同行-Join Hands①感想編/小歌神ディマシュin中国2
(Dimash 26)
(11,852文字)
(第1稿:2023年10月16日)
YouTube動画①:『同行-Join Hands』ディマシュ公式動画
『Dimash & Wei Wei - 同行 Join Hands (Golden Panda Awards)』
By Dimash Qudaibergen(公式) 2023/09/21
YouTube動画②:『同行-Join Hands』イメージMV
『The Golden Panda Awards theme song "Join Hands" released』
By CGTN 2023/09/19
・CGTN(中国グローバルテレビジョンネットワーク)は、CCTV(中国中央電視台)の国際部門。
【第1回ゴールデンパンダ賞(金熊猫賞)授賞式】
2023年9月20日、中国四川省の成都で「第1回ゴールデンパンダ(金熊猫)賞授賞式」が行われました。
この賞は、「中国文学芸術界連合会」と「四川省政府」が主催し、映画、テレビドラマ、ドキュメンタリー、アニメの四大部門が設けられ、中国の映画監督チャン・イーモウ(張芸謀)氏が審査委員長を務める映画賞です。
一応断っておきますが、ドイツの「ベルリン国際映画祭」のコンペティション部門における最優秀作品賞「金熊賞」(Goldener Bär)とは別物です。
中国のこの賞は「金熊猫」(パンダ)です。
「猫」、はいってます。
猫……?
dimash_latvia_dearsのIGより。2022年8月8日(猫の日)付。
スミマセン全然関係ない画像でしたが、手が埋め込みをクリックするのを止められなかった(笑)
今回の作品募集には104の国と地域から7024作品が集まり、うち海外作品が4927作と7割を占めていました。
事前審査の結果、日本からは映画「キネマの神様」、テレビドラマ「半沢直樹2」「俺の家の話」などがノミネートされたそうです。
この「金熊猫賞」が、世界の映画賞の中でどのような位置づけにあるのか、また、中国国内の映画祭の中でどのような位置づけになるのかはわかりません。あきらかに「ベルリン映画祭」を意識したネーミングのように見えますけどね。でもこの「ゴールデンパンダ」という、英語にするとちょっと可愛らしいネーミングをプッシュすれば、「ゴールデンパンダ、取ったよー!」とかっておもしろカワイイPRができて、映画の宣伝にはいいかもしれませんね。
審査委員長のチャン・イーモウ監督は1950年4月2日生まれの今年73才。1987年、監督デビュー作の『紅いコーリャン』で第38回ベルリン国際映画祭の「金熊賞」を受賞。(注1)
個人的には2002年の『HERO 英雄』が非常に好きでした。画面のあまりの美しさにDVD買いましたもんね。
YouTube動画:映画『英雄(HERO)』 TVスポット版予告編4種
By amaterasuan 2013/04/13
・この、何万という矢が飛んで来る撮り方は、その後いろんな映画やドラマなどで使われていました。
映画祭の全カテゴリーの受賞者リストはこちらから。
記事:『ゴールデンパンダ賞授賞式が南西中国の成都で閉幕』CCTN 2023/09/21
【作曲者はネイサン・ワン氏】
ディマシュはこの「金熊猫賞授賞式」のフィナーレで、この映画祭のメイン・テーマソングである『同行-Join Hands』を、中国の女性歌手ウェイウェイとのデュエットで披露しました。
(Wei Wei、簡体字では韦唯、繁体字では韋唯)
作詞はZhu Hai(朱海)。
作曲はネイサン・ワン(Nathan Wang、王宗賢)。(注2)
おお! そうだったのか!
