ってしまえば、自分が経営者みたいなものだ。
そして、真面目に仕事をやれば、毎月、10万20万という収入が入って来るのだ。老後を生き抜いていくのには、十分助けになる金額だろう。
と、ここまで書いて、タクシーという仕事は、そんなに悪くないんじゃないかと思った。
辛いこともあるが、楽しいこともたくさんある。
会社に帰れば、わいわい言い合える仲間もいる。
仕事がうまくいって、大きな達成感を感じる時もある。
これからの人生、タクシーと一緒に生きていける。
もしかしたら、ありえないくらい幸福なのかもしれない。
私はあらためて、そう感じた。