西行(さいぎょう)の戻り橋 その3(全3回)
「その絹を売るか?」
と西行(さいぎょう)は娘に尋ねてみた。
「ウルカとは 川の瀬に住む 鮎のはらわた」
するとこうして五七七で答えたんだって。いよいよ意味が分からなくなってしまった西行は秩父路の方へは行かずに寄居の本宿(もとじゅく)の方へ引き返してしまったという。今では西行戻り橋は土橋に変わって、コンクリートの橋になっているとのこと。
さて、西行の歌はね、日本中のあちこちに残っているんだよ。大昔の和歌の本の新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)とか百人一首なんかにも西行の和歌が載っているよ。
世を捨つる(すつる)人は まことに捨つるかは
捨てぬ人をぞ 捨つるとはいう
世を捨てる人は本当に世を捨てたというのかなぁ。
世を捨てていない人こそ、世を捨てたひとと言うんじゃないかな
これは、世捨て人になっていった西行の有名な和歌なんだって。
ボクは、お仕事も家族も捨てて家を出てしまったけれど、
これを本当に世捨て人と言うのかなぁ。
ボクは心の中に{生きている}っていう感じとか、{嬉しさ}を探してこうして家を出たのだから、本当の世捨て人とは言わないんじゃないかな。
家にいてもう決まっている仕事や家族や子供たちと毎日を過ごしていることの方が心の{嬉しさ}を見つけることを諦めているんだから、そちらの方こそ世捨て人と言うんじゃないかな。
こんな風なことなのかな。皆も大きくなって西行の作った和歌を見ることがあったら、いろいろに考えてみてね。パパママにもどんな風なことなのかを聞いてみようよねぇ。
じゃぁ、お休み。
最後まで読んでくれて、ありがとう。ポン!