BUCK-TICKと俺。②「十三階は月光」2005年
■櫻井敦司「魔王」になる
2005年に発売されたBUCK-TICK14枚目(合ってんのか?)の恐ろしいアルバム。ゴシックで歌劇、まるで一つの舞台を観るかのような世界。暗くて重く見えるが歌モノとしても聴きやすく、楽曲も素晴らしい。という一粒で何度美味しいのかわからない傑作。
あくまで私の体感だが、櫻井敦司(あっちゃん)が本作以降「魔王」という世間的イメージが定着し、ライブでの見せ方(演劇的パフォーマンス)が増えてきたような気がしています。今回もレビューというよりはただの雑感と思い出語り。
■BUCK-TICK「十三階は月光」
▼M1 ENTER CLOWN(編曲: 今井寿)
まさに「幕開け」を感じるインスト曲。ロックコンサートじゃなく演劇舞台が始まるよ〜
▼M2 降臨 (作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿)
怖いイントロから「午前零時、針が止まる」と囁くボーカル。怖い。展開は重くヘヴィロック。ゴシックロック(短絡的表現)歌詞、曲の重さ、これ櫻井あっちゃんじゃないと表現できない。素晴らしい名曲。
▼M3 道化師A(作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿)
重い、暗い、妖しい。ドラム、ギター、ベースの音が好み。アルバム「Six/Nine」時のドラム音ぽくてカッコいい。「俺はお前を殺したいほど愛してる」あぁ怖い。
▼M4 Cabaret (作詞/櫻井敦司 作曲/星野英彦)
2時間サスペンスドラマ(死語)にありそうなイントロからノイジーなボーカルとギターで展開されるしっぽりノイズロック(語彙力)ギターリフは単調ながらもカッコいい。櫻井敦司の叫びも良い。「私は今夜もお唄をうたうの」良いフレーズ。
▼M5 異人の夜 (作詞/櫻井敦司 作曲/星野英彦)
タイトル通りの雰囲気。バキバキのチョッパーベースが最高にカッコいい。BUCK-TICKはベース主体の曲が多いのが良いんですよね。これも暗く怖いが歌モノとしても良いという良曲。
間奏のドラムループ、ギターも良い。たまらん。
▼M6 CLOWN LOVES Señorita(編曲:今井寿)
→インスト曲。怖い。ゴシックホラー。アリス的なおかしい怖さを感じますね。
▼M7 Goblin (作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿)
こういう曲のジャンル、何ていうんですか?「darker than darkness」収録の「神風」に似た雰囲気のやつ。ジャズではないけどロックとも言いにくい。BUCK-TICKでしか聴かない雰囲気(個人的)
▼M8 ALIVE (作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿)
→このアルバム唯一と言っても良いくらい軽く爽やか。ギターが効果的で気持ちいい。CureぽさはあるがサビはBUCK-TICK。
▼M9 月蝕 (作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿)
→ギターが重ければDoomMetalになるがそうはいかない。良い世界感。
▼M10 Lullaby II (編曲:今井寿)
→舞台の転調に使われそうな曲。怖い
▼M11 DOLL (作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿)
→ゴシックでミュージカル。ギター良い。このフレーズ思いつかんよ私は。ベスト曲の一つ。
▼M12 Passion (作詞/櫻井敦司 作曲/星野英彦)
→これがこのアルバムで一番好きな曲。何にも報われない歌詞、終末感ある曲の雰囲気。讃美歌のように聴こえるがそんなことはない。
▼M13 13秒 (編曲:今井寿)
→空白です。
▼M14 ROMANCE -Incubo-(作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿)
→初めてイントロ聴いた時、2時間ドラマ(死語)のエンディング曲みたい、と思ったことを告白します。すいません。メロディも凄く昭和のしっぽり歌謡のイメージでした。あくまで個人的に、ですよ。ただ凄いのがMV。
こんなに色気がありダークでゴシックな櫻井敦司かっこよすぎません?憧れから崇拝に変わった瞬間でしたね。ベストMV。BUCK-TICK公式様、早く全曲MV公開した方が良いです。お願い。
▼M15 seraphim (作詞作曲/今井寿)
→ドリーミーでふわふわしてるがやはり宗教的に感じる。「春狂夏空秋は異形でサヨナラだ」とか思いつかないんのよ今井氏の詞。
▼M16 夢魔 -The Nightmare (作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿)
→ミニマルでゴシックというなんとも凄い曲。聴きやすいが全体的に終末感。めちゃくちゃカッコいい。最高。
▼M17 DIABOLO -Lucifer- (作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿)
1993年のアルバム「darker than darkness」に収録されてそうな曲。これもどういうジャンルなんだろうと夜空を眺めながら全裸で考えることがあります(ない)次のアルバム「天使のリボルバー」に収録され、シングルにもなる「Alice in Wonder Underground」に繋がる雰囲気。これもBUCK-TICKじゃないとできない。
▼M18 WHO'S CLOWN? (編曲:今井寿・横山和俊)
→「十三階は月光」の幕が降りるための曲。アルバムの世界感。
■おわりに
アルバムとしての完成度は素晴らしく、BUCK-TICK=ゴシックのイメージを再び決定づけた(「悪の華」が最初かなと思います)名作。
ただ、本作以降、櫻井敦司は「魔王」でなきゃならないという呪いに囚われたような気がするんだよなぁ。(SNS等で魔王と呼ばれてるのを見るたびなんか嫌な気分になり「短絡的すぎじゃねぇか、あっちゃんはもっと人間的で血なまぐさいぞ歌詞を見ろ」とか拗らせていたことを告白します。すいません)
また、本作をきっかけにBUCK-TICKが日の目を見出した(栗山千明さんが「好き」と公言してたと思うんです。違う?)時でもあり次作「天使のリボルバー」で凄くファンが増えた(戻ってきたのか?)感があり、そういう意味ではBUCK-TICKが再び「明るくなった(暗いアルバムなのに)」作品。これ以降、どんどんライブチケットが取りづらくなったんだよなぁ。(1997年〜2003年頃に熱心にライブ行ってた方ならわかるはず)
そして翌年2006年に2回目のサマーソニック出演。インデックス大阪で観たなぁ。
というわけで個人的BUCK-TICKベスト10アルバムの2枚目「十三階は月光」の個人的レビューでした。あと8枚、何が出るか楽しみですねぇ〜ケケケー!