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SS『若返り不老ワクチンQ&A』

※これは小説です。



Q. 
若返り不老ワクチンにはどのような効果がありますか?

A. このワクチンを接種すれば老いることがありません。40歳以上の納税者は無料で接種することができます。

Q. 40歳以上なら誰でも接種できるのですか?

A. いいえ、ちがいます。納税者に限り、ワクチン接種が認められています。

Q. 料金を支払えば、納税者でなくても接種できますか?

A. できません。納税者以外の接種は禁止されています。

Q. なぜ納税者にしか若返り不老ワクチンを接種する権利がないのですか?

A. この若返り不老ワクチンは、一定以上の所得がある、元気な働き盛りのみなさんを応援するためのものです。住民税非課税世帯の方や税金を滞納されている方の接種は認められていません。

Q. 高齢者が増加するので、医療保険制度を破綻させることになりませんか?

A. 若返り不老ワクチンを接種すれば、生活習慣病やがん、認知症などになるリスクが減少します。健康寿命が長くなり、医療費の削減が期待できます。

Q. ワクチンによって長生きする人が増えると年金制度が破綻してしまいませんか?

A. 若返り不老ワクチンを接種された方は、元気に働き続けることができます。このワクチンにより平均健康寿命が伸びれば、将来的に年金の加入期間も長くなるでしょう。

Q. 若い人たちにこそ、どんどん働いてもらうべきなのではありませんか?

A. 若い人たちだけでは社会を支えていくことはできません。超高齢化、出生率の低下、職業訓練の長期化、学費の高騰などの理由により、新しい世代が最前線で働くことが可能になるまでには、長い年月と莫大な費用が必要です。
いま現在、収入を得て、納税する能力のある働き盛りの方を対象に、いつまでも元気に働き続けていただけるよう、この若返り不老ワクチンの無料接種制度が定められたのです。

Q. ワクチンを接種して健康になれば、どうしても働かなければならないのですか?

A. 健康ならば可能な限り、働き続けていただきます。






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