平清盛と松王丸 その3(全3回)
「私を人柱に立ててください。そうして34人を助けてあげてください。まだ小さな子供もおりますし、家族のあるお父さんもいます。私は喜んで海に入り竜神様をお慰めいたします。」あまり熱心に頼むので清盛も心を動かされ松王丸を人柱に立てることにしたんだよ。だから牢屋に入っていた人たちは皆助かった。松王丸はね、
経石といって、お経を書いた石を胸に抱いて、海の中へゆっくりと入っていったんだって。
松王丸の心が竜神様に通じてね。それから工事はうまくいって、大輪田福原の港は立派に出来上がったよ。でもね、清盛は寂しくって寂しくってならなかったって。
清盛はね、朝に夕に松王丸と眺めていた淡路島の絵島に松王丸の御霊をお祀りすることにしたんだよ。
昔はね、海や川には龍の形をした竜神様ってのがいると信じられていたんだよ。だから工事をする時には、「ここで工事をしますから、よろしくお願いします」って生きた人間をプレゼントにしたんだよ。可哀そうだし、怖いね。
さあ、お休み。