『歌舞伎町の路上買春』
歌舞伎町のホストクラブ文化と、それに関連する路上での売春について描いている。
ホストクラブに通う女性たちが、ホストに多額の金銭を費やし、やがて売春に手を染めるまでの過程が生々しい。
私もモノを書くことがあるが、こういう相手に密着して書くことは苦手だ。だから他の人の書いたものに惹かれる。
以下は本書の3章「ホストの沼」から要約した。
舞台となる歌舞伎町は、日本最大のホストクラブ街であり、そこではホストたちが女性客に対して豪華なサービスを提供することで、女性たちに夢や幻想を抱かせる。
しかし、その一方で、ホストクラブでの高額な支出が女性たちに金銭的な負担を強いる。
特に、シャンパンタワーや高級ボトルをホストに贈るために、女性たちは自らの生活を圧迫し、借金を背負うことが多い。
私は知らなかったが、シャンパンタワーは最低50万円、上限はなく1000万円かかることもあるという。
作中に出てくる女性の一人、ユズは、ホスト「ソラ」に魅了され、彼に認められるために多額の金を使い続ける。
ホストクラブで「ラストソング」を取るために、彼女はシャンパンを何本も注文し、ソラが自分のために歌ってくれることで一時的な満足感を得る。本書にラストソング略してラスソンとは何か。
しかし、その背後には、ホストに金を貢ぐために女性が自分を犠牲にしているという現実が潜んでいる。
ホストクラブに通う女性たちは、ホストに対して恋愛感情を抱くことが多い。しかし、ホストたちはビジネスとして女性客と接しており、彼女たちの感情はしばしば裏切られる。
ホストが他の女性客と一緒に歩いていると嫉妬心がわいて、ますますお金を使ってしまう。この心理、分かるような気もする。
女性たちはホストクラブで特別扱いされることで一時的な幸福を感じるが、その代償として、ますます深い借金に陥り、最終的には路上での売春に頼らざるを得なくなる。
ユズもまた、ホストクラブに通い続けるために売春を行い、生活が困窮していく。
歌舞伎町のホストクラブ街では、ホストに貢ぐために売春を行う女性が少なくない。
女性たちがホストに求めるものは、単なる娯楽ではなく、愛情や承認であり、そのために彼女たちは自らの生活を犠牲にしてまでホストに金を使う。
ホストクラブは女性たちに一時的な夢を与えるが、その夢が崩れる瞬間、彼女たちは現実に直面し、さらに苦しむことになる。それはまるで麻薬中毒のようでもある。
ホストに入れ込む心理は、日本の社会で女性は自己実現しにくいことと結びついている気がして仕方ない。
ホストクラブも自己規制に乗り出している。
たんなる営業ではなく、経営の在り方が社会をゆがめているという認識も持っているようだ。