お小夜(おさよ)の夜泣き石 その2(全2回)


忠春の奥様はね、召使(めしつかい)を使ってね、竹の棒でお小夜を打たせてみたり、水の中につけてみたりと、さんざんにいやなことをして、責めたてたんだ。けれどもね、お小夜は、お殿さまに迷惑がかかってしまうからと、ぎゅっと口を結んで何も言わなかったんだって。何も言わないお小夜を見ると、余計に憎らしくなり、焼き餅焼きの奥様はとうとうお小夜をお城の井戸に縄で縛って宙づりにして、棒で打ったりしたんだって。そんな責め苦にもお小夜は耐えて、何も言わなかったんだ。これを見た奥様は、もっと焼き餅に狂ってしまったよ。奥様はね、お小夜が目障りでたまらなかったんだ。

ある夜のこと。奥様はお小夜を連れ出すと、何とお城の中にある池の中へと投げ込んでしまったんだ。

次の日の朝の事
「本丸下の池の水が白く濁っております。また、お小夜がどこにも見えないのでございます」
忠春は、この知らせを聞いて、もしやと思ってびっくりしたよ。
「すぐに、池の水を掻い干すのじゃ。」
忠春の命令で池の水は掻い出されたんだ。けれど、忠春がもしやと思って心配していたものは、何も出てはこなかった。ただ、大きな石と小さな石が寄り添うように並んであったんだって。池に投げ込まれたお小夜は赤ちゃんを産んでお乳をいっぱい出すと、赤ちゃんと一緒に石になっていったんだね。だからお乳で池が白く濁っていたんだ。忠春はね、この二つの石を見ると、苦しそうに何も言えなかった。奥様に見られないようにこっそり泣いていたんだって。それからというもの、すっかり元気がなくなってしまったんだって。

このことがあってからさ、夜になると、この石からは赤ちゃんの泣き声がするんだって。遠くに近くに細い細い赤ちゃんの泣き声が切れ切れに聞こえてくるんだって。そうさ、だから今でも夜泣き石と呼ばれているんだよ。今でも聞こえてくるのさ。

今日も最後まで読んでくれてありがとう。
お休み、ポン!か

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?