勝手にチャレンジ1000 0087 くり時計🌰
僕の名前はくりのすけ、本名マロンです。
お父さんとお姉ちゃんにつれられて、このおうちに来たころは眠くて眠くてたくさん寝てたけど、今は大きくなったから、そんなに寝なくても大丈夫なんだよ!
夜中も朝も元気一杯!
お外に行こうよ!おしっこ!
遊ぼうよ!
遊べよ!
うーん、だれか!ひとりはやだ!
って言ってると、いつものメスの人間が来る。
お散歩前にお庭でおしっこでもしとこうかな。
あ、このメスの人間はOka-san というらしい。
匂いは美味しそうだし、呼べば来てくれるけど、プロレスごっこは苦手みたいだから、やっぱりお父さんがいいな。
というわけで、白々と夜が明ける頃くりのすけとお庭に出る私。
去年の七月にジョンがなくなってから、夫がボケるんじゃないかと心配した子供たちが新しい犬を飼うべき、と、動物の保護センターからもらってきた子犬だ。
一緒に保護されていた真っ白な他の兄弟と違い、耳と背中がほんのり栗色だったので、保護ボランティアさんのうちではマロンと呼ばれていた。
可愛かった。
だが、これがとんでもない、犬を飼って長い私も夫もみたこともないほど難しい子だったのである。
まず、人間を信用しない。警戒心でいっぱいで、不安や恐怖、驚き、が、攻撃性として出る。唸ったり吠えたり、鼻にシワを寄せて歯を剥き出したりする。全くの野生児だ。
甘くない甘噛み。
拾い食いの癖もあって、ビニールとか、マスクとか、散歩途中で咥えたものをとられると、むちゃくちゃ怒って、不機嫌に帰宅、挙げ句のはてにかみつこうとする。
私も夫も病院で手当てしてもらうくらいの負傷をした。ほんとに、こんなことははじめてだった。
小さいときはよかったけど、どんどん大きくなってなんだかこちらも警戒しつつ数ヶ月。とりあえず、私たち夫婦とはなんとか過ごせるようになり、夫と散歩はどうにか形になってきた。しかしながら(なぜか、末っ子だけは最初からとても好きなようだけど)、他の家族には、なかなか慣れない。散歩途中でも、来客でも、人間に向かって吠える。しかも結構威嚇的。
警戒心が強すぎるが、野生の血が濃いということかもしれない。ほんのあかちゃんときかに保護されて親はわからないのでどんな血が流れてるのかわからないが、捨てられた猟犬とかの血統かもしれない。
そんなくりのすけのいいところは、七時間睡眠。夜、リビングを暗くして、お休み、といったらすんなりねんね、それっきり七時間は寝てくれることだった。
ほぼ唯一の長所だったのに、今はもう全然寝ない。おやすみー、してから、二、三時間したら、きゅうきゅうぴすぴす言い始め、その後多彩な鳴きかたを披露し始める。夫はほっとけば鳴きやむと言うけど、たしかに呼んでるのには応えない方がいいのもわかってるけど、野中の一軒家じゃあるまいし、いかに室内飼いとは言え、遠吠えまでされると、シーッて止めに行かないわけにはいかない。
で、くりは言葉が通じないわからんちんなので、言われて鳴きやむわけもなく、嗜めてまた私が部屋に戻るとあれ?みたいに鳴き始める。これを鳴きやむまでほうっておく勇気が私にはない。
そして、そばにだれかがいれば、目が覚めていても静かにしているので、まだ夜中だよ、もう少し寝ようね、と、くりのそばの床で横になり、くりの毛にまみれてしばし休むのだ。
そして、やがて、もう我慢できません!とうろうろし始めるので、わかった、お庭に出ようか、と、懐中電灯をもって暗い庭に出る冬が過ぎて、全てが解け合う藍色から、輪郭がはっきりしてくる夜明けとなった今である。
毎朝、くりのすけのくり時計に起こされ、散歩の前段階の、庭をくるくる回ってトイレを済ませて待つ、という段取りになってしまった。なんだか、くりのすけにも使われつつ、夫にもサービスしてるみたいで、毎朝モヤるわたしは日々眠い。
くりのすけは日中爆睡してるから、ちっとも眠くはならないらしい。
そうだ、とりあえずそばにいれば静かにはなるのだから、と、くりのそばでnote を書いてみたのでした。