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島崎酒造さん訪問
栃木県那須烏山市にある酒蔵
島崎酒造さんを訪問しました。
1849年(嘉永2年)創業。
代表銘柄は「東力士」
そして長期熟成古酒の「熟露枯(うろこ)」
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島崎酒造さんの屋号が「△」で
これは魚の鱗に似ているので「ウロコ」と呼ばれるマークです。昔から島崎さんは周りの住人たちから「ウロコさん」と呼ばれていました。
熟成を経た酒「熟れて枯れた露」という意味を 屋号の読み方に重ねた素敵な名前だと思います。
さて、こちらの酒蔵の一番の特徴は
トンネルを利用した長期熟成古酒。
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奥行き100メートルの道が3本、
それと交差する横道が60メートル×6本という
広〜い洞窟。
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これは1944〜45年の第二次世界大戦中に、戦車を製造、保管しておくための地下工場として人力で掘られた洞窟。掘り終わったと共に終戦を迎えたので実際に戦車工場として使われることはなかったそう。
戦後何十年も使われる事がなく、不法投棄場のようになっていたこの地を
島崎酒造の先代が平成19年に日本酒の貯蔵庫として蘇らせました。
今では那須烏山市の近代文化遺産に指定されています。
洞窟の中は太陽の光がまったく入らず
夏でも15度以下、冬でも5度以上を保ち
平均10度と非常に日本酒の熟成に向く環境。
しかも一定の温度で寝かせるよりも、この5度〜15度という低い中での温度変化が お酒の熟成に良い影響を与えているようなんです。
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洞窟の中で静かに眠っているお酒たち。
長いものでは50年の古酒もあります。
私が生まれた年の物もあり感慨深いです。
熟成により増すのは美味しさや香りの豊かさだけではありません。
子供の成長を思い、20歳になったら一緒に飲もうとお子様の誕生年に熟成を開始したり
結婚とともにお酒をあずけたり
病気の回復を願ってお酒を預け、退院したら飲む目標にするなど
皆さんそれぞれの未来に向けた想いを一緒にお預かりしている、そんな洞窟蔵です。
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先代の社長は二級酒、普通酒が一般的な時代に
いち早く 香り高い綺麗な酒質の「大吟醸」を仕込みはじめました。
しかし、海が無い県の 山あいの土地柄
干物・漬物・煮物と塩分摂取量が多い食生活にはどちらかというと濃くて甘めな酒が求められ
スッキリした大吟醸は思うように売れませんでした。
そこで一旦タンクのまま常温で熟成
その後火入れ瓶詰めしてさらに低温で瓶貯蔵してみたところ、なめらかで深みの増したうっとりする熟成酒が出来上がったのです。
そこで使われていなかった、あの洞窟を貯蔵庫にしようと。
素晴らしい発想ですよね。
そして時代がやっと追いついてきました✨
島崎酒造さんの「熟露枯」は
一般社団法人 刻SAKE協会のスタートアップにおける刻SAKE認定酒です。
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国内での消費が右肩下がりで年間数蔵ずつなくなっていく日本酒業界。
日本の消費者にとってもまだまだわかりにくく
ましてや外国人にとっては非常にわかりにくい日本酒の世界。輸出における問題もたくさんあります。
そんな中、世界のワインやウイスキーのように
熟成によって刻を重ねたお酒の価値を適正に上げていくこと、世界基準に合わせた定義づけをしていくこと、世界の人々に愛される日本酒にしていくことを目的として発足したのが「刻SAKE協会」です。
熟露枯の10年古酒をテイスティングすると、
ナッツ、ドライいちじく、花のようなエレガントな香りがグラスから立ち上がる。
口に入るととても滑らか。
甘やかさが舌に広がりとろけるようなテクスチャー。甘美。
後半はほんのりビターさと軽い酸が、バランスを取り引き締めている。
食中でも、お酒単体でうっとりできる素晴らしいお酒になっています。
紹興酒に近いような長期熟成古酒ではなくて、
お花のようなエレガントさや、蜂蜜やメープルシロップのようなとろける甘美さを持ち合わせた 他にはあまりない 美しいお酒です。
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是非機会があればお試しいただきたいです!
古くから熟成の素晴らしさを知り 続けてきた島崎酒造さんだからこその
熟成酒への考え方、造り。
今後の日本酒業界の課題や 新しい取り組みへのアイデアなど本当に良いお話ができました。
島崎健一社長
ありがとうございました✨
じつは楽しみなプロジェクトを一緒に進めようという話になりまして😄
これからよろしくお願いいたします