今だからこそ語ろう…杉本哲太
杉本哲太が横浜銀蝿の弟分だったことを知らない人はいても、俳優・杉本哲太を知らない人はほとんどいない。今や立派な中堅名優となって様々な作品で味のある演技を披露している杉本哲太。
紅麗威が復活して、銀蝿一家祭の開催も発表され、嶋大輔、麗灑、矢吹薫といった弟分妹分がステージに立つ。いよいよここは哲太の出番が来たという機運が高まっている。銀蝿一家祭に哲太が出演して歌を歌ったとしたら、これはもう銀蝿一家ファンにとっては過去最大級のビッグトピックとなるだろう。
しかし、現実はそううまくはいかないものだ。個人的には哲太の銀蝿一家祭出演はかなりの確率で無いと思っている。俳優での確固たる地位を築いた哲太が今銀蝿一家祭に出るとは考えづらいのだ。とはいえ、哲太が横浜銀蝿の弟分だったことは紛れもない事実だし、あえてこのタイミングで哲太について語ってみたい。
以前のコラムでも書いたが、当時はクラスの中で哲太派と大輔派に分かれていた。オレは断然哲太派だった。哲太の不良っぽいルックスが好きだった。哲太以上に好きだったのは桃太郎だが。
哲太には尖ったナイフのような雰囲気があった。愛想も良くはないし、テレビに出てもぶっきらぼうな感じで冷たい雰囲気がたまらなかった。そしてどこか不器用そうなところも惹きつけられた。喧嘩が絶えなかった紅麗威甦のメンバーの中でも一番キレやすいのは哲太だったと当時のプロダクションの社長大坂さんが語っていた。
哲太の代表曲は、やはり「マブダチ」と「On The Machne(翔と桃子のロックンロール)」になるだろう。この2曲については過去に語っているので、過去に語っていない曲をいくつか書いてみる。とは言っても、残念ながら哲太のアルバムは1枚も持っていない。とにかくあの当時、銀蝿一家のレコードのリリース量は半端なかったので全てを買い揃えることは出来なかった。
久しぶりにアルバム「マブダチ」のカセットテープを引っ張り出して聴いてみた。横浜銀蝿の弟分の初期にありがちだがカバー曲が多い。この「マブダチ」もA面はオリジナル曲が並んではいるものの、「HEY!彼女」「羯徒毘路薫'狼琉」「Sexy気分の夜だから」「お前にお手上げ」「ぶっちぎりRock'n Roll」とB面は見事に全曲カバーだった。
「マブダチ」の中では「アウトロー」と「Maybe Lady」の2曲が好きだ。「アウトロー」は哲太自身が作詞している。タイトルのとおりアウトローならではの気持ちが込められていて、"やりたいことをやってやる"という反骨精神をシンプルに歌ったこの曲は凄く哲太に合った曲だと思う。
このまま大人に
なっちまったら…ダサいぜ
ここらで一発かましてやらなきゃ
この時はまだ俳優を志すよりも、歌詞としてロックンローラー としての「俺はやってやる」という意気込み表明だったのだろうか。哲太自身の心の叫びがこの曲には詰まっている。
「Maybe Lady」は紅麗威甦のミッツが作った曲だ。ミッツらしいメロディーセンスの光る隠れた名曲。どこか悲しげな雰囲気をもちながら、強い恋心を歌った名曲。個人的に好きな「切なく前向き」なタイプの曲だ。
もう1曲挙げるとしたら、この銀蝿一家コラムのタイトルになっている「青くてごめん。」だろう。なぜ、コラムのタイトルを「青くてごめん。」にしたのか?このコラムも残りわずかになってきたのでここで書いておきたい。
実はこの曲に特別思い入れがあったわけではない。コラムのタイトルを考えている時、最初は横浜銀蝿の曲から拝借しようと考えた。けれども中々うまくハマるタイトルがなく、紅麗威甦や嶋大輔の曲からも探してみたがこれも中々いいものがなかった。そんな中、哲太の「青くてごめん。」がピタッとハマったのだ。後付けだが、このタイトルの裏には、コラムにおいて散々銀蝿一家のことを語っているが、実際には当時の銀蝿一家を見たこともなく、知識もそれほど多いわけじゃない。間違ったことも多く語ってしまうだろう…まだまだ青くてごめんなさいという意味が隠れてたりする。
この曲は作詞が湯川れい子さん、作曲が鈴木キサブローさんという大物作家による作品。とにかく銀蝿の弟分や妹分にはこれでもかというくらいに大物作家に依頼している。それだけ期待していたのかもしれない。そして、横浜銀蝿、ツッパリの枠からさらに大きく羽ばたいて欲しいという考えがあったのかもしれない。とにかく金は使っていた。
この「青くてごめん。」は、キリンレモンのCMソングだった。哲太は南野陽子とともにこのCMに出演していた。久々に見てみたいとYouTubeを探してみたら、いくつかのパターンがあったので、懐かしく見させてもらった。
銀蝿一家祭開催に盛り上がるこのタイミングで、あえて出演しないであろう杉本哲太の話をしてみた。これは、銀蝿一家祭に哲太にも出て欲しいという願いを込めたことでもあると同時に、たとえ出演しなくても哲太も立派な銀蝿一家の一員だということで書いてみた。そして俳優としてここまで一流になったことへのリスペクトも込めて。
現在放送されているテレビドラマ「日本沈没-希望の人」では、内閣官房長官の役をやっている哲太。左手に包帯を巻いて、常に何かを睨みつけるような目線でとにかくカッコよかったあの頃のツッパリ杉本哲太はもういない。けれど、あの時横浜銀蝿の弟分としてトップランナーを走っていた杉本哲太を忘れない。
it's only Rock'n Roll
追伸
いよいよ横浜銀蝿40thの活動もわずかとなってきました。このコラムも40thの活動と共に終了です。
残りの期間、毎週日曜日に新しいコラムをアップすることにしました。書き残したことはないだろうか…といろいろ考えながら、心を込めて銀蝿一家について書いていきたいと思います。日曜日以外にも書き残しておきたいことがあれば書くつもりです。読んでいただけたら嬉しいです。最後までよろしくお願いします。
青くてごめん。
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