見出し画像

【天気】穴あき雲

■ 穴あき雲

 今日は各地で「穴あき雲」が見られたようですね。

 私は見れませんでしたが、朝チラッと見た感じでは確かに巻雲が広がっていたなぁという印象でした。

■ なぜ穴が開くのか

 気になるのは「なぜ穴が開くのか」ですよね。雲研究者の荒木先生の説明を見てみましょう。

■ 十種雲形

 ポイントは「うろこ雲」と「過冷却」の2つです。まずは「うろこ雲」から。Wikipedia先生で見てみましょう。

巻積雲(けんせきうん)は雲の一種。白色で陰影のない非常に小さな雲片が多数の群れをなし、集まって魚の鱗や水面の波のような形状をした雲。絹積雲とも書く。また、鱗雲(うろこ雲)、鰯雲(いわし雲)、さば雲などとも呼ばれる。

「うろこ雲」は別名「巻積雲」と言うようです。雲の形は十種雲形と呼ばれる種類に分類することができて、モクモクしている雲は「積雲」と呼ばれ、横に薄く広がる雲は「層雲」と呼ばれます。

 そしてその雲の高さに応じて、上空10kmのような高いところにある雲には「巻」がつき、5km付近にある雲には「高」が付きます。これで以下の6種類は覚えられますね。

その6種類に下層の方で、モクモク長い層積雲、雨を降らせる乱層雲、夏場の主役の積乱雲、上層の方の糸こんにゃくのような巻雲の4種を足して10種ですね。

 今日の主役は一番上層にあるモクモク雲の巻積雲ですね。こいつに穴が開いたのが珍しい現象のようです。

■ 過冷却

 上層雲と呼ばれる1番高い雲は、上空5~15kmにできています。だいたい飛行機が飛ぶ高さぐらいですね。この時期の上空10kmと言うと気温が-30℃ぐらいで、夏場でも氷点下なので、巻雲などの上層雲はふつう氷の粒(氷晶)でできているんですね。

 でも今日の巻積雲はちょっと違ったようです。実は高積雲と巻積雲は高さだけの違いなので見分け方が難しく、今日の雲はおそらく5~8km付近にあったんだと思います。気温は氷点下だけど-5℃に行くかどうかというラインの所に雲ができていたんでしょう。

 化学の授業で出てきたかもしれませんが、実は水は氷点下でも存在することができます。これを過冷却と呼びます。

過冷却(かれいきゃく、英: supercooling、undercooling)とは、物質の相変化において、変化するべき温度以下でもその状態が変化しないでいる状態を指す。たとえば液体が凝固点(転移点)を過ぎて冷却されても固体化せず、液体の状態を保持する現象。水であれば摂氏零度以下でもなお凍結しない状態を指す。第一種相転移でいう準安定状態にあたる。

 水は0度になると凍ってしまうのですが、実はゆ~~っくり優し~~く気温を下げていくと、0度になった事に気づかずに水のままの状態(過冷却水)で居られるんですね。雲なんかは風が弱いと衝撃はほとんど無いですから、今日の高積雲はゆっく~り気温が下がった過冷却水滴でできていたようです。

そんな感じでできた過冷却水なので、

水の場合、衝撃を与えると急激に凍る。

の通り、何か衝撃を与えると「ザッ!」と一瞬で凍ってしまいます。

「やべっ!先生来たっ!」という感じですね。本来氷であるべき0度以下の状態で、かろうじて水を保っていた過冷却水的達が、何かの刺激で一瞬で「やべっ!!」となって一斉に氷になった場所に穴ができたようです。

 「水から氷に変わっただけなのになぜ穴が開くの?」と思われる方も多いと思います。0度以下に気づいて「やべっ!!」となった雲達が一気に水から氷に変わると、何も熱のやり取りが無いまま凍ることはできないので、代わりに蒸発する過冷却水も出てくるんですね。まさに勝負を分ける一瞬のやり取り。

 蒸発した水滴は目に見えない水蒸気になるので、一瞬のやり取りで凝結した雲たちが氷晶として目に見える形で残り、反対に蒸発した雲たちは水蒸気として目に見えなくなる、という過程を経て、穴が開いたように見えるようです。

 ちなみにちゃんと蒸発した水蒸気たちも、凝結組の氷晶に吸い込まれてくっついていくようなので、めでたしめでたしですね。

以上、穴あき雲の解説でした!

いいなと思ったら応援しよう!