見出し画像

金継ぎはただの修復にあらず。

3年前、旅行先の陶芸工房で、娘が作ったお茶碗。工房の方の助けもあって大きさ・薄さ・形すべて使いやすいし、5歳当時の好きがつまった可愛い柄で、とてもとても気に入っていました。毎日、毎食、このお茶碗でご飯を食べていた娘。娘が大きくなって「他のが使いたい」と言ったら、私が使おうと思っていたくらい、我が家の宝でした。

画像1

好きな器ほど割れる。

でも先日不注意でパリーンと割れてしまったのです。娘はもちろん家族一同とてもショックを受けました。毎日使っている使いやすい器ほど割れてしまうのは、多くの人が経験しへこんでいることだと思います。

そりゃそうですよね、出番が多いから、壊れる可能性も高くなる。

画像2

思い出も愛着もあるお茶碗。割れたからって捨てられない。

「金継ぎしかない!」と即申込み。

大事な器が割れてしまったショックから、以前から気になっていたけれど、不器用でせっかちなわたしに出来るだろうかとしり込みしていた金継ぎワークショップに、自分でも驚くべき行動力を発揮して速攻で申し込みしました。ちょうど、Maker's Baseさんで期間限定の割引価格で参加出来ました^^

画像3

画像4

都立大学駅から徒歩1~2分という好立地に、地下1階~5階までの色々なモノづくりの出来るおしゃれな施設。今回は5階の陶芸フロアへ。

初めての金継ぎ体験

伝統的な金継ぎは、本物の漆を使うので、扱いが難しいし完成までも2、3週間かかるし、人によってはかぶれてしまうそう。

今回は漆の代わりに接着剤と工芸用漆などの代用品を用いつつ、見た目も耐久性も伝統的なものと変わらないし、2時間のワークショップ+乾燥期間3日間で完成というなんちゃって金継ぎ。

画像5

慌てず、じっくり、ぎゅっとおさえているのが大事と言われて、無になって数分間おさえていました。

画像6

「かりかりはみ出した接着剤をとってね」と教わった時は簡単に思ったんだけど、不器用な私には、思いのほか時間がかかった工程。

画像7

ほそーい線を書こうと思っていたのだけど、不器用ゆえ細く書くのが難しいのと、接着剤の補強の意味合いもあるということなので、当初のイメージよりちょっと太めのラインに。

画像8

書いた金の線が乾くのを待つ。あわてずに。あわてずに。

乾いたら、ささ~と筆が触れるか触れないかのかんじで、金粉をはたいて完成です。これで、3日間乾燥させます。

作った3年前のあれこれに思いを馳せたり、ちゃんとできるかなとドキドキしたり、どんな線を引こうとイメージを膨らませたり、、
もくもくと作業する2時間は、ひさびさに「没頭」を味わったすてきなひとときでした。

金継ぎはただの修復にあらず。魅力も思い出も継ぎ足される。

先生みたいに上手に出来ないし、娘はなんで言うかな、と心配だったけど、「ママすごい!ありがとう!おちゃわんかっこよくなった!」ととても喜んでくれてほっとしました。

「おちゃわん直ったお祝いにコーンごはん食べたい!」という娘の希望を受けて。

画像9


いつものコーンご飯がより鮮やかに見えました。金継ぎでお茶碗を修復しただけではなく、また新たな魅力を持ったように思います。ますます我が家の大事な器になりました。

息子が「ずるい。おれのも金継ぎして」と羨ましがっているのもかわいい。

わざと割ったりしないでほしいけど、また大事な食器が割れちゃったら金継ぎしよう。今回の体験をしたことで、最近人気の金継ぎキットで「自宅でも金継ぎ出来そう」というほのかな自信もついた。

大事なお皿こそたくさんたくさん使っていこう、って思えるようになったのは思いがけない、でもとても大きな収穫。

いいなと思ったら応援しよう!