ウォータークラウン 70 紗希 2021年12月20日 09:52 ねぇ秀夫、私にウォータークラウンを プレゼントして欲しい。 子供の頃からずっと夢見てる。 ウォータークラウンを被ること。 プレゼントって…… どうやって? 無理に決まってるだろう? 水滴が地面に落ちた一瞬だけ出来る冠なんだから〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜「どうしていつも七海は、無理難題を俺に吹っかけて来るんだろう。わっかんないわ」「よお!オレも座っていい?」仕事場の外には小さな庭がある。俺は庭のベンチが好きで、休憩時間中は座っていることが多い。「どうぞ」「なんかさ、最近やる気が出ないんだよ」「武のやる気って仕事にか?」「そう。ってかさ、それ以外ないでしょ」「例えば、約束はしたものの、結婚したく無くなったとか」「冗談でも止めてくれ。考えただけで震えてくる」「武の結婚相手、名前なんだっけ。まぁいい。気が強そうだもんな、見るからに」「名前は“ゆかり”だ。強いなんて表現じゃ、とうてい言い表わせないよ、彼女は」「そんなに?大丈夫なのか、結婚して。やっていける?」「やるしかない。プロポーズしたからには。する前と、した後で、あんなに女は変わるとは知らなかった」「ビフォーアフターだな。『何ということでしょう』な、彼女が武の奥さんになるわけだ」「何とでも云え。後には引けないオレを笑えばいいさ」「しかし、仕事にやる気が出ないんじゃ大変だな」武は真顔で頷く。「スランプなのかな。シルバーアクセサリーのデザインをして、造るのが凄く好きだったのに」「または、責任感かもしれないな。一人の時とは違うだろ?結婚するんだから」「あ〜それあるかもしれない。プレッシャーを感じる。前は仕事が嫌になったら辞めればいいくらいに思ってた」「少しチカラを抜いてみたら?力み過ぎから来てるのかもしれないから」「そうだな、そうして見る。サンキュー。ところで秀夫の彼女、七海ちゃんは?最近見かけないけど。喧嘩でもした?」「七海は彼女じゃないよ。同じ中学の後輩で家が近所なだけで。ヤバい!休憩時間終了。仕事に戻ろう」俺と武は、慌てて冷めた缶コーヒーを飲み干して仕事に戻った。定時に仕事を上がり、俺は真っ直ぐ帰ることにした。疲れが溜まっているのを感じる。正直、七海のことは俺も気になっていた。短気な性格なのは知っていたが……。だけど最近の七海は明らかに、キレるのが早くなっている。仕事も長続きせず、かなりの回数、転職していることを、彼女のお母さんから訊いていた。「武の云う通り七海の姿を見なくなって、2ヶ月以上になるな。どこに行ったんだろう」俺にとって七海は、妹みたな存在だ。たぶん七海も同じだろう、自分にとって、兄が俺。真夜中、自分の部屋でアクセサリーのデザインを考えていた。疲れていても、アイデアが閃いたら、眠気なんか、吹っ飛ぶ。デザイン画を描いている手を止めて、俺は最近ネットで、たまたま読んだ記事のことを思い出していた。《本当に知るべき自分の気持ちは、心の一番奥にある。見たくない、知るのが怖い。だから蓋をしてしてしまい込む》そんなようなことが、書かれていた。俺はもう知っていた。自分と向き合う以前から。何故か。見せられたんだ、怖いとか考える間もなく。心の奥底にしまい込み、蓋をする暇もなく、生身の自分が湧き上がったことがある。それは正直、思い出したくない出来事で、でも一生、忘れることはないのも、分かり過ぎるくらい、承知してて。〈忘れよう、もう考えない〉いくら、そう思っても、自分に言い聞かせても出来ない自分を、ダメな奴だと、そう思ったことは、何度となくあった。だからもう諦めて、忘れなくても、いいことにした。