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トランプは北朝鮮といつ交渉するか
トランプ新政権の外交安保政策
いよいよトランプの第二次政権がスタートします。
私が関心を持っている北朝鮮との関係は、どうなるでしょう。簡単に予測してみました。
まずはなんといってもトランプ政権は、中国との関係重視するはずです。
対中国政策
トランプ新政権では「アメリカファースト」の理念に基づき、米中経済のさらなる分離(デカップリング)を推進するとされています。特に、中国からの輸入品に対する関税率の引き上げや、恒久的最恵国待遇(PNTR)の撤廃を検討する動きがあり、これにより米中関係は一層緊張する見通しです。
同盟国との関係
トランプ氏は二国間取引を重視し、日本や韓国、台湾に対して防衛費の増額や米国製装備の購入を求める可能性があります。これにより、米国の抑止力が弱まることで日本の安全保障が影響を受ける懸念も指摘されています。
貿易政策
トランプ氏は、すべての輸入品に一律10~20%の関税を課すことを示唆しています。この政策が実施されれば、世界的な保護主義の高まりやサプライチェーンの再編が進む可能性があり、特に日本企業にとって米国市場での競争環境が厳しくなると見られています。
ウクライナ問題
トランプ氏はウクライナ戦争を早期終結させることを公言しており、ウクライナに領土の一部をロシアに譲渡する案を提案する可能性があります。この方針はNATOや欧州との関係に影響を及ぼす可能性があります。
北朝鮮問題
さあここからが北朝鮮の出番です。やはり順番としてはかなり後になりそうですが、これも北朝鮮の出方次第かもしれません。
今韓国は政治的に混乱しているので、この機会に挑発的な動きを見せれば、トランプ政権も対応せざるを得ないでしょう。その場合はウクライナ戦争を少し落ち着かせてからということになるはずです。
新政権の顔ぶれ
安全保障チーム
トランプ政権の安全保障関連ポストには、強硬派が多く起用される見込みです。過去の政権経験者やトランプ氏の路線を支持する人物を中心に構成されており、外交政策の優先順位や実行力が問われています。
具体的な人事についてみてみましょう。
アレックス・ウォン
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そんな中、トランプの人事が注目を浴びています。ホワイトハウス大統領副補佐官(国家安全保障担当)にアレックス・ウォンを指名しました。
ウォンはトランプ政権で、国務省の北朝鮮政策特別副代表と東アジア太平洋担当副次官補として北朝鮮の交渉実務を担当していた人です。
トランプは、この指名について「アレックスは私の最初の任期の時に北朝鮮特別副代表として、金正恩と私の首脳会談交渉を助けた」「国務省の自由で開かれたインド太平洋戦略の施行努力を引っ張った」と高く評価しています。
ウォンは、名門のペンシルバニア大学を卒業し、ハーバード大学ロースクールで博士号を取得し、ハーバード・ロー・レビューの編集長とハーバード国際法ジャーナルの編集者を務めたエリート中のエリートです。
米朝関係が力による対決から、対話外交へ方針転換した2017年12月、国務省の北朝鮮特別副代表に就任し、トランプの対北朝鮮外交の実務に深く関与したとされています。
ウォンに対しては、北朝鮮を非核化させるという米国政府の原則を守りつつも、トランプの意向を読んで動ける「政治感覚」も備えた人物という評価がある。今後のトランプ政権の対応を決める重要人物となりそうです。
ただ、米国政治の専門家の1人は、ウォンについて「北朝鮮の権力中枢部につながる人脈がなく、実際に米朝首脳会談が実現するかは見通せない」と悲観的に語っています。
大統領特使グレネル
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もう1人、今後を占うのに重要な人物がいる。リチャード・グレネルです。大統領特使に任命されました。
グレネルは、第1期トランプ政権で駐ドイツ大使と国家情報局(DNI)局長代行という要職を務めた人です。トランプに忠実なことで知られる側近の1人です。
まずは特使として主に中東関係の任務に当たるとみられまするが、トランプは「北朝鮮関連の任務も担当することになり、これに関する経験もある」と述べており、北朝鮮問題にも取り組むのは間違いないところです。
トランプはこれまで、進展が得にくい北朝鮮との交渉に興味を持っていないとみられていました。しかし、今回の人選を見る限り、北朝鮮との首脳外交にかなり意欲があるようです。
アリソン・フッカー不在
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北朝鮮外交のもう1人のキーパーソンは、アリソン・フッカーという女性です。彼女は今回政権に入らなかったのです。韓国への留学経験があり、韓国語が話せる数少ない専門家です。
