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『歌舞伎町の路上買春』

歌舞伎町のホストクラブ文化と、それに関連する路上での売春について描いている。


ホストクラブに通う女性たちが、ホストに多額の金銭を費やし、やがて売春に手を染めるまでの過程が生々しい。

私もモノを書くことがあるが、こういう相手に密着して書くことは苦手だ。だから他の人の書いたものに惹かれる。

以下は本書の3章「ホストの沼」から要約した。

舞台となる歌舞伎町は、日本最大のホストクラブ街であり、そこではホストたちが女性客に対して豪華なサービスを提供することで、女性たちに夢や幻想を抱かせる。
しかし、その一方で、ホストクラブでの高額な支出が女性たちに金銭的な負担を強いる。

特に、シャンパンタワーや高級ボトルをホストに贈るために、女性たちは自らの生活を圧迫し、借金を背負うことが多い。

私は知らなかったが、シャンパンタワーは最低50万円、上限はなく1000万円かかることもあるという。

作中に出てくる女性の一人、ユズは、ホスト「ソラ」に魅了され、彼に認められるために多額の金を使い続ける。

ホストクラブで「ラストソング」を取るために、彼女はシャンパンを何本も注文し、ソラが自分のために歌ってくれることで一時的な満足感を得る。本書にラストソング略してラスソンとは何か。

ラスソンとは、ラストソングのことだ。どのホストクラブでも、その日の売り上げが最も多かったホストが、営業終了前に好きな曲をカラオケで歌う。売り上げを競い合うホス卜にとって名誉なことで、女性客にとっても、自分が入れ込むホストがラスソンを歌うのは嬉しく、誇らしいことだ。

114-115p

しかし、その背後には、ホストに金を貢ぐために女性が自分を犠牲にしているという現実が潜んでいる。

ホストクラブに通う女性たちは、ホストに対して恋愛感情を抱くことが多い。しかし、ホストたちはビジネスとして女性客と接しており、彼女たちの感情はしばしば裏切られる。

ホストが他の女性客と一緒に歩いていると嫉妬心がわいて、ますますお金を使ってしまう。この心理、分かるような気もする。

女性たちはホストクラブで特別扱いされることで一時的な幸福を感じるが、その代償として、ますます深い借金に陥り、最終的には路上での売春に頼らざるを得なくなる。

ユズもまた、ホストクラブに通い続けるために売春を行い、生活が困窮していく。

歌舞伎町のホストクラブ街では、ホストに貢ぐために売春を行う女性が少なくない。

女性たちがホストに求めるものは、単なる娯楽ではなく、愛情や承認であり、そのために彼女たちは自らの生活を犠牲にしてまでホストに金を使う。

ホストクラブは女性たちに一時的な夢を与えるが、その夢が崩れる瞬間、彼女たちは現実に直面し、さらに苦しむことになる。それはまるで麻薬中毒のようでもある。

ホストに入れ込む心理は、日本の社会で女性は自己実現しにくいことと結びついている気がして仕方ない。

ホストクラブも自己規制に乗り出している。
たんなる営業ではなく、経営の在り方が社会をゆがめているという認識も持っているようだ。

新宿区、売掛金の自主規制を要請 悪質ホスト問題、店側に

記者会見する東京都新宿区の吉住健一区長=17日、新宿区役所
 悪質なホストクラブに通う女性が支払い資金捻出のため売春などをする問題を受け、有数の歓楽街、歌舞伎町がある東京都新宿区の吉住健一区長は17日、区役所で記者会見し「売掛金が一定以上にならないようにするなど、自主規制のルールを作るよう店側に要請している」と明らかにした。
 区によると、ホストらが、飲食代を肩代わりして客に後払いさせる「売り掛け」を悪用し、多額の借金を背負った女性に風俗店勤務や売春を強いるケースが相次いでいる。12月から、弁護士による被害相談窓口を区役所に設けるという。
 会見には、被害女性や親の支援団体「青少年を守る父母の連絡協議会」の玄秀盛代表も参加した。

yahooニュース 2023/11/17(金) 18:52配信 共同通信

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五味洋治 Yoji Gomi
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