もしかしたら、七海も何か奥にしまい込み蓋をしていることがあるのかもしれない。なんとなくだけど……。 明け方ウトウトした時に夢を見た。 俺が蓋をする間もなかった出来事。 最悪な、あの日のこと。当時、大学生だった俺には恋人がいた。同じ大学の同じ学部の彼女。“絵美”という名前だった。俺は絵美のことが好きで、大切な存在だった。絵美のことを想わない時はなかった。ある日、俺は彼女の部屋に向かっていた。するとアパートの下まで来た時、 ヤーーーーーー!!絵美の声だ!俺は必死に階段を駆け上がった。絵美の部屋のドアが半分開いていた。俺はパニックになりながら、ドアを開けた。部屋の中では、男が絵美を押し倒していた。彼女は俺を見つけると、叫んだ。「秀夫ーー助けて!!」すると背中を向けていた男が、こっちを振り返った。「山本、お前、何を」山本は同じゼミの学生だ。山本は一瞬だけ動揺した様子を見せたが、直ぐに薄笑いを浮かべた。「参ったな、お前が来る日だったなんて」「出てけ」「可愛いよね、絵美ちゃん」「馴れ馴れしく呼ぶな、早く出てけ」「そんなに怒るなよ。一回くらい貸してくれよ」そのセリフを訊いた俺は山本に殴りかかった。殴って殴って殴り続けた。「秀夫、もう止めて!」絵美が止めなかったら、まだ殴っていた。山本は、鼻や口から血を流しながら、フラフラと、立ち上がり、玄関へ歩いて行った。途中で立ち止まり、「悪かった」そう云って、出て行った。絵美は泣きじゃくって、俺にしがみついた。この時の俺は、山本が死んでも構わないと思ったかと云えば、『YES』だった。俺には、こんな感情が有るんだと、知った瞬間だった。その後、俺と絵美は別れることになった。一緒に居ると、いつまでもあの時を思い出してしまう。絵美には可哀想過ぎる。「ん……」窓の外が明るい。朝か。仕事に向かう途中、道を箒で掃除している、七海のお母さんがいた。見た感じ普通だから七海は家には連絡してるんだろう。「おはようございます」「秀夫さんおはようございます。行ってらっしゃい」【ウォータークラウンをプレゼントして】「行ってきま……」俺は振り返り、七海のお母さんに訊いてみた。「七海ちゃんは、子供の頃、人形で遊ぶのは、好きでしたか」七海のお母さんは、不思議そうに「秀夫さん、どうしたの?突然」「いえ、少し前に七海ちゃんから、ウォータークラウンが欲しいと云われたもので、女の子が人形遊びをする時に、色んな服やアクセサリーを取り替えて楽しそうな様子を見たことがあったので」「ウォータークラウン?」「水滴が作る冠のことです」「かんむり……」七海のお母さんは曇った表情になった。「あの……どうかしましたか?」「実は七海は」「おはよう秀夫」「おはよう……武」「あれ?なんか元気なくない?」「ただの睡眠不足だよ」「ふ〜ん。あっ!ところでこのゴールデンウィーク、秀夫は予定ある?もし無ければ、沖縄に行かないか」「唐突だな」「いや、ゆかりのお父さんの別荘があるんだ。一緒に行かないか」「俺が行ったら邪魔じゃないの?」「全然。じゃあOKということで、ゆかりにも話しておくから。オレさ、石垣島に行ってみたいんだ」「石垣島、いいなぁ。俺も行ってみたいよ。西表島にも行きないな」「じゃあ両方とも行こうぜ!」「あゝ、なんだか楽しみになって来た」「そりゃあ良かった。彼女の七海ちゃんが居なくて秀夫の元気が今一つだったから心配してたんだ」「七海は彼女じゃないとーー」「さぁ!今日も頑張りましょう!」ふふ、全くお前はいいヤツだよ、武。程なくしてゴールデンウィークに入った。しかしこの時期にチケットが手に入るのは、やはり金持ちの顔の広さなんだろうな。離陸した直後は、武もよく喋っていたが、いつの間にか寝ていた。俺は先日、七海のお母さんから訊いた話しを、思い出していた。