
勝手にチャレンジ1000 0092オレの草になにすっだ!くりのことを考える。
昨夜、久々にくりが怒りまくって夫に飛びかかって、Tシャツを噛んだ拍子にお腹に歯が当たり、夫はちょこっと怪我をした。私にも飛び付いて、ムーミンT シャツに穴があいてしたった。そして、ケージににげこんで、ギャンギャン吠えながら怒り続けるので、しばらくケージに閉じ込めて、タオルを掛けておいた。
怒りの原因はくりと庭に出た夫が、くりの目の前で草抜きをしたことなのだが、私の庭仕事、草をピッと一本抜いたりすることは構わないのに、なぜか、夫が、根を張った草を抜いて、一株ごっそり、土ごとがっぽりととれてしまった、みたいな時、ものすごく怒るのだ。
オレの草になにすんだ!
という感じ?
庭の草はオレのもの、なのかな?
そうだとしても、怒って噛み付く、というのは飼い犬にあるまじき所業。はっきり言って、こんな子みたことない。たぶん、素性の知れた可愛い子を飼ってる大半の人には想像できないと思うが、親や血統が知れないくりのすけは、育ててみたら、なかなか人に馴れないし、性格も攻撃的で、野性味の強い子だったのだ。
「骨太く、眼鋭く、高さは常の犬の倍にして、垂れたる耳、巻きたる尾、愛すべく」は、南総里見八犬伝の八房。怖い顔でも愛らしい、とかいてある。
くりのアザのくりのすけはその形相凄まじく、まさに犬神、もののけ姫のモロとか、殺生丸が乗ってる化け犬とか、とにかくイヌガミ様とか、浮世絵とかの絵ってほんとなのね、と、思うほど、眉間から口吻から、シワを寄せ、シワがよるから、引っ張られて目がつり上がり白目が多く見え、歯を剥き出しにして威嚇する。
それでも、くり、だめ!というと、急にストン、と、付き物がおいたよう(ナウシカのオウムの赤い目が青く鎮まるようだ!)に、しゅう、っと黒目に戻るようになってきたのが、昨日は興奮しすぎていてダメだった。
先日、トレーナーさんにしばらく預ける面談をした。保護犬あるあるですよね、みたいに言われたけど、そうなのか?いままでの子も保護犬だったりしたけど、ラッキーだっただけ?
トレーナーさんに客観的にみてどう思いますか?と聞いたところ、
「ご相談のお話から、もっとなれてないかと思ったけれど、この子は少なくともお父さんとお母さんにはなれてますね、で、わがままになってます」といわれた。
「でもー、だんだんいいこになってると思うんですけど。」
「それは、マロンちゃんがいやな思いをしないよう、飼い主さんが気をつけているからで、メリットがあるからです。デメリット、自分が嫌なことがあったときに突発的にもとの気性ががっとでますよ。」
はい、でました。見事に。
我が儘で噛まれる飼い主。そんなに情けない飼い主になった覚えはなかったのに。
結局、その日は、トレーナーさんとこで合宿する以前に
・首輪をつける(今はハーネスだけだから)。
・リードと鎖を付け替えるときに噛まない(散歩の後は気が立ってるので付け替えるときにガルルー、と、唸ったりもする)。
・要求吠えは、ダメ、といったらやめる。
・ハウスに入る(これは、入れるけど、ハウス、と言われたら、自分でいやがらず入る)
を、できたら、預かってもらえることになったのだ。そして、それができたら、後は、別に預からなくてもおうちでがんばれますよ、とも言われたけど(笑)。
ケージのなかでギャン鳴きから、甘え鳴きを経て、時々、なんだよー!腹立つー!みたいな訳のわからない吠えをくりかえしつつ、静かになった。しばらくしてタオルをめくると、なんだか、さっぱり落ち着いたくりになっていた。扉を開けると、するするとでてきて、気まずい空気を感じるのか、しっぽをぱたぱた、っと振ったりする。
なんかねー、しかたないね。きっと、何があったか、自分が何したか、もう忘れてるよ,この雰囲気。
と、私たち。
犬の知能は3歳くらい、記憶力は10分くらいらしい。今、の、ことは今,しかわからない。
躾は愛をもって、信頼関係を築くしかないのだけれど、生来の性格を矯正することはできないから、こういう、代々山のなかで暮らして(くりは、山のなかにいる群れの子供ではないか、といわれた)、野良で培ったような警戒心とか、攻撃性とかはなかなか無くならないだろう。それがあってこそ、この子まで命が繋がっているわけだから、保護されず、そのまま群れのなかで育っていたら,この、今のくりの力こそ生き抜く力になるはずだったわけだし。
ミルクをもらって、何もなかったかのように、満足そうに寝ているくりをみながら、もしかして、この子は保護なんかされない方が幸せだったのかな?と考える。たとえ、三年とか、五年とか、長くて十年くらいしか生きられなくても、食うや食わずでも、お母さんのそばで育ち,もしかしたら子孫も残せたりするかもしれない。
いやいや、もうそれは考えても仕方ない。
もらってきたからには返品不可。愛するしかないのだ。
しかしねー、オレの草になにすんだー!がおー!っていうのはねー。だいたい、オレの草って、なによ?勘弁してほしいわ。息子(獣医)から、くりの前で草むしるのはやめろ、ってお父さんに言って。それはただの挑発、あおってるだけだから、といわれました。
まあ、気を付けながらお互いの落としどころを探りつつ行くしかないよね。長い付き合いになるだろうし、だんだんいい子になってくり。