米政府内で、北朝鮮の核問題や韓国との同盟関係を扱うエキスパートとして長く活動してきました。
国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長、国家情報会議の東アジア担当官も歴任した経験豊富な外交官です。
フッカーは一貫して、北朝鮮との対話を重視して来た。圧力一辺倒ではなく、段階的な非核化や信頼醸成措置を通じて問題解決を図ってきました。
こういう姿勢が、北朝鮮の信頼を得た可能性があります。
フッカーの最大の功績は、何と言っても第1期トランプ政権下で行われた米朝首脳会談(2018年シンガポール、2019年ハノイ)の実現だ。米国側の実務者として北朝鮮側と事前調整を行った、会談の進行にも関わり、非核化へのロードマップも作成したといわれています。
対北朝鮮交渉の中心にいた彼女が政権にいないことで、「米朝首脳会談の実現は難しい」と語る米国政治の専門家もいます。
トランプの過去の発言
首脳外交の実績
トランプ氏は、1期目の2018年と2019年に現職のアメリカ大統領として初めて北朝鮮の金正恩委員長と計3回の首脳会談を行いました。彼はこれを「歴史的な成果」と位置づけており、共和党全党大会などでも「金正恩氏とうまくやっていた」と強調しています。
外交姿勢の変化
トランプ氏は、制裁や軍事攻撃を辞さない強硬姿勢から一転、柔軟な対話を重視するアプローチを取りました。特にシンガポールでの会談では、「歴史的な変化」を約束し、北朝鮮との関係改善をアピールしました。
具体的な発言
彼の主な発言や政策を時系列で整理しながら詳しく解説します。
緊張の激化期(2017年)
挑発的な発言
トランプ氏は北朝鮮の金正恩総書記を「ロケットマン」と揶揄し、国連演説では「アメリカやその同盟国を防衛するためには、北朝鮮を完全に破壊する以外に選択肢がない」と発言しました。
ミサイル実験の非難
北朝鮮が頻繁に弾道ミサイル実験を行い、緊張が高まりました。トランプ氏はこれを「世界に対する挑発行為」として強く非難。
「炎と怒り」発言
2017年8月、北朝鮮がグアムを攻撃目標に言及した際、トランプ氏は「北朝鮮がさらなる脅威を行えば、見たことのない“炎と怒り”に直面するだろう」と警告しています。
外交交渉への転換(2018年)
平昌オリンピック後の緩和
2018年2月の平昌オリンピックをきっかけに南北関係が改善すると、トランプ氏も北朝鮮との対話姿勢を強めました。
歴史的な米朝首脳会談(2018年6月)
シンガポールで金正恩氏と初めて会談。トランプ氏は会談後、「北朝鮮は非核化を約束した」と述べ、「戦争の危機が去った」と強調。しかし、具体的な合意内容は曖昧で、検証手段も不明確と批判されました。再び緊張(2019年〜2020年)
ハノイ会談の決裂(2019年2月)
ベトナム・ハノイで行われた2回目の首脳会談では、北朝鮮側が制裁解除を求める一方、米国側が非核化措置を強く要求したため合意に至らず。
板門店でのサプライズ会談(2019年6月)
トランプ氏は、韓国訪問中に板門店で金正恩氏と3度目の会談を実施。トランプ氏は「史上初めて北朝鮮の地を踏んだ米大統領」となり、対話継続を示しました。
非核化の進展不足
トランプ氏は一貫して「金正恩氏との良好な関係」を強調しましたが、非核化に向けた具体的進展は見られず、専門家からは「北朝鮮の時間稼ぎ」と批判されました。
総括的な発言や姿勢
強硬姿勢と個人関係の二面性
トランプ氏は北朝鮮に対して非常に強い制裁を加える一方で、金正恩氏との「ラブレター」とも称される書簡を公開し、個人的な友好関係を誇示しました。
アメリカの利益を最優先
トランプ氏は「北朝鮮との戦争を防ぎつつ、アメリカ国民を守る」と主張。しかし、彼の政策は「ショーに過ぎない」という批判もありました。
今後の展開
軍縮交渉の可能性
トランプ氏は北朝鮮問題を外交の優先事項に置く意向を示しており、軍縮交渉の可能性も取り沙汰されています。
これには、北朝鮮の核実験停止やミサイル発射の抑制と引き換えに、在韓米軍の縮小を検討する案が含まれていると見られています。
北ロの連携強化
現在、北朝鮮とロシアは「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結しており、軍事同盟としての性質を強めています。これにより、米国主導の外交交渉は困難を極めると予想されます。
韓国との摩擦
トランプ氏は、在韓米軍の縮小や防衛費分担金の大幅引き上げを韓国に求める姿勢を見せています。これは韓国政府にとって大きな懸念材料となり、同盟関係の緊張を引き起こす可能性があります。
予測不能な外交政策
トランプ氏の外交政策は全般的に「予測不能」と評されており、これまでの慣行を覆す決定が続く可能性があります。
日本や韓国を含む同盟国にとっては、対応が一層難しくなると見られています。
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