9月18日に私がNOTEに投稿した、「『ドゥダライ』他/ディマシュの声、11才から29才」というタイトルの投稿文で、このネイサン・ワン氏とディマシュが「シンドラーのリスト」を演奏し歌っているシーンを検証しましたが、この時期の2人のコラボレーションがこの曲だったわけですね。
図らずも予習になったので、良かったです。
(投稿文→ https://note.com/yoko_t_dear/n/n48a69dd587df )
【中国人女性歌手、ウェイウェイ】
デュエットした中国の女性歌手ウェイウェイは、1963年内モンゴル自治区フフホトのチワン族の生まれだそうです。(注3)
1989年、26才の時に「愛の献身」という歌が大ヒット。
その後、中国の建国記念日を祝うテーマ曲、1990年「アジア競技大会」のテーマ曲、2007年「 FIFA女子ワールドカップ」の公式テーマ曲、2022年「冬季オリンピック」のテーマ曲などを歌っています。
推定1億~2億枚のレコードを売り上げており、『I Am A Singer』シーズン2(2014年)にも出場しています。
そして、国家から国宝と見なされている歌手だそうです。
この辺のバイオグラフィーがなんとなくディマシュと似てますかね?
またこの方は、歌手としてというよりも、1980年台後半以降の中国において、女性の社会進出の先駆けを象徴するような人だったようです。
ウェイウェイさんについては、スゥエーデンの雑誌によると「彼女は話す時は暗く、ほとんど男性のような声をしているが、歌い出すとその声はどこかへ行ってしまう」と評されていました。(Wikipediaより)
そのあたりもディマシュと似ていて、そのためでしょうか、ふたりのデュエットは非常によく合っていて、とても聴き易かったです。
YouTube動画:『爱的奉献 - 韦唯 (多伦多2006) Dedication of Love - Wei Wei (Toronto 2006) (Mandarin)』 by Music and Culture 2014/12/26
・2006年1月15日、カナダ・オンタリオ州トロントの「ロジャース・センター」での、ウェイウェイさんのライブパフォーマンス。
・始まって38秒ぐらいからウェイウェイさんが客席に向かって話し始めますが、その時の話し声が非常に低い声です。
【ディマシュの中国での位置付けの変化】
中国でのディマシュの歌手としての位置付けは、新型コロナ禍以前と以後とでは、かなり違うような感じがします。
2019年以前の中国でのイベントなどでは、ディマシュは当時の年齢的にも彼の人懐っこい性格からも「すぐそばにいて手が届きやすい、同級生の可愛い男の子」みたいなキャラクターで演出されていたような印象を持ちます。
ところが、今年1月の「スプリングスティバル」を見た時に、彼に仕事を依頼する中国側の意識が変化したのかな?と感じました。
そりゃそうだよね、今年1月の段階で、ディマシュももう28歳でしたから、もう新人ではありません。
それでもまだ20代であることは事実で、なのにこの歌唱力。
今回の授賞式ライブは、プレ録音のリップシンクではないかと思うのですが、ディマシュを見ているとそれを全く感じさせない、堂に入ったパフォーマンス力。
生で歌っても同じように歌えると思いますが、のちに映画祭とディマシュの両方の公式動画になることを考えてのプレ録音であろうと考えられます。
(注:このライブがプレ録音のリップシンクであろうという根拠は、ウェイウェイさんがブリッジの最初で口の動きが遅れたからですが、実際にはよくわかりません。勘違いかもしれませんので、その時はご容赦ください。
個人的には、プレ録音でのリップシンクについては、私は気にしません。生歌でもリップシンクでも、どちらにするかはその時の「著作権者」の側の事情があるわけで、本人が歌っているのならどっちでもOKです)
(追記・2024/06/09)
(「リップシンク」ではありませんでした、差し替えでした💦
ディマシュ、ウェイウェイさん、ごめんなさい!
ライブの時には実際に歌っているのですが、その後の番組の編集段階で、プレ録音の歌に差し替えてあります。
その後、そのほかの番組やイベントなどでdearsが録画した現場の映像と、放送された番組とを聴き比べて判明しました。
これは中国の番組製作上の慣例的な編集方針なので、いかんともしがたいですね😅
でも録音した歌でも、歌ってるのはちゃんとディマシュ本人ですからね!
ディマシュのとんでもない生歌は、コンサートで!)
