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BUCK-TICKと俺。③「MonaLisa OVERDRIVE」2003年


2003年に発売されたBUCK-TICKの13枚目のアルバム「MonaLisa OVERDRIVE」。23枚あるアルバムのうち、個人的におすすめしたい10枚を勝手に紹介したい。今回は3枚目。相変わらずレビューというより雑感と思い出語り。


■先行シングル「残骸」


タイトルがもうね、「残骸」ですから。歌詞の退廃的終末感(語彙力ぅ〜)テンポ良く救いなし。何かのマンガやアニメの主題歌になりそう。(なってない)楽曲はシンプルでパンク的。カッコいい。


■アルバム「MonaLisa OVERDRIVE」


M1 「ナカユビ」作詞/作曲 今井寿
→BUCK-TICKなりのパンク。構成はシンプル、ブラスト的ドラムで押し切る。BUCK-TICKには珍しい「怒り」がストレートに表現されており、ライブでもモッシュダイブが起こってもおかしくはなかった。(少なくとも私の行ったライブでは無かった)
M2「BUSTER」 作詞/作曲 今井寿
→シンプルかつ重い(重すぎない)ドラムとベースがループしながら淡々と進むミニマルナンバー。BUCK-TICKお得意の展開。2000年発売の「ONE LIFE,ONE DEATH」収録の「CHECK UP」に似た(今井氏櫻井氏のダブルボーカル)兄弟曲感。歌詞良し曲良しの良曲。

M3「残骸 -Shape2-」 作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿
→先行シングル曲。パっと聴いてもシングル版との違いはわからない(今もわからない)この詞世界を歌えるのは櫻井敦司のみ(常人ならただのギャグになる)。美学。

M4「LIMBO」 作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿
→打ち込みでリズムをリードする「Buster」よりもエレクトロ的でよりミニマル。歌詞は昔の曲をオマージュしたフレーズもあり、聴きやすくカッコいい。良曲。好きです。

M5.「Mona Lisa」 作詞/作曲 今井寿
→「Schiz·o幻想」の別バージョンと思うくらい似ている展開。だがサビは激情と熱いギターリフ。これも今井氏櫻井氏のダブルボーカル。

M6「GIRL -Shape2」 作詞/作曲 今井寿 
→BUCK-TICKでは結構ストレートなラブソング。曲調はオルタナ歌謡曲。一風堂がやりそうな雰囲気。

M7「Sid Vicious ON THE BEACH」 作詞/作曲 今井寿
→BUCK-TICK版「Anarchy in the U.K(Sex Pistols)」。今井氏ボーカル曲。フェスで遠藤ミチロウ氏と歌ってた(よね?)ただ、ひたすらダルく流れるパンク。これはもうBUCK-TICKではない曲。

M8「BLACK CHERRY」 作詞/櫻井敦司 作曲/星野英彦
→星野氏作曲らしくUKロック感ある気だるさ。Happy Mondays的。このダルさいいよね。

M9「原罪」 作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿
→2007年のアルバム「天使のリボルバー」に
収録の「REVOLVER」の兄弟曲(そうか?)。こちらもシンプルギターリフとリズムで押し切る曲。

M10「MONSTER」 作詞/櫻井敦司 作曲/星野英彦
→かなりノイジーなギターが良い。サビでちょい抜けするが基本リフで押し切る感じ。

M11「愛ノ歌」 作詞/櫻井敦司 作曲/今井寿
→ギターリフがカッコいい。1996年発売 アルバムの「COSMOS」に収録されてそうな曲の雰囲気。(Living on the Net)に近いベースライン。全然ちがうって?そうですねすいません。

M12「Continuous」編曲: 今井寿、横山和俊
前作「極東I LOVE YOU」の最終曲「Continue」と対になる感じ。こちらはドリーミーで空間的。良い。

■おわりに(サマーソニックの思い出)


同年、BUCK-TICKはサマーソニックに初参戦する。もちろん私は観た。

サマーソニック2003パンフレット。レディオヘッド、Creepを演る!という伝説の年。もちろん観た。
当時の私の思いを代弁してくれた紹介記事。わかる人はわかってた。

サマーソニックではめちゃくちゃ熱いライブが展開され、押し合いへし合い(へし合うって…?)の観客に混じり熱狂していたのだが、観客の1人(男子)が「あつしー!あつしセーックス!!!」と大声で連呼する状況。それを聴いたあっちゃんはクールに「セクスィー」と言い、女体を模したマイクスタンドをさすり続ける始末。熱い。

■おわりに②


1997年頃〜2003年頃にかけてのBUCK-TICKは世間的な人気は一段落し、「ゴシック」「ビジュアル系」というくくりから抜け出そうとしていた時期ではなかったかと思う。BUCK-TICKが「見えないものを見ようとする誤解」と歌った後、バンプオブチキンが「見えないものを見ようとして望遠鏡をのぞき込んだ」のもこの時期。ミッシェル・ガン・エレファントの台頭や黒夢がパンク化し大成功、マッドカプセルマーケッツ、GLAY、ラルク、LUNASEAのブレイク、電気グルーヴも世間的な認知を得てレイブイベント「WIRE」を主催、DIR EN GREY、くるり、SUPERCAR、ナンバーガールのデビュー時期もこの頃。いわゆる世代交代時期。(上記バンド、アーティストは全てマイフェイバリットなアーティストです)
その中でBUCK-TICKは世間的な「ビジュアル系」という縛りに苦しんでいたような気がする。個人的にBUCK-TICKは一つのジャンルに縛られない素晴らしいバンドなのに何故?と憤りを覚えた頃でもある。(ロッキン・オンこそが日本のロックでありそれ以外は違う、という雰囲気も感じ、すごく嫌だった)
そして本作は12曲の内、5曲が今井氏作詞(およそ半分)というボリューム。櫻井氏もこの頃作詞についての自分のあり方をインタビューで語っていたと思う。この翌年、櫻井敦司氏はソロで「愛の惑星」(SMELLという曲がなんと岡村靖幸プロデュースという最高の組み合わせ!素晴らしい!)というアルバムをリリース、今井寿氏は「Lucy」というバンドでストレートなロックをやるという展開。BUCK-TICKというバンドでの活動を一旦考え直す時期だったりしたのかなぁと。
その後2005年に化物アルバム「十三階は月光」が生まれるわけ。
そういう意味でもBUCK-TICKの怒りと今後の方向性の迷い等、ファンとしては色々考えさせられるアルバム。でも個人的には好きなアルバムです。
以上。駄文と個人的な思い出でした。

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