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ストーリー重視 ロマンティストのJohnny

今日はJohnnyの詞の世界を覗いてみたいと思う。Johnnyはもちろんメインは横浜銀蝿のリードギタリストであるが、作詞作曲も手がけている。
だが、意外にも横浜銀蝿の曲でJohnnyの名前がクレジットされている曲は作詞が4曲、作曲が6曲しかない。ソロの楽曲の多くがJohnnyの作品で、さらに嶋大輔ら弟分にも曲を提供しているので、Johnnyの作品が多く世に出回ってる印象は強いが銀蝿では意外と少ない。

Johnnyの作る歌詞の特徴はなんといってもストーリー性があるということだ。一曲をひとつの物語とし、Aメロからサビまで通しで話が続いていることが多い。そして、Johnnyの作る詞に多いのが次の3つのパターンだ。
〈車・バイク関連〉〈恋愛・恋人関連〉〈若者へのメッセージソング〉この3つのパターンに属するタイプの曲が実に多い。

例えば車・バイク関連でいうと、ソロでの作品「土曜の夜はHighway Danceで」などは分かりやすい。

  Highwayキラメク 土曜の夜は
  Highway俺達 男の世界さ
  Highwayとばせば 誰もが主役の
  Highway踊るぜ Highway Party
  Highway俺らの 熱いハートは
  Highwayいつでも スピード違反さ
  朝まで踊るぜ

  土曜の夜は
  いかしたお前の誘いでも
  俺の時間をあげる訳にはいかないんだ
  だって
Highway Dancer
  気取りの俺だぜ
  今宵は朝までMachineと二人

  夜のHighway
  朝がくるまでのダンスホール
  おめかしきめた
  Machineが集まり踊りだす

  ちょいとHighway Twist
  テールフリフリきめれば
  月のほほえみ オイラいただき

  Highwayキラメク 土曜の夜は
  Highway俺達 男の世界さ
  Highwayとばせば 誰もが主役の
  Highway踊るぜ Highway Party
  Highway俺らの 熱いハートは
  Highwayいつでも スピード違反さ
  朝まで踊るぜ

AメロからBメロ、さらにサビまで話がひと繋がりなのが分かるだろう。そして「土曜の夜のHighway Dancer」というキャッチフレーズのJohnnyらしいタイトルで、土曜の夜+車のセットは彼の鉄板だ。車で飛ばすことが大好きなことがこの歌では表現されていて、Johnnyが土曜の夜に車で遊んでいた頃の話がそのままストーリーとして歌詞になっている印象だ。

次に恋愛・恋人関連に目を向けてみよう。こちらは実際にいる恋人や、過去に恋した女の子をテーマにしたような実話っぽいものが多いのが特徴だ。横浜銀蝿のアルバム「ぶっちぎり とっぷ」からの作品「純なお前にRock'n Roll」の歌詞を見てみよう。

  Baby ハートの
  すこぶる純なお前さ
  おいらの気持ちが
  わかるはずないけれど

  男は一番大事な 
  (マブダチのためならば)
  たとえどんなにヤバイ時でも
     (この命あずけるぜ)

  義理と人情がないようじゃ
  おまえも おれには 
  ほれなかっただろう
  だからBaby そんな時には
  わかっておくれよ 
  Rock'n Roll
  それでおまえを 悲しませたら
  許しておくれよ  
  Rock'n Rock'n Rock'n Roll


やはりこれも見事にAメロからサビまでひと繋がりだ。実話でありながらもそこはロマンチスト・Johnnyなので、作り話のようなJohnnyならではの絶妙な世界観がここには存在している。

男友達を大切にするJohnny。大切にする男友達のため彼女をなだめるシーンが目に浮かぶ。結局男友達も恋人にも優しく接してしまう仲間思いのJohnnyらしさが溢れてる歌だ。

最後に一番Johnnyらしいとも思える若者へのメッセージ的な歌詞を挙げてみよう。Johnnyは若者、男性、そして落ちこぼれへのメッセージソングが多い。前回のコラムで「男の勲章」について存分に語らせてもらったが、男の生き方の参考になるものが多い。