また、1曲を通しての歌の安定感。
依頼された仕事をきちんとこなす性格。
そして、ウェイボーでの約800万人のフォロワー数。
そりゃ重宝されますよね。
要するにディマシュは、以前の「アイドル」的な扱われ方から、中国に入国できなかった新型コロナ禍の時期を経て、中国側から「プロフェッショナル」であると見なされ、そのように扱われるようになったのだと思います。
それほど彼が順調に成長し、中国側から見ても、その成長の度合いが著しかったということなのでしょう。
【ディマシュ、再び中国に到着の巻】
さて、前回の「中国インターナショナル・インテリジェント・コミュニケーション・フォーラム2023(長すぎ)」(9月9日)の参加を終えたディマシュは、次の日の9月10日、抗州蕭山国際空港を飛び立ち、韓国を経由してロスに帰ったようでした。
(抗州蕭山:こうしゅうしょうざん、ハンジョウ・シャオシャン)
16日には、ディマシュは「美しい夕焼け」と題して、どこだかわからない街を背景に撮った写真を、インスタグラムに投稿しています。
Dearsがウェイボーの位置情報を使った解析と、実際にホノルルで記念写真を撮った人の投稿から、ディマシュたち御一行様がハワイにいるらしいことが判明しました。
また、ボディーガード兼コンパニオンのタウさんが、マネージャーのジュアンさん、スタイリストのQiさんと一緒にハワイにいる動画をインスタのストーリーに投稿していて、この動画を撮ったのは誰だ?ピックアップトラックを運転しているのは誰だ? みたいに言われていました。
そんなこんなで18日、ディマシュは再び中国の成都天府国際空港に到着。
(成都天府:せいとてんふ、チェンドゥ・ティアンフ)
彼はdears達と空港を歩いている時、ちょっと疲れてる、1日以上寝てないと言っていました。
きっと寝ないで中国語の歌詞の練習をしていたのだと思っときましょう。
19日にはリハーサルのためウェイウィさんと会場入りし、次の日の本番に備えます。
jadecheung0524のIGより。Cr. 四川衛星テレビ(Weiboアカウント)
投稿者「ウェイウェイとディマシュがラフな格好でゴールデンパンダ・アワードのリハーサルに登場」
【金熊猫賞授賞式、レッドカーペットのディマシュ】
てことで、次の日、授賞式当日がやってきました。
そして、これです。
dear_4yleenのIGより。Cr. DimashStudio
投稿者「007の写真が出現」
なんでしょうかね?
この白黒の衣装。
たしかに映画「007」の主人公に見えなくもありませんが。
もしかして、パ……、パ…………、
「パンダ」のつもり!!!???
ディマシュパンダ!!!!???
可愛すぎる(笑)
dimash_alemiのIGより。2023年8月21日付
・ディマシュとパンダ。2017年『Singer2017』出演当時のエピソード。
えー、気を取り直して、レッドカーペットの「おめかしディマシュ」です。
moon.kudaibergen_2のIGより。ピースサインをするDiとWei Wei
そして、くるりんと巻いた前髪をひとすじだけ垂らした、この髪型ですよ。
かなりレトロな雰囲気というか、それはもしかして1950年代ロカビリー・ファッションの時の髪型じゃないすかね?
プレスリーですかね?
