勝手にチャレンジ1000 0093 近所に熊が出現!

 近所に熊が出た。
 我が家のある辺りは海の近く、河口に開けた土地なのに。1メートルくらいといわれているけど、ヒグマはいないと思われるからツキノワグマだろう。
 熊が人を傷つけたニュースをきくのも辛いけど、熊が殺されたニュースも辛い(怪我したり、殺されたりした人たちごめんなさい)。
どちらかというと、個人的に繋がりの無い人の怪我より、個人的に繋がりの無い熊の死の方が辛い。ほんと、ごめんなさい。

 熊ってフォルムが丸くて、特にツキノワグマのようなサイズの熊の子供が立ち上がっている姿など、人間の子供とよく似ていて愛おしさがつのる、けど、やはり野生動物なのだよね、と、思い返す。

 人間は自然の中の野生生活を抜け出し、動物を狩り、山を開き、町を築き、野生と決別して暮らしている。人間のためにも動物たちのためにも人と野生動物の間には間隙が必要だ。

 私の感覚では我が家のある辺りは海の町、なのに、山から熊がやって来た。
 瀬戸内海に面しているから海の町のつもりでいたけど、この地方は山と海が近い。海に向かって立って振り返ると、後ろには穏やかな緑の山々が見える。川も短い。しかも、山は結構豊かで動物も多く生息している。かつては山と町の間には、農地があり里山があり、山には動物たちを養う植物があった。今は道路が通り、山のなかでも宅地が開発され、近隣から集客できるよう、巨大なパーキングエリアのあるショッピングモールとか色々な施設ができたりする。緩やかな稜線の山々は幾重にも重なりながら奥へ続いているが、人間の技術はすごい破壊力だ。あっという間に重なった山々のひとつふたつ平気でなくなる。ひと山分の環境を無くした生き物はどうやって暮らせばいいのだ?とりあえず川に沿っててくてく歩いてみたら、目の前にあったはずの林や丘陵もなくなっててあっという間に開けたとこにでてしまった、という感じなのではないか。自分達がすみかとする森の山から里山、山の麓に開けた空間である田んぼや畑、田畑のなかに点在する村や集落もあまり無く、今では山奥の大きな道路を渡ったら、一気に人のいるとこに出てしまう、という感じなのではないだろうか?

 明るく平坦になった川沿いを下ると町に出た。熊も驚いたことだろう。私たちもビックリだ。

 今回、私の周りでは、被害がでないうちに、殺されないうちに、さっさと山に帰ってほしい。という声がよくきかれた。誰も熊を殺すことを望んではいないのだ。そして、誰も熊に会いたいとも思ってはいない。

 以前noteに書いた、アルゼンチンアリがうちに入ってこなかった話のように、山に熊の食べ物がたくさんあればいいと思う。山を動物たちの食べれる植物で埋め尽くしたらどうかな。あるいは、山と町の間に、無くしてしまった里山のように、あるいはそれ以上に柿とか栗とかのベルト地帯をつくって、動物の移動をそこで止めるようにするとか。熊を寄せ付けないように、庭の柿や栗の木を伐ったり、せっかくの実りを全部落として廃棄するというのは、あまりに反自然、人間の持つ生来の自然な感覚にも反するような気もする。ではなく、逆に、ここまで来ないように豊かな植物帯を作って止める。
 
 熊を追い払い、追い詰めるのでなく、熊は熊で、人は人で暮らせるよう、よい考えがないものかと思うのだ。

 



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