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100大事業を自己分析(行イノ#5)

100大事業(一般財源活用額の多い上位100事業)について、事業所管部署による自己分析を行い、1月27日に公表しました。今回は、この自己分析をテーマに説明します。


100大事業を自己分析した趣旨

 将来の財政見通しを推計すると、2030年度の収支差(歳入と歳出の差)は▲500億円となり、歳入額に対し、歳出額が500億円多くなると見込まれます。
 この収支差を解消するための取組の一つが、100大事業の自己分析です。100大事業の現状や課題等を分析し、分析を踏まえて個々の事業構造の転換を図り、その結果、一般財源の活用先を再構成しようとするものです。
 横浜市では約2,200事業(令和4年度一般会計当初予算)を実施し、そのうち100大事業での一般財源活用額は約92%となっています。つまり、事業構造の転換と、一般財源活用の再構成を行うには、100大事業個々の内容を確認することを避けて通ることはできません。

100大事業一覧(令和4(2022)年度当初予算)

分析は6つの客観的指標を活用

 横浜市ではこれまでも、実施した事業について実績やプロセスなどの自己評価を行い、その結果は「事業評価書」として、決算市会のタイミングにあわせて公表してきました。しかし、定性的な評価であるため、評価結果がわかりづらいことがネックとなっていました。
 そこで、今回100大事業の自己分析では、6つの客観的指標に基づく評価へと見直すことにしました。

  1. 市民ニーズ:市民ニーズの傾向

  2. 実施根拠:実施主体として市が関与する根拠の把握

  3. 妥当性:事業の水準、規模、内容の妥当性

  4. 事業実績:事業の達成状況

  5. 効率性・経済性:実施主体や実施手法の適切性

  6. 負担の公平性:事業・サービスの受益と負担の適正性

 指標は、他自治体の評価手法、専門家からのアドバイス、監査の視点(例えば、3Eの経済性(Economy)、効率性(Efficiency)、有効性(Effectiveness))を取り入れて設定しました。
 また、指標ごとの分析基準を選択方式にすることで、評価する側の作業負担を軽減するとともに、分析の視点を全事業統一としたことで、評価結果を見る側にとってもわかりやすくなるといった改善を図りました。

客観的指標と指標ごとの分析の視点

分析対象は298本

 分析した事業数は100事業ですが、事業の中には複数の細事業で構成されているものもあります。例えば、100大事業中12番目の「定期予防接種事業」は
 ・接種委託費用
  四種混合、麻しん風しんなど予防接種の実施そのものにかかる費用
 ・接種台帳システム
  接種記録を管理するためのシステムの管理費用
 ・個別通知
  予防接種対象者へ予診票等を通知する費用
 ・予防接種コールセンター運営
  予防接種に関する問い合わせや関係書類の再発行業務を行うコールセン 
  ターの運営費
など全部で8つの細事業で構成されています。
 これらをまとめて1つの事業として分析しようとすると、指標ごとに設定した分析の視点をうまく選ぶことができなくなったり、選べたとしても、事業中の、どの内容を捉えてそのように分析したのかがわからなくなって煩雑です。そのため、事業単位ではなく、細事業を単位として分析することにしました。全部で298本の細事業を自己分析しました。

100大事業の細事業数(表中「細事業数」欄) 

自己分析からみえた、改善検討の可能性

「改善検討の必要あり」は6割

 6つの客観的指標ごとに分析した結果を集計し、298の細事業の改善検討の可能性について3つの区分に分類しました。

分析結果

 「計画通りに推進することが妥当」は113細事業(37.9%)、「視点に
沿って、一部について検討が必要」は32細事業(10.7%)、「視点に沿って、検討が必要」は153細事業(51.3%)
でした。
 何らかの改善検討が必要な細事業は全体6割を占めています。割合をみると多いように感じられるかもしれませんが、「視点に沿って、検討が必要」との区分に分類された多くは、実施根拠が法律や法令に定められたものではなく、本市の条例や規則、方針など独自の規定により横浜市が自主的に実施しているものです。「ただちに見直しが必要」「ムダな取組」といったことではなく、細事業の実施目的など改めて確認し、そのうえでこれからも続けていく必要があるのか、見直しを行うことが妥当なのかなど、定期的に検証することで、効果的な事業展開を求めるものと捉えています。
 

具体的な見直しは、予算編成の中で検討

 自己分析結果を今後どのように生かしていくのか。
 今回の分析での気づきなどを踏まえ、まずは各事業所管部署で事業実施するうえで改善を図ったり、翌年度の予算要求の際の参考材料としていくことになります。そして、具体的な見直しは、これからの予算編成の中で、総合的に検討していくことになります。
 あわせて、2023(令和5)年度に、外部の視点を取り入れ、事業所管部署へのヒアリングを通じて自己分析結果の点検を行い、今後に向けた助言をいただく予定です。この外部の視点からの助言を各事業所管部署での主体的な改善行動や、次年度以降の予算要求や事業計画の参考にしていきます。

 

全事業の自己分析を実施

 今回は100大事業を対象に自己分析を行いましたが、2023(令和5)年度から、客観的指標に基づく自己分析を全事業に展開します。
 その結果はこれまでの事業評価書の公表と同じように、決算市会のタイミングで行います。
 全事業をしっかり確認し、その確認結果を今後の事業計画に適切に反映していくことで、時代の要請に応える事業の推進と、横浜市の持続可能な発展につなげていきます。

100大事業の自己分析結果(コチラ)


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