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子は親の鏡

この春から中3の娘。

春休み中に、ふたりでお茶していたときのこと。
部活のダンスの動画を見ながらため息をつく。
「〇〇ちゃんと並ぶと、私のダンス、地味に見えるよね…」

人と比べて自分を嘆くようになったのは、いつからだろう。
以前はそんなことはなかった。
他の人のことなんて気にせず、
自分のことしか見ていなかった。
見て見て!私上手いでしょ!と
自信満々だったのに。

中2になるぐらいからか、
娘は、髪の毛の話ばかり。
毎朝のヘアセットにどれほど時間を使っているだろう。
アイロンを使って髪を巻き、
サイドに垂らした髪が多すぎるとか少なすぎるとか、
私は人よりおでこが広いから、前髪作って隠さないと、とか。
「おでこが丸いのはいいところなんだから、出したほうがいいよ」と言う
大人の意見には耳を貸さない。

でも、そんな娘の姿を見ていて、
ふと、自分の中1の体育祭のときの写真が
頭に浮かんだ。
「隣の友達に比べて、私の足は太い」
そう思ったことを鮮明に思い出す。
楽しかったとか、競技で勝ったとかではなく、
あの写真を見て、
私はまず自分と隣の子の足に目がいった。

自分にもそんな頃があった。
どうして忘れていたんだろう。
最近は、外見ばかりを気にする娘を見るにつけ、
「そんなことばっかり言ってないで、
もっと中身のあることしなさいよ」とか言ってしまう私。
自分のことは棚に上げて、
「親」というポジションで、
こうあってほしい、こうあらねば、という理想と照らして
子供を導くのが親の役目、と思っていた。

でも。
今日も鏡に向かって髪を整えるのに必死な娘の背中に、
かつての自分が透けて見えるような気がした。
子は親の鏡。
あなたの中に私が見える。
そう思えばこそ、
娘に対して、少し寛容になれるような気がする。

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