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20 眼:丸くしたり、なかったり
眼(目)は光を受容する感覚器である。光の情報は眼の網膜で受容され、神経を通じて脳に送られ、「物や光景を観る」ことができる。これが視覚である。聴覚、触覚、味覚、嗅覚を加えて五感になる。ヒトの場合、通常の生活において、視覚から最も多くの情報を入手している。
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眼の構造はカメラとよく似ている。シャッターに当たるのが瞼である。レンズを通して光が内部に入ってくるが、レンズに当たるのが水晶体である。カメラの絞りに該当するのが水晶体の前にあるのが虹彩(こうさい)である。虹彩における光の通り道が、瞳孔になる。カメラのフィルムに当たるのが、網膜である。
遠近調節にも触れておこう。カメラのピント調節は内部のレンズを前後させて行う。眼の場合は前述の水晶体の厚みを変えることによりピントを調整する。これを行うのが、水晶体につながっている「毛様体」の筋肉とここから出て水晶体を引っ張る「チン小帯」という結合組織である。
ヒトの場合、まぶたの間から白目の部分が見えること、その上に眉毛があることは独自の特徴である。眼は表情を構成する重要な要素であり、視覚的な個体間の情報交換、いわゆる非言語コミュニケーションの大きな部分を担っている。目と目を合わせることをアイコンタクトと言う。白目と顔の識別は本シリーズに記している1)。
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涙器には涙腺と多数の涙道がある。平時には少量の涙を分泌し、眼球の乾燥を防いでいる。通常、涙は目頭の方へ集まり、涙小管から鼻根部にある涙嚢そして鼻涙管を通じて鼻腔に落ちる。涙の中には細菌の細胞壁(ペプチドグリカン)を分解する酵素リゾチームが含まれている。
涙は単に眼を洗浄する役割以上に感情と強い結びつきを持つ。感情が高ぶった際に多量に分泌される。悲しい時や嬉しい時に流れることが多い。痛みを感じた時、吐き気がする時、悔しいとき、大笑いした時などに流れることもある。感情による涙の場合は通常の排出(涙点経由のもの)では間に合わず、涙が目の外へ流出する。このような声を出す一連の動きのことを「泣く」と言う。
生物がいつ視覚的な能力を獲得したのかは定かではない。原生生物のミドリムシは、鞭毛基部に感光部を持つ。これらの例から、21億年以上前の単細胞生物が光を感知できたという考え方もある。先カンブリア時代以前から、生物は光を捉える細胞を備えていたことは確実である。これが爆発的な進化を遂げたいわゆるカンブリア(約5億2000万年前)爆発である。浅瀬の海を舞台に、視力を持てば捕食のため、または敵から逃れる上で非常に有利に働く。カンブリア紀は、眼が生存に有利な器官として進化と多様化を進めたと考えられる2)。これを「光スイッチ説」と言う。
最後に、眼のことわざと四字熟語を紹介しておこう。
*ことわざ
目を丸くする 目を細める
目を光らせる 鵜の目鷹の目
目を皿にする目を見張る 目をこらす
目をかける 目を奪う
目は口ほどに物を言う 目の色を変える
目には目を 目に余る
目くばせする 二階から目薬
目からうろこが落ちる 一目置く
生き馬の目を抜く 鬼の目にも涙
岡目八目 恋は盲目
猫の目のよう 目先の利益
弱り目にたたり目 目がない
*四字熟語
雲煙過眼 雲烟過眼 煙雲過眼 烟雲過眼
開眼供養 眼光炯炯 眼光紙背 眼高手低
眼中之丁 眼中之釘 眼中之人 眼中無人
巨眼赭髯 紅毛碧眼 紫髯緑眼 釈眼儒心
心耳心眼 酔眼朦朧 着眼大局 点晴開眼
白眼青眼 媚眼秋波 碧眼紅毛 冷眼傍観
1) 興味深い顔と表情 https://note.com/yokko752/n/n2b5e0e9491e7
2) アンドリュー・パーカー「眼の誕生」草思社(2006)
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