さらには単なる作り言葉では終わらせない。落ちこぼれへの心からのメッセージである。これはアウトローであるほどとても心に刺さるのではないだろうか。ここで一曲挙げてみるとなるとソロの作品「みにくいアヒルの子」になる。落ちこぼれでもいつかは輝くことができることを歌ったメッセージソングだ。


  いつもみんなの つまはじき
  みにくい アヒルの子には
  大空はばたく 白い鳥見て
  いつか自分も とべることなんて
  かなわぬゆめだと 思っていた

  ゆめは ないことはないけど
  かなうはずなんかないよ
  いいのさ オレ あきらめてるから
  ゆめはゆめだよ 見てるだけでいい
  無理なことくらい わかってるから

  だけど みにくいアヒルの子も
  きづいてないだけ
  いつの日か 自由な空 はばたける日を

  ああ そうさ だれもが必ず
  白い翼を 持っているから
  ああ だから 自分の手で
  希望(ゆめ)つかみ
  白い鳥になれよ


やはりこれもAメロからサビまで、全くひとつのストーリーとして完成している。ここまでくるとまるで物語や小説のようだ。この歌詞一つを見てみてもJohnnyがロマンティストなことがよく分かる。「誰もが必ず白い翼を持っている」だなんてロマンティストでないと出てこない言葉だ。優しい歌い方の影には熱い男としてのメッセージが見え隠れしている。さらにはJohnnyのもっとロマンティストな部分を覗くにはファーストソロアルバムのラストに収録されている「88の星座」などはどうだろうか。


  この広い夜空は いつだって
  88の星座たちが 俺たちが1番だと
  夜空いっぱい 落書きしてる

  星座に入れない 名前も無い
  ちっぽけな星たちには
  星座たちの隙間でしか
  輝くこと許されてない

  Ah いつかは俺も
  Ah いつかは俺だって
  この広い夜空で 力いっぱい
  輝いてみせるぜ

  いまは誰も知りはしない
  ちっぽけな 星だけれど
  いつの日か 1番キラめいてやる


これがやはり一番Johnnyらしいというか、ロマンティストな部分が多く出ていると思う。ロマンティストでありながらもチカラ強い部分も秘めているのだ。これはJohnnyの詞の特徴のひとつである。
今は落ちこぼれでも、今は何もできない俺だけど、いつか必ず輝いてみせるぜ!というメッセージが込められた実にJohnnyらしいロマンティックかつチカラ強い歌詞になっている。そしてやはりストーリー性が抜群の世界観がここにもある。この歌は一見クールな中に秘めた熱さのある名曲だ。間奏もなくさらっとシンプルに言いたいことを歌ってアルバムのラストを締めるという潔さに当時は痺れたものだ。

最後に解散前のJohnnyの言葉を紹介しよう。

恋もそうだけど、生きていくのに、男にとってロマンって絶対必要なんだとオレは思う。たしかに人間夢ばっかりじゃ生きてはいけないと思うけど、夢のない人生なんて生きていても死んでるのと同じだって、オレは思うよ。

Johnnyはロマンを大事にする男。そして夢を真剣に語れる男。そこがやはり魅力なんだと今でも思う。普段はあまり喋らなくてクールなイメージのJohnnyだが、実は考えいることはロマンに溢れていて夢が詰まっている人なんだと思う。そんなJohnnyが当時は大好きだった。

まとめてみるとやはり一言Johnnyはロマンティストだ。だからこその世界がどの歌詞にもあるのだ。感覚的な言葉を並べて勢いをつける翔くんの歌詞とは全く違う手法のJohnnyの詞。ロマンティストだからこそ、また実話をうまく物語化することでメッセージがイメージしやすく、伝わりやすいのかもしれない。さて、あれから38年が過ぎて、横浜銀蝿40thで表舞台に復活を遂げるJohnnyがどんな歌詞を書いてくれるのか、現在のJohnnyを体感できることを非常に楽しみにしている。「男の勲章」を超えるような男気とロマンティシズムに溢れた歌詞を見せてくれることを密かに期待している。

it's only Rock'n Roll

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