なぜ尹大統領、与党、国民の力の支持率は上がっているのか
支持率の現状
数多くの世論調査機関の中で、もっとも信頼が高いのは韓国ギャラップだ。そのギャラップの世論調査が出た。
国民の力の支持率は34%、民主党の支持率は36%と、両党の差は2%ポイントでほぼ互角の状態。昨年の非常戒厳事態直前の水準に戻ったことが確認された。
危機感で保守が結束
非常戒厳事態後、保守層が危機感を感じ、結束を強めたことがある。世論調査でも保守層の回答者が増え、国民の力支持率は戒厳事態以前の水準まで回復した。
また、朴槿恵大統領の弾劾時とは異なり、国民の力はほぼ結束を守っており、そのため一定の支持を維持している。
2016年10月、朴槿恵政権のスキャンダルが噴出した、当時与党だったセヌリ党(現・国民の力)支持率は30%台から12%まで下落した。
ところが今回の非常戒厳事態発生以後、国民の力支持率は30%台から24%に落ち、1ヶ月ぶりに戒厳事態以前に回復した。
8年前の弾劾局面の時は、セヌリ党議員数十人が脱党し、分党した。しかし今回は国民の力が大統領弾劾反対党論を維持し、分裂の兆しを見せないのが支持率が大きく落ちない要因と見られる。ギャロップもこう説明している。
尹大統領支持率
尹錫悦大統領弾劾に対する賛否が変化し、弾劾賛成が64%に減少している。
保守層や中道層で弾劾反対意見が増え、支持基盤が安定化した。特に電話世論調査で保守層の回答が増えたことが影響したとみられる。
世論調査は、自動電話(ARS)と人間による電話聴き取り調査で行われる。保守、進歩別に集計される。
ARS(自動応答)調査方式を使う調査機関リアルメーターが2~3日に行った調査で、応答率が先月26~27日の調査(4.6%)より0.3%ポイント(p)上がり、4.9%を記録した。
電話聴き取り方式でも応答率が高まった。韓国ギャロップが去る7~9日に調査した世論調査の応答率は16.3%で、直前の調査(12月17~19日)15.5%より0.8ポイント上昇した。
エンブレインパブリック・ケーススタリサーチ・コリアリサーチ・韓国リサーチが6~8日実施した全国指標調査(NBS)の応答率も22.8%で、直前調査(12月16~18日)18.5%より4.3%増加した。
特に保守支持層応答の増加傾向が目立つ。ARS方式のリアルメーター調査で保守支持層の回答が増え(258人→292人)、電話聴き取り方式の韓国ギャロップ(267人→331人)とNBS(276人→328人)でも保守支持層の回答が増加した。
弾劾賛成が減り反対増
回答内容にも変化がある。
20~50代の弾劾賛成が80%台から70%台に減り、弾劾反対は10%台から20%台に上昇した。
60代は賛成が60%から46%に減り、反対は36%から50%に増えた。 70代以上は賛成が49%から36%に、反対は43%から56%に変わった。これは長引く混乱に多くの人が戸惑っているためであろう。
保守団体の中には、こういった世論調査に積極的に応じる運動を行っているところもあるようで、支持率が世論をそのまま反映していると考えるのは正しくないかもしれない。
民主党の戦略と課題
民主党代表の李在明氏は政治指導者選好度で圧倒的な1位(32%)を維持したが、支持率は5%下落している。非常戒厳事態後、攻勢的な弾劾戦略を展開したが、支持率の減少や中道層の期待低下が課題となっている。
強硬路線の継続が支持層の結束を生むか分岐点に立たされている。
写真は京郷新聞