困るお掃除ロボット

いつからだったか、会社にお掃除ロボットが試験導入された。もちろん人件費削減を目的とした活動だろう。

通達とともに、
人を感知したら止まるけど、邪魔はしないように。との注意書きもあった。

導入されてから私は全く遭遇することなく、昨日まで通勤し続けていたのだけど、今日ついに、遭遇した。

階段を使って一つ下のフロアに行くと、ロボが停止していた。
ルンバを想像していたので、思った以上の大きさにびっくりした。そりゃそーか、会社の中だもんな。ルンバではゴミがすぐいっぱいになってしまうだろう。
このロボは、なんというか一抱え出来るくらいの大きめのゴミ箱という大きさだった。
いかにもたっぷり入りそうだ。

なんで止まっているんだろうと思い、モニターを覗くと、

充電をしてください

の文字。
あー、業務部の痛恨のミスだ。

しかるべきタイミングで充電してもらえなかったこのロボは、お掃除の半ばにパワーダウンしてしまったわけだ。

あーかわいそうに、充電のとこに連れて行ってあげたい。
なんだか迷子になって困っている子供を見ている気分だ。

とはいえ、私も忙しい身なので、その場を去った。用を終えてまたそこを通ると、まだいる。
早く充電してやれよ!
心の中でそう思いながらロボに近づくと、角の反対から来た人も同じように、なんだか心配げにロボを見ながら通り過ぎていた。

みんな同じ気持ちだ。と思った。
なぜ、自動で動くものにこんなに感情移入してしまうのだろう。相手はお掃除ロボットなのに。
なんとなく、背中(ないんだけど)に哀愁を感じる。助けてあげたいと思ってしまう。
なんだか、深夜残業なんかしちゃった日に遭遇したら、話しかけてしまいそうな勢いだ。
きっと誰か、1人くらいはやってる気がする。

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