この曲のリアクション動画を投稿されていたYouTuberの男性諸氏は、皆さん結構この髪形がお気に入りのようで、必ずと言っていいほどこの「ひとすじの髪」に言及されていたのが面白かったです。
【『同行 ― Join Hands』歌詞の日本語訳】
ディマシュ公式動画にはすでに日本語訳がついていますが、感想を書くとなるとはやり自分でちゃんと中国語から直訳する作業を入れないと、ちゃんとした感想が出てこないことが分かっていますので、中国語からの日本語訳を置いておきます。
必要ない方は、次の項目まで飛んで下さい。
**********
『同行 ― Join Hands』 訳:yoko-tzm
(ヴァース1:ウェイウェイ)
互いに見知らぬ空間を歩いている
あなたは私を演じ、私はあなたを見ている
(ディマシュ)
忘れがたき映画のように 目に映る感情が魂の中心を射抜く
(ウェイウェイ)
夢の中で再び扉を開く あなたは私を想像し、私はあなたを創造する
(ディマシュ)
それはまるで美しい絵画のようだ
偶然あなたに出会った時の思いがけないその明るさは
(コーラス1:ウェイウェイ&ディマシュ)
時が経てば光と影の栄華が生まれ
あなたは私を追いかけ、私はあなたを待っている
毎日のこの瞬間を永遠に記録し、命の光はいつしか共に夢を超えていく
(ヴァース2:ディマシュ)
悲しみと喜びの中で世界の真実を伝え
あなたは私を連れ、私はあなたを連れて行く
(ウェイウェイ&ディマシュ)
終わらないエピソードのように
どんなに固い氷も融かすような温もりがある
(コーラス2:ウェイウェイ&ディマシュ)
太陽も月も、天も地も旅をする 光と影が心に寄り添う
紆余曲折の物語に 様々な情景が通過していく
地球は周り、あなたも私も共に主役
美しい結末が 互いの心に呼びかける
(ブリッジ:ウェイウェイ)
光と影の織り成す世界で あなたと私、共に行こう
(ディマシュ)
未来の光と影は あなたと私の心を照らすだろう
(コーラス3:ウェイウェイ、ディマシュ・ヴォカリーズ)
日も月も天も地も旅をする 光と影が心に寄り添う
物語は紆余曲折し 様々な情景が通過していく
地球は回り あなたも私も共に主役
美しい結末が 互いの心に呼びかける
美しい結末が 互いの心に呼びかける
(コーラス4フィナーレ:
ウェイウェイ+コーラス隊、ディマシュ・フリーラン)
火も月も天も地も変転し 私の心に光と影が寄り添い
紆余曲折の物語に さまざまな情景が通り過ぎる
パンダの眼で見れば 私たちは共に主役
パンダの世界では 愛はとても純真
愛はとても単純 ああ
微笑む私をあなたは抱きしめ そしてふたりは共に行く
さまざまなシーンをひとつにまとめれば
それはいつしか風景へと変わっていく
(訳詞、終了)
**********
最初に聴いた時には、画面に出ている英語の歌詞を読んで、恋人同士についての歌かなと思っていました。
ところが、自分で訳すと実はそうではなく、
「映画と、観客を含めた映画人との関係性」
を歌った歌だったことが分かりました。
映画祭のフィナーレの歌だから確かにそうなのですが、映画と映画人の関係もまた恋人同士のようなものであり、映画を見ることは人間同士の魂のふれあいの機会でもあり、映画を作り出す行為そのものがとても美しい物語である、と言っているようです。
また、ネイサン・ワン氏の作曲したこの曲は非常に覚えやすく、メロディだけに限って言えば、もしかしたらディマシュの曲の中で一番速く覚えてしまったかも。中国語の歌詞は全然ですがね。
そして、大団円にふさわしい壮大さと、優しく柔らかい印象、そしてこういう音楽にはとても珍しいことですが、どことなく陽気で愉快な雰囲気もあります。
(注2)のWikipediaと一緒に載せているワン氏のインタビュー動画を見ると、この方自身がまさしく陽気で愉快なお人柄のようで、それが音楽にも出ているのでしょう。
【ディマシュのデュエット、MVとステージ】
まずイメージMVで音楽を一聴して、驚きました。
え? ディマシュ、デュエット相手に、譲歩してる!??
今まで見たり聞いたりしたことのあるデュエットとは違って、人と一緒に歌うのを意識してるような気がするディマシュの歌い方です。
《デュエット、過去》
以前はどうだったかというと、これがいちばん分かり易いかな?