「七海が小学1年生の時、文化祭で劇をやることになったの。配役で、七海が“水の王女様”に選ばれて、凄く嬉しそうに帰って来たわ」「ママ!わたし劇で、“水の王女様”の役をやらせてもらえるの!」「あら、ステキ。衣装はママが作るのかしら?“水の王女様”だから、やっぱり水色がいいかな」「そんな風に親子で喜んでいたの。けれど文化祭の当日に、困ったことが起きて……」「困ったこと?」「ええ、当日使う物は、学校に預けてあったの。忘れたら大変だからという小学校側の方針で」「ええ」「衣装はあったの。だけど頭に被る小さな冠が無くなってたのよ。これも私の手作りで、銀色に少しだけスパンコールを付けた物で、七海も、とっても気に入ってたのに」「それでどうなったのですか?」「あちこち探したけど、どこにも無かったので諦めて七海は何も頭に乗せずに劇をやったわ」「七海ちゃん、悲しかったでしょうね」「はい、短期間ではあるけれど、『学校にはもう行かない』七海はそう云って数日間、引きこもってたくらい」「それで銀色の冠は見つかりましたか?」「……ええ、見つかりましたが」「?」七海のお母さんは、少しの間、考えていた。云いずらそうなので、俺も無理をさせたくなかったし、行くことにした。「じゃあ、行ってきます」「あの、秀夫さん、黙ってしまってごめんなさいね。ゴミ箱に捨てられてたの、クシャクシャにされた形で。それを七海も見てしまって。私もショックだったくらいだから、七海はもっと傷ついたと思うわ」「酷いな、それは。やった人間が誰かは分かったんですか?」「私も学校の先生方も、かいもく……でも七海は知ってるようでしたが、訊いても黙ったままでした」ショックを受けるなと、云う方が無理だろうな。その状況じゃ。 【ウォータークラウンを被りたい】それでだったのか。「ん?なんか云った?」「いや、なにも。武は寝てていいから」「OK……すぅ〜」「俺も少し寝るか」 那覇空港に到着そこから二手に分かれて、ゆかりさんと両親は真っ直ぐに別荘へ。俺と武は飛行機で石垣島へ向かう。搭乗まで時間があるので、お土産屋を覗いたりして時間を潰す。石垣島への便が来たので俺たちは乗り込んだ。一時間のフライト中、疲れていたのか、二人共、ひたすら寝て過ごした。そしてようやく、石垣島へ到着。空腹だったが、一つくらい観光しようという話しになり、有名な“川平湾”へ。「すっごくキレイな海だなぁ!」武が感嘆の声を上げる。「俺も初めて見るよ。これがエメラルドグリーンの海って云うんだな」「さぁ!腹減った、食べに行こう秀夫」「そうだな、俺もペコペコだ。何を食べる?」「石垣島に来たんだ、“石垣ビーフ”だろう、ここは」「なんだか高そうだな、俺はそんなに出せないぞ」「大丈夫、ちゃんと調べて来たから。ステーキや、しゃぶしゃぶは手が出ないけどハンバーガーなら何とかね」「石垣ビーフのハンバーガーか。それ行こう」俺と武は、有名な石垣ビーフの店でボリュームたっぷりのハンバーガーを食べた。「美味かったな」「うん、あんなにデカいとは想像してなかったよ。おかげでまんぷくになった」今夜は石垣島のホテルに宿泊。俺が云ってみたかった、“マンタスクランブル”で、巨大なマンタが水の中で泳いでいるのを目にすることが出来た。結構、感動するもんだな。もう一ヶ所は、“平久保灯台”景色はいいのだけど、風が強いので直ぐ退散。そしてホテルへ向かった。武が予約してくれた。値段以上に、行き届いたホテル。窓からは、ちゃんと海が見える。夕食はバイキングで種類も豊富だ。しかしさっき食べたハンバーガーがまだ消化されていない。悔しいが少ししか、食べられず。武と部屋に戻り、コンビニで買っておいた缶ビールで乾杯をする。「今日は楽しかったな」武がビールを旨そうに飲みながら話す。