AIを活用したいすべての人へ。
こんにちは、よじまるです。
先日、経産省から「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」が出ました。
この契約ガイドライン、一部の人たちの間では話題になったのですが、
これが実はめちゃくちゃ有用な内容でして。
データを持っていてAIの導入を検討されている方
AIに関する技術を持っていて社会に実装して行きたい方
はもちろん、すべての人に読んで欲しい内容です。今AIと言われている技術は近い将来インターネットくらい当たり前のものとして活用されてくると予想されるため、
活用方法に関する知識が有るのと無いのでは大きな差が生じます。
経産省が出したこちらのガイドライン自体、幅広い人を対象としたものなのでぜひ読んで欲しいのですが、AI編だけでも173pと少々ボリューミーである上に、実際にAIの活用に踏み出したことのない人にはなかなか想像しにくい内容でもあるので、今回ガイドラインの内容を噛み砕いて解説することにしました。
この記事を含む数記事にて、「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」を解説します。
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経産省はなぜこれを出したのか?
そもそも、経産省はなぜ「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」を策定したのでしょうか。端的にいうと、
AI技術の活用には困難な点があるが、AIは社会の様々な問題を解決し得る技術なので積極的に活用して、日本を盛り上げて欲しい
ということのようです。
さて、
AI技術の活用には困難な点がある
と言いましたが具体的にはどのような困難が生じるのでしょうか?
AIの活用をするためには、データをもつ企業(主に大企業などですね)とAI技術を持つ企業(スタートアップなど中小企業が多い)の二つが主に必要です。
ガイドラインにおいてはユーザ(データを持つ企業)とベンダ(プログラムを開発する企業)と呼びますがこの記事においては想像しやすくするために、大企業とAI企業という名前で呼ぶことにします。
そしてその二つの企業は、概ね以下のような考えを持っています。
データを持つ大企業は
・データは活用したいが他所には使って欲しくない
・なんならデータを使って出来たソフトウェアは自社の権利にしたい
・開発したらどれくらいの性能が出るかは事前に知って費用対効果を把握しておきたい
と考えます。自社のデータは最大限利用したいし競合企業との差別化は必至命題ですのでこのような考えに至るのも頷けます。
対してAI企業の考えは以下の通りです。
・開発するソフトウェアの性能はデータを見ないとなんとも言えないので事前に保証することができない
・開発したものは他所に使えないとビジネスが出来なくなる
AI企業はAIの実装開発技術をビジネスの軸としていますので、開発したプログラムなどの権利が大企業に取られてしまうことは死活問題となります。
それぞれの会社の立場から考えると、どちらの主張も至極真っ当なように思えますね。
しかし、そうするとどうなるでしょうか。
大抵の場合において両者の利害関係は一致せず、権利や性能に関する協議は平行線を辿ったのちに
交渉は決裂、破談となります。
今回の経産省のガイドラインは、上記のような問題によってAI技術の活用が阻害されることを懸念し、AI技術の活用が促進されるようにとの意図で作成されたものなのです。
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AI技術の活用における問題とその解決策
経産省があげているAI技術の活用における問題は以下の4つです。
①AI技術の特性を当事者が理解していないこと
②AI技術を利用したソフトウェアの権利関係・責任関係等の法律関係が不明確であること
③ユーザがベンダに提供するデータに高い経済的価値や秘匿性がある場合があること
④AI技術を利用したソフトウェアの開発・利用に関する契約プラクティスが確立していないこと
少々難しいですね。
実際に重要な点は大きく三つです。解決策も合わせて簡単に見ていきましょう。
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①AIの特性上初期には性能の保証や詳細な開発計画を提示することが不可能
AIの開発は通常のソフトウェア開発に比べて、初期に性能を保証することや開発前からどのような開発を行うかを詳細に決定することができません。
これは、
どのようなデータが存在するかをAI企業はプロジェクト開始前に十分に把握していない
というのが主な理由です。データの詳細がわからなければ、どのようなアルゴリズムを適用して開発をするかも、どれくらいの性能を出すことができるかも見積もることができません。
AIの性能がどれくらいになるのか、どのような開発内容とするかは
データに大きく依存する
のです。
また、データは膨大であることや整っていないデータであることが多く、
データの把握を無償ですることも現実的ではない
ことがほとんどです。
そのため経産省は、
「探索的・段階的」契約を取ることを推奨しています。
推奨される契約プロセスは以下のような流れで進みます。
①アセスメントにより最小限の検証をした上で、
②PoCによって目標性能が達成可能か判断し
③可能そうである場合には本開発を行います。
④最後に必要に応じて追加学習などを行う、というものです。
引用元: 経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」
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②データやプログラムに関する権利関係が複雑
データやプログラム、ノウハウなどに関する権利関係が複雑かつ不明瞭という問題もまた、AIの活用を大きく阻害する要因となっています。
この問題についてガイドラインでは、基本的にデータは大企業(データをもともと持っている方)の権利、プログラムはAI企業(プログラム開発者)のものとした上で(正確にはデータなど無体物と呼ばれる類に所有権は発生しないので、ここで発生する権利は知的財産権やその他の権利となります)
権利関係に固執しすぎることなく、
両者がどのような目的でどのような利用をしたいのかについて、利用目的と利用条件を詳細に定めることによって対処すべき
であるとの考えを示しています。
以下のような詳細な利用範囲と利用の可否について定めることで、より現実的な議論に持ち込み契約となるよう働きかけています。
引用元: 経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」
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③ とは言え契約の前例がないからどうしたらいいかわからない
・AIの特性を考慮して段階的な契約をするのが望ましい
・権利関係に固執しすぎず利用目的・利用条件を詳細に定めれば契約が進めやすい
とはいっても、前例が多くないため、実際にどのような契約書を結べば良いのかわかりませんよね。
しかしそんな方も安心です。
なんとこのガイドライン、
様々なケースを想定して、それぞれに対して契約書の雛形や留意すべきポイント、解説もつけてある
という手厚いサポートっぷりを発揮しています。
この雛形や解説は特に要チェックですね。
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さて、今回は「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」の概要を解説しました。
今後の記事では、ガイドラインのより個別・詳細な内容や、契約内容を実際にどのようにすると良いか、についての解説をしていきます。
※本記事に関するコメントやお問い合わせ、誤りに関する指摘などございましたらこの記事へのコメント、TwitterのDM(よじまる)あるいはメールアドレス(sentaro.yojima@acesinc.co.jp )までお願い致します。
また、本記事は経産省の「AI・データ利用に関する契約ガイドライン」に準拠するよう細心の注意を払って記述しておりますが、記事の不備等についての責任を負うものではございません。この記事を補助とし、ぜひ一度直接「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」を参照してください。
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株式会社ACESでは、上記のガイドラインの内容を踏まえ、AIの技術導入及び技術導入のためのコンサルティングを行っております。
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・AIを導入して実現したいことがあるがリスクを最小限に抑えた形での導入の方法がわからない
・AIの実装開発を行って欲しいがあるがリスクを最小限に抑えた形での導入の方法がわからない
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