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ドメーヌ・タカヒコで教えてもらったこと(忘備録)
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6.5ヘクタールの畑を所有しその内4ヘクタール作付け。
現在、実がなってるのは2.5ヘクタール。
9割ピノ・ノワール、他少しのツヴァイゲルトやケルナーを栽培。
出来上がるワインにして2万本。増やしたとしても3万本が上限。
余市は他の地域に比べて1軒が持てる畑の面積が広く、家族一軒でヴィニフェラ(ヨーロッパ品種の葡萄)を10ヘクタールも栽培できる所は他にない。ヴィニフェラに関しては収穫量は余市が日本一。
ピノノワールの栽培に一番向いている。
寒さ、適度な雨が必要な品種だが余市の気候は非常にブルゴーニュに近い。標高1000メートルのブルゴーニュ。1100メートルでアルザス地方。余市も軽井沢も同じ積算温度(リージョン1)だが、軽井沢だと凍ってしまうからブドウの樹が冬を越せない。なぜ余市では冬を越せるのかというと、このあたりの雪はずっと片栗粉のようなパウダースノー。となり街はニセコ。世界一のパウダースノーを求めて世界中からセレブが訪れる地。その雪がブドウの樹を守るのだ。
安定して雪に覆われて樹自体は凍らない。
また植物の自然の摂理として紅葉が始まる秋になると植物は水を吸わなくなり光合成率が良くなる。
余市は秋に雨がよく降るが、秋の雨は全く問題がないのだ。糖度が上がり、収穫を迎える。
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あくまでも自分は「農民」であり、「ワイン醸造家」では決してないので、手をかけるのはワインでなく「土」と言い切るタカヒコさん。
10月に収穫した葡萄をタンクに入れてワイン造りが始まり、3月にはまとめて出荷作業。
ピノノワールは特に果実の選別が必要なため、10月の収穫には人手がいる。毎年2〜300人のボランティアにお願いし、10日かけて収穫する。
それ以外の4月から9月はずっと畑に向き合う日々。畑が忙しくても、ワイン出荷が忙しくても家で家族揃って18時に夕食。そこにストイックさは必要ない。農家が野沢菜漬けを作って売るように、その土地ならではの味を大事にしたい。
果実味よりも森の味。ミネラルよりも旨味。旨味はいい土からできる。砂漠や乾燥した土壌のチリなどでは、土に力がないためハウス栽培の中で、有機肥料を溶かし込んだ水をポタポタと1分につき1滴垂らしてブドウを育てる。それが果たして美味しいのか?有機肥料だから有機栽培といっても良いが、自分はそれは目指したくない。余市には豊かな自然があり、森の中にはたくさんの太古から生息する酵母が住んでいる。土は少し手入れしてやれば、たくさんの微生物によって豊かな栄養を蓄え、ブドウに旨味を与えることができるのだ。
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フランスなどはもともと水自体が硬水のため、旨味成分との相性が悪く、「旨味」を知らない意識しない食文化となった。だが日本では昔から発酵食品が多く、水も柔らかく 食文化の中心に「旨味」がある。
よく曽我貴彦はビオの造り手だとか、ナチュールワインを推奨している醸造家と言われるがそうではない。
「余市の秋」や日本の農村を表現する味わいには土地に根付いた酵母と土中の生物が必要で。農薬や除草剤を使うとそれらがみんな死んでしまう。ワインの中の酸化防止剤も酵母が死んでしまうから使わない。 亜硫酸はミネラリーで硬く感じるので、日本人の舌には無い方が味として好まれる。
【土づくり】春に一度サブソイラーで耕し、空気や水分を含ませ微生物を活発にする。秋にはツメを入れる(ブドウの垣根と垣根の間をスジをつけていく作業)だけ。除草剤は使わない。草が生えるのは自然だが、草は生やさない方が病気にもならないし害虫もつかない。これも土づくりのコツであまり生やさないようにできる。
【ワイン 】ブルゴーニュのパストゥグラン(ピノノワール+ガメイ)をイメージしてピノノワールにツヴァイゲルト5%入れる。灰色カビ病に感染すると赤ワインの脱色になってしまうが、ツヴァイゲルトは灰色カビ病に感染してもあまり脱色しないのが利点。色がしっかりしてる。ヴィニフェラ(古いヨーロッパ品種)にこだわるのは、余市の気候に合うからという理由以外にもヴィニフェラは米でいうと酒造好適米ではない品種。一方キャンベラやコンコードは作りやすい山田錦みたいなもの。面白みがないのでラブルスカ(アメリカ品種)は栽培しない。
【栽培】横に伸びさせない垣根栽培。本来伸びるものを伸びさせない、盆栽のような育て方。小さく育てて、根は浅く。果実を大粒にする必要がないので。トランク(メインとなる太い幹)が根から近い方がいいので短く育てる
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