「うん、沖縄だなぁと思って海を眺めていたよ。あまりにも美しくて」「明日は秀夫の行きたい西表島だな。何か見たい場所でもあるのか?」「いや、そういうことでもなくてさ」「何となく。みたいな?」「高校の時のクラスメートが卒業して直ぐに西表島に行ったんだ。短期間の予定が、居心地はいいし、とにかく楽しくて、 結局3ヶ月居たんだ。バイトしながら」「へぇ、よほど彼には西表島の生活が合ってたんだな」「それでさ、彼はあんまり人付き合いが好きじゃない性格なんだ。だから西表島まで行けば、さすがに知り合いには会わないだろうと安心してたんだけど」ビールを飲みながら武が頷く。「中学時代の同級生が団体で遊びに来たんだって」「すごいな。西表島でってところが」「彼も云ってたよ。『まさかこんなところで会うなんて、僕が一人になる場所は、日本には存在しないのか?』て、ガックリしてたよ。それ以来、西表島が気になってたんだ」「オレも楽しみになって来た」「そろそろ寝るか。明日は高速船に乗るんだし」「そうだな、寝るか」一夜明けて。「さて。朝メシも食べたし、出発しよう」俺たちはホテルを後にした。「天気がいいな。良かったよ」「船はそれが心配だよな」西表島行きの高速船の乗り場に到着。海が穏やかだ。高速船に乗り込み、西表島に向かう。45分で着くそうだ。「ところで、着いたら何をする」「考えてなかった」「マングローブ林を遊覧船で巡る、なんてのはどうだ?ベタだけど」「いいね。マングローブがいかにも西表島らしくて」「じゃあ、先ずはそれで」「いきましょう」俺は今、西表島に向かってるんだよな。なんだか、不思議な気分だ。急に決まったからかな。静かだから隣りを見たら、やっぱり武は、寝ていた。「旅行に誘ってくれて、ありがとな。自分がこの瞬間、沖縄に居ることが信じられないよ」海風が気持ちいいなぁ。そして高速船は西表島に無事到着。「武、起きろ。西表島に着いたぞ」「お〜!遂にここまで来たか」船から降りた俺たちは、石垣島とはまた違う自然の豊かさを見る思いだ。「サトウキビは売ってるのかな。オレ、植物のままのサトウキビを、パキッと折って食べてみたいんだ」何かの販売所がある。幟には、《たなか農園ピーチパイン直売》の文字。ピーチパイン? 訊いたことないぞ。「武、ここに寄っていこう」「試食出来るかな」「こんにちは」「いらっしゃい」人当たりのいい販売所の男性が云った。「あの、俺たちピーチパインって知らなかったんですが、普通のパイナップルと、どう違うんですか」男性はニコッと笑い、「食べてみなさいな。オーイ、試食試食」「はーい、ただいま」小屋みたいな建物から返事が聞こえ、中から女性が出て来た。「いらっしゃいませ。今、うちのピーチパインをカットしますから食べてみてください。美味しいですよ〜」「……な、七海?」「えっ?ウソッ!」「ホントだ、七海ちゃんだ!どうして西表島に」「武さんも!二人共なんでここに」「七海ちゃんの知り合いかい?」「そ、そうなんです」「先ずは食べてもらって」七海は頷くと、テーブルの上で生のパイナップルを包丁で、手際よくカットしていく。ガラスの器にカットしたパインを入れて、楊枝を二本刺した。「どうぞ食べてみてください」俺と武は楊枝を持ってパインを口に運んだ。驚いた!「なにこれ!甘くて柔らかい。初めて食べたけど、美味しい!」「パイナップル特有の酸っぱさが、全然ないから、食べやすいね。色も黄色くない。白っぽい色だ」直売所のおじさんと、七海は顔を見合わせ笑顔で見てる。おじさんは、七海に、「休憩していいから」そういった。〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜砂浜を三人で歩く。口火を切ったのは俺だ。「どうして七海は西表島で働いてるの?」「特別な理由はないよ。興味本位で沖縄の求人をネットで調べたの。そしたらピーチパインの収穫、販売ってヒットしただけで。それに」「住み込みだったし。行ってみようかなと思って四月から働いてる。それもあと少しで終わり」俺は、じっと七海を見ていた。「秀夫、どうかしたの」七海が困惑しているのが分かる。「七海、もう自分を解放してやったら」「解放って……」「小学一年生から今日まで心の底にある七海の本当の気持ちを、出してあげて欲しい」「……」「七海の、ウォータークラウン」「!!」「ショックだったろう。まだ小学一年で、そんなことされたら」「もう昔のことだから」「そう思おうとして来たんだろう。けれど本当の七海は傷付いたまま、心の底に仕舞い込まれ、蓋をされたままだよ。蓋を開けるのは勇気がいる。時間がかかってもいい。七海なら出来る」七海は黙って海を見ていた。「さて、そろそろ戻りますか」武がそう云った直後、七海は話し始めた。「母が作ってくれた、銀色の冠のこと、私は大好きで、当日が待ち通しかった。でも、被ることは出来なかったことは、悲しかった」「悲しかったのも七海の素直な気持ちだけど、一番七海が傷付いた想いが、本音が解放されたいと強く訴えて来てるから苦しいんじゃないかな」「秀夫、もういいじゃないか。七海ちゃんだって云いたくないことがあるよ」「……そうだな。七海、悪かったな。直売所に戻ろう」けれど七海は動かないまま波を目で追っている。「七海ちゃん、行こうよ。おじさんが待ってるからさ」「……仲のいい友達だった」七海は声を振り絞るように、そう云った。「ゴミ箱に捨てた子だね」七海は下を向いて、コクンと頷いた。「一番仲良しの友達だったのに……」「そうか……」「悔しくて、でも友達だから。本当はどうしたらいいのか分からなかったの」そう云いながら、七海は涙を流した。「優しいな、七海ちゃんは」武がそう云うと、七海は首を振った。「優しくなんてない。その子のことを恨んだよ、わたしは。誰にも話せないから、一人で恨んでた。優しくなんかない」「悔しい気持ち、大事な冠にひどいことをされたんだ、恨んでいい。七海の心に正直になっていいんだよ。その子への気持ちを自分の中に抱えて来たんだ、辛かったな」七海の頬を涙が幾つも溢れた。「声に出して悔しくて恨んで、苦しかった気持ちを、体から出せるようなら、もっといいんだけど、今日は七海にとって、大成功な日だ!」「美紀ちゃんのバカーー!友達だと思ってたのに……。美紀なんか嫌いだ!嘘つき!もう二度と会いたくない。謝ってよ!ねえ、謝って美紀!私がどんな気持ちで劇をやったか分からないでしょう?バッカヤローー!」「……すげぇ」「七海は本当に、すごいな、すごい……」 七海は肩で息をしていた。「し、心臓がバクバクしてる」そう云って、泣きながら笑った。俺は七海の頭を撫でた。「落ち着いたか?戻れるか?」「大丈夫、ありがとう秀夫」「ところで七海ちゃんは、もうすぐ今の仕事は終わるみたいなことを云ってたけど、その後は家に帰るの?」「武さん、まさか。次に行こうと思ってる場所があるから、そこでまた仕事をする予定です」「それはどこ?」「内緒だよ〜。でも、一つだけヒントを出しましょう」「うんうん、ヒントをください」「ヒントは、牛タン!さぁ戻ろう」七海は、しっかりと砂浜を歩いて行く。俺は、七海の成長が嬉しかった。「仙台でしょうが。ヒント簡単過ぎ〜」そう云って、武は笑った。 了 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #短編小説 #創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 70