ロジックモデルの作成(行イノ#7)
施策評価と事業評価の取組を開始してから、早いもので既に2か月。
このうち、施策評価は、はじめての取組です。施策評価を行うにあたり、中期計画(いわゆる基本計画)の政策-施策-事業体系に沿って、施策のアウトカム指標化、そして、施策に紐づく各事業のロジックモデルづくりを事業所管部署にて鋭意実施中です。
今回は、ロジックモデルづくりの様子を報告します。
まずは考えてみる
横浜市では、市が実施する事業ごとに「事業計画書」を作成しています。事業計画書には、ロジックモデルの要素である「インプット」、「アクティビティ」、「アウトプット」、「アウトカム」情報が含まれています。
ところが、例えば、行政イノベーション推進室で行っている事業「しごと改革プロジェクト推進事業」(※)の事業計画書をみてみると、各要素の情報がいろいろなところに散らばっています。これだと、この事業の最終ゴールに至るまでの道筋がちょっとわかりづらいですよね。
そこで、ロジックモデルの構成要素順に並べ替えてみると、最終ゴールに至るまでの道筋が論理的・体系的となり、わかりやすくなります。
(※)令和4年度まで。現在は「行政イノベーション推進事業」に転換。
また、事業によっては、アウトカムの内容や指標の設定が明確となっていいないものもあり、改めてアウトカムを考える必要がでてくるなど、ロジックモデルづくりに苦戦している部署もあります。
相談会で確認
各部署で考えてもらったロジックモデルを持ち寄り、相談会で確認します。相談支援は、EY新日本有限責任監査法人のみなさんが登場!
相談会は事業所管部署ごとに実施しています。市庁舎外で勤務している職員もいますので、相談会は対面、オンライン、ハイブリッドと柔軟に対応しています。
相談会の場でもたびたび話題にあがるのは、「アウトプット」、「アウトカム」の確認です。
これまでもアウトカムを意識して、事業を実施していましたが、必ずしも指標化を求めてきたわけではないので、
・アウトカムの内容や指標が適切に設定できているかどうか
・アウトプットとアウトカムが同じになってしまうが、それでよいか
・アウトカムの検証が難しい
などなどの声が出ています。
アウトプットは、アクティビティにより生み出される状態、例えば研修の実施であれば、研修の実施回数や参加者数です。一方、アウトカムは、事業実施により、ターゲット集団や組織・社会に現れる変化で、例えば研修の実施であれば、研修参加者にどのような状態になってもらいたいかを表します。
一般的には、「インプット」、「アクティビティ」、「アウトプット」までは、事業実施側でコントロールすることが可能ですが、「アウトカム」のように、対象者にもたらしたい変化についてはコントロールすることはできません。
アウトカムの指標の設定や検証は、まずは「データを取る」ということが大前提となります。データのないものは、新たに取得していく必要がありますが、別に実施している既存の調査、事業実施で活用している各種様式に必要なデータをとるための項目追加など、一工夫することにより対応できることもあります。
また、全件データを取らなくても、統計データ的に一定の精度が見込めるサンプル数を確保することで分析できる場合もあります。
事業本体の予算に比べ、調査分析のための予算が多額になってしまったり、そのための負担が必要以上に大きくなってしまっては本末転倒です。実現可能なやり方を、事業実施する中で模索し、目星をつけておく必要があります。
なぜ、わざわざロジックモデルをつくるのか
「そもそも何のためにロジックモデルをつくらなければならないのか」という点について、最後にお伝えしようと思います。
これまでの市政運営では、事業単位での政策議論が中心でした。しかし、限られた経営資源を有効活用していくためには、「全体最適」の観点で政策議論ができる組織に変革していかなければなりません。
ロジックモデル作成や、作成段階でアウトカム指標を設定し、施策評価を行うことで、大きく3つの方向へとつなげていこうと考えています。
政策目的の達成度の最大化:施策(目的)と事業(手段)の結びつきを確認し、目的達成のために、より効果的な事業に注力したり、結びつきが弱い事業は手段を転換
データに基づく経営資源の分配による、効果的・効率的な市政運営:ロジックモデルやアウトカム指標といったデータを参考に、財源や職員等の経営資源を事業に配分
国等への予算・制度拡充要望の根拠として活用し財源を確保:施策や事業の効果や必要性をデータ活用により説得性を高めて要望
ロジックモデルづくりは、現在道半ばではありますが、最終的には1,000事業以上のロジックモデルをつくることになりますので、事業種別ごとにある程度パターン化することもやれるのではないかと思っています。
全国の地方自治体のみなさま、このような取組をすでにやっていましたら、ぜひ意見交換しましょう!
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