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朝鮮戦争が日本の対米従属を決定つけた

木村朗氏の本をいろいろ読んでいるうちに、
もうひとつの日米戦後史という本に行き着いた。
陰謀史観の色濃い本で、やや私にはついて行けなかった。

しかし207ページからの記述は、大いに同意するところだった。
短い引用なので、ここに置いておくことにする。

日本人の体制順応主義が、アメリカ隷属を招いたという指摘だ。


朝鮮戦争が、いまの日本の対米従属を決定づけた

木村 ここで日本の問題、沖縄の問題について、少しお聞きしたいと思います。
2013年にお二人で日本に来られて、広島、長崎、沖縄などに行かれたと思います。私も長崎でのシンポジウムでご一緒しましたし、東京でお二人は鳩山先生ともお会いになっていますよね。そのときにオリバー監督が発せられたメッセージで、
非常に重要だと思うのが、「日本はなぜアメリカの属国であり続けるのか」、というものでした。

「日本はドイツのように、なぜ独立、自立ができないのか。日本人よ、立ち上がれ」、というメッセージであったと思いますが、この点をもう少しご説明していただきたい(オリバー・ストーン、ピータ—・カズニック、乗松 聡子共編『よし、戦争について話をしよう。戦争の本質について話をしょうじやないか』参照)。

オリバー 結局日本は、ドイツと同じようにアメリカの占領という経験をして、再教育をされていったわけですが、マッカーサーに屈服して、彼を天皇のように扱ったわけです。「偉大なる英雄」として扱いました。マッカーサーは憲法を日本に与
えたという面はありましたが、結局は逆コースで、戦犯を牢獄から解放し、日本を反共の砦、反ロシアの協力者として使っていったのです。

ですから、朝鮮戦争によって、その後の日本の道筋ができてしまったのです。

1950年代の朝鮮戦争によって、世界はさらにおかしな方向に行ってしまいました。

日本もアメリカも軍産複合体の利益の方向に動いていってしまったのです。その意味で、朝鮮戦争というのは、悲惨なうえに非常に重要な戦争でもありました。

もちろん、朝鮮戦争でもっとも責任を負うべきはアメリカだと思います。日本はそれに協力させられたし、朝鮮戦争で、結局、日本の朝鮮半島における親日派が利用されて、左派の人たちや、教師や自由主義者が虐殺されたり、弾圧されたりすることも起こりました。

ピータ— 日本の占領においてアメリカはまず検閲を強めました。というのも戦前や1945年の終戦時に、左翼の動きがあったからです。共産主義革命の発生を防ぐ必要があった。

日本の国会でも当時、ソ連を解放者として見る西側諸国の動きについて懸念して討議しています。マッカーサーが独裁者として君臨し、厳しい検閲
のもとでは、そのような動きについての討議や原爆についての討議がなされることはありませんでした。

CIAが自民党を設立し、日本の政権として支援し、コントロールを強めていったわけです。

そうして、日本はアメリカの隸属国家となってい
くわけです。

日本人は戦後、反戦の感情が強かったのですが、CIA や米国政府のコントロールによって次第にその感情も取