駒姫と畜生塚(その2 全3回)
そうじゃ。忘れはせぬ。8月二日の事じゃった。良く晴れた日でな。暑い日じゃったよ。朝早くから町の中をな。あちこちへとな。車に乗せられた姫さんたちが、おいおい泣きながら何台も通って行ったんじゃ。抱かれた赤子もいた。まだ二つか三つくらいの子もいた。最後の車にはな、泣きもせずにこちらを見ている姫さんがいてな。色白の美しゅう姫であった。それが遠く最上からつい来たばかりの駒姫じゃった。もうひと月、ゆっくりしておればこんな不運にも会わずにすんだものに。
後から聞けば、駒姫は39番目の側室としてな聚楽亭で秀次様のお声かけを待っていたそうじゃ。ひと目も見ぬうちに側室全員の磔が伝えられたとのことじゃ。
まだ15になったばかりじゃったそうだ。秀次様は28じゃよ。市中引き回しが都見物となったとはむごいことよ。
あの日、三条河原の竹矢来の外には大勢集っておった。ワシも見ておった。竹竿に秀次様の首が刺さっておってな。駒姫様はじっと見ておったな。子供たちが最初にやられて、姫様たちはずらり磔になってな。端から矢が射込まれていきおった。声を出さんもんと、叫んでいるもんとがあったの。
さて、手伝ってくだされ。秀次様と姫子たちが畜生とはあまりにも逢われ哀れじゃ。墓を掘り起こしてひとりひとり懇ろに弔ってやりたいのじゃ」
「ほお、お可哀そうなことよ・・・」
今日はここまで、読んでくれてありがとう!あまりに惨いお話に、みな沈痛してしまったよ・・・。お休み、ポン!
#日本史 #戦国時代 #豊臣秀次 #最上義光 #駒姫 #畜生塚