YouTube動画『Dimash & TerryLin~《Unforgettable day》』
by Ming Xi 2019/07/26
これは4年前の2019年7月21日、『ジャッキー・チェンの第5回国際アクション映画祭』で、台湾のシンガー、テリー・リンとふたりでディマシュの歌『Unforgettable day』をデュエットした時の映像です。
テリー・リンは中国の音楽番組『Singer2017』でディマシュと一緒に出演していた先輩歌手ですが、顔が似ていることが話題になって、ふたりは大の仲良しになりました。
ディマシュはジャッキー・チェンとも同番組で会っており、その後彼の映画の主題歌を歌っているので、この映画祭に呼ばれたようです。
それはともかく、最初にこの動画を見た時、もうなんて言っていいやらで困りました(汗)
ふたりがハグし合ってからの、最後のコーラスからエンドまで。
もう崩壊一歩手前じゃないですか。
ディマシュにとってもレンジ的にこの高音を出すのはすごく大変なんだろうと思いますが、デュエットであることを全然考えていない、一緒に歌う人に譲歩も合わせも何もない、ぶっちぎりの全力疾走。
ディマシュ、やり過ぎ(笑)
まあ、25歳の若さだから仕方ないですけどもね。
テリーさんがものすごく頑張って高音についてきてくれたし、テリーさんがコーダを一人で頑張ってくれたのでなんとか持ちこたえましたが、ディマシュ、コーダでコーラスを付けようとして付けられなくて、うわぁんもう、最後までハラハラが止まりませんでした。
その後、同年11月3日にロシアのイーゴル・クルトイ氏のジュビリー・コンサートで、アイーダ・ガリフリナとのデュエット、さらにララ・ファビアンも加わってのトリオがありましたが、こちらは一見、うまく出来ました感があります。
でもなー、気がついてしまうとディマシュくん、年上の女性2人にリードされてるんですね。
ララさんとは、お互いに活動する音楽ジャンルがほぼ共通しているので、ふたりの声のバランスや声の色合いも似ていたので、よく合ってます。
雰囲気もとてもいい感じです。
けど、アイーダさんはオペラ歌手なので声の音響が凄くて、トリオで歌い出すと他の2人の声をマスキングしてしまい、結果、ララさんとディマシュの声はあまり聴こえなくなります。
ちょっとヤバかった。
ディマシュもまだ25才で、この老獪な女性陣をリードするにはちょっと若いよな、みたいなヒヨッコ感も強かったんですね。
しかたないっす。イーゴルさんとしては、ディマシュに経験を積んでもらったのかもね。
《デュエット、現在》
で、ですよ、29才になったディマシュのこのMVですよ。
おや、ディマシュ、歌のアベレージをデュエット相手に合わせて、譲歩してるの?
ウェイウェイさんの声の繊細さを活かすような感じ、というか。
特に、ブリッジの最後にディマシュがD5で「在心」の「ヅァィ シィーーーーーン」を、チェストボイス系の大きなビブラートとロングトーンで歌うところ。
今までなら、ここで一発ぶっちぎりの大パワーで山場を作っていたような場面です。
それが、今回は山にはなってるけど、自分は山場ではありませんので続きをどうぞ、と言っている歌い方です。
そして次のコーラス3では、ディマシュはヴォカリーズに回り、焦点をウェイウェイさんのボーカルに集めます。
要するに、ちょっと引いて、負けてさしあげています。
びっくりしたなあもう。
そして、この授賞式でのライブの『同行』。
ウェイウェイさんをエスコートする様子が、まぁ見違えるように堂々たる態度でした。
見た目は、あの「くるりん前髪」のせいですごく可愛いのですが、会場に見に来ていたファンが撮った動画を見ると、彼のエスコートぶりがよくわかります。
dear_4yleenのIGより。
・舞台で歌うディマシュだけを映した、コーラス1までのファンカム動画。
背筋がきれいに湾曲していて、体幹が微動だにしない安定感。
ウェイウェイさんが最初にディマシュに左手を差し出しますが、その指先を彼が上からムギュっとつかむのは、いつも空港などで彼を送り迎えに来たdears達が伸ばしてきた手を上からムギュっとつかむのと同じしぐさで、そこはまあ、ご愛敬でしたが(笑)
不思議なものですね、自分がディマシュのどこを見て、彼がリードしてるとか、リードされるとかを判断しているのかは、実はわからないんです、そう感じるだけで。
《歌ってみた:ウェイウェさんパート》
そこで、なんとなくですが、ウェイウェイさんのパートを動画に合わせて歌ってみました。
メロディはとっくに覚えちゃったし、中国語の発音はとりあえず「なんちゃって状態」で。
すると……
おお!
なんて歌い易いんだ!
ちょっとびっくりものです。
ウェイウェイさんは今年還暦の60歳。
自分はさらにちょっと年上の、しかも素人ですから、もはや肺活量という名のエンジンは軽自動車の中古品程度です。
ですが、ウェイウェイさんのパートは、素人の中古軽自動車でもすごく楽に歌えます。
ディマシュの歌声をただ聴きながら、それに合わせて歌えばいいだけなのです。
他は何もする必要が無くて、なのに、ちゃんと盛り上がるところでちゃんと自分の声が出て来るし、小さくデクレッシェンドしていくところも、ディマシュの声を聴いていたら自然にデクレッシェンドしていきます。
スゲーな驚いた、すんごい楽しいんですけど。
《歌ってみた:ディマシュのパート》
ついでなので、今度はディマシュのパートを歌ってみました。
すると……
うわあああああああっっっ!!!
めっちゃしんどい!!!
ディマシュの低音からオクターブを上げて普通の音階で歌っても、かなりしんどいです。
コーラス部分はウェイウェイさんと同じメロディなのに、その前の段階でスタミナを全部使い切ってしまっていて、けっこう青息吐息になります。
歌うのが、つ、辛いです……。
そうか、この歌の全体の構造を決めているのが、ディマシュのパートなんだ。
だから、ウェイウェイさんのパートはそれに乗っていればいいだけなので、楽なんだな。
ディマシュのパートを歌うには、中古の軽自動車には無理でした。
なんかもう、乗用車なら最新型フェラーリのしかも新品の馬力か、でなければF1のエンジンを積んでないと無理、みたいなイメージです。
作曲したネイサン・ワン先生、それ、わかって作ってますね?
つまりあの「シンドラーのリスト」は、ディマシュがどこまでやれるかを冷徹に査定してたわけなんですね?
からの、このパートですよ。
ネイサン・ワン先生、陽気なふりして、サドだった(笑)
《ディマシュのデュエット歌唱》
そして、これらのサド的な構造のパートをすべてアベレージ以上で歌い切り、しかも女性歌手とのデュエットとして相手に花を持たせるような、ディマシュの歌い方。
ヴォカリーズがまた、美しかったですね。
ウェイウェイさんの繊細な美声に対して、その繊細さを壊さない、ふわーっと通り抜けていく柔らかい風のようです。
曲の最後あたりには、高音から、ディズニーの主題歌でよく聞くような、フィナーレを呼び込むために転調して螺旋を描く下降ラン。
ピッチがぜんぶ正しくて、ここを聴くと毎回うひゃあってなります。
大勢のコーラス隊が加わってからは、日本の演歌で言う「唸り」のような低音のgrowl(呻き)を入れた豪快なフリーラン、高音スタッカート、そして高音ロングトーンからの、髪型と同じように体をくるりんと1回転させてからのエンド。
特に愛らしかったのは、コーラス3の「呼喚彼此的心」のところのヴォカリーズです。
ディマシュが最高音E6に上がってからのロングトーンの最後を、伸ばしたまま終わらずに、下降する悲鳴のような、まるで子猫があくびをしてそのまま顎を閉じた時に出る「キャゥーン」みたいな鳴き声のような、ひゅんと落ちる声。
これがもうなんともいえず可愛らしく、しばらくは馬鹿みたいにここばかり繰り返して聴いてました(笑)
惜しむらくは、コーラス隊が加わったあとのシンガー2人の声のボリュームが、ちょっと弱めにミックスダウンしてあって、ディマシュの豪快フリーランがよく聴こえないことでしょうかね。
ともかく、そういうわけで、この歌とステージでのディマシュのリードぶりがとても良かったのが印象的でした。
先に書いたような技術的、体力的な面もあるのですが、もしかしたらそれよりも、ディマシュの低音が以前よりも深くなり、音響も広くなっていて、聴いているリスナーがその低音の「面積の広さ」に安心感を持つのかもしれません。
歌の全責任を背負ってくれるような、そういう安心感。
要するに、大人の男性の声である、と。
【小歌神】
ウェイウェイさんは、この映画祭のあと、ご自分のウェイボーに以下のような投稿をしていらっしゃいました。
dimash_dears_downunderのIGより
(少し長いので前半を割愛)
『マスターが手ずからこの輝かしくも素晴らしい作品を書いて下さり、それは参加者全員を立ち上がらせ、その場の幸せと喜びを表現していたのは驚くべきことでした。感謝祭でした。
『感謝可愛的小夥子 小歌神@迪瑪希Dimash
(Thank you for the lovely young man and the little song god,Dimash.)』(愛らしい青年、そして小さい歌の神様、ディマシュ、ありがとう)
「小歌神」
小さい歌の神さま
これはまさしく、ディマシュを言いあらわした言葉だと思いました。
彼とデュエットしたウェイウェイさんだからわかる、ディマシュの本質なのでしょう。
実は、私の夢にもこの「小歌神」のような、6~8才くらいのディマシュが出て来たことがあります。
小さいのに、ものすごく意志のはっきりした落ち着いた子供で、トルコ・ライブの『ギブミーラブ』でディマシュが着ていたような、黒い革で出来た裾の長い古典的な衣装を着ていて、古代の王族のように身分の高い地位にいる子供のようでした。
その小さい男の子は、窓からじーっと外を見ていましたが、最後には侍女たちが持ってきた小さくて豪華な祠のような籠の中に入ってあぐらをかいて座り、うとうとと眠りにつきました。
その様子は、今から思うとまさしく、ウェイウェイさんがおっしゃった「小歌神」のようでした。
おそらくそれは、ディマシュの中にいて、彼を守っている小さな神様の姿なのではないかと。
(それを何で私が夢に見るのかは、謎。夢でも妄想してるのか自分……)
その「小歌神」が、今までは眠りの中にいたけれど、最近は起きてきて、表に出て来るようになったのかな?とかね。
【エンディングのディマシュ、謎の行動】
というわけで、「小歌神」ディマシュは無事、ゴールデンパンダ・アワードのフィナーレを飾り、司会の3人がステージ正面に出てきて締めの挨拶を始めました。
ディマシュ公式の動画では、彼が右手を振り上げた動作の途中でバッサリ切れまして、「ディマシュ、なにしてんの??」という謎を残して終わります。
マジ、なにしてんの!??
この顛末は、実際のTV中継の動画で見ることが出来ました。
YouTube動画③:『同行-Join Hands』TV中継の全編。
『LIVE:THE GOLDEN PANDA AWARDS CEREMONY IS ON LIVE 金熊猫盛典正直播! 25个奖项今晚揭晓』 By Sharing Sichuan 2023/09/20
・該当箇所を頭出し。
実は、客席にカザフスタンの国旗を持った女性がいて、ディマシュはその女性と国旗に向かって、右手を挙げてガッツポーズを取ります。
ところがその国旗が、表裏だか上下さかさまだかになっていたらしく、ディマシュがそれに気がついて「さかさまだよ!こうやって直して!」というジェスチャーをしたようです。
ふたつ先のカットで、その女性がカザフスタンの国旗を両手でクシュっと畳んだ状態で持っているのが映ります。
ディマシュに気がついてもらったので、満足して畳んじゃったのかな?
おそらくカメラクルーも国旗に気がついてその女性を撮影し、スイッチングしているディレクターか誰かも、ディマシュの挙動に気がついて国旗の映像にスイッチしたのでしょう。
ディマシュ、司会者さんが喋っているすぐ後ろで、身振り手振りをして、目でOK出してる様子が丸映り状態(笑)
わりとフォーマルで大きな舞台なんですけどね。
でも、そんなこたぁ全然気にしないで、思ったことを素直~にやってしまう天然なところが、超絶に可愛らしくもあり、ちっちゃい歌の神さまがついてるパフォーマーなんだなあディマシュくんは、などと思ってしまう今日この頃なのでした。
(『同行』①感想編、終了)
【注解】
(注1) チャン・イーモウ監督
Wikipedia
(注2) ネイサン・ワン氏
Wikipedia
YouTube動画:『Asian Voices Season 4 Episode 4: Nathan Wang』
By Asian Pacific Voices TV & Radio 2022/03/15
・ネイサン・ワン氏自身が語る彼のストーリー
(注3) 中国人歌手、ウェイウェイ
Wikipedia
(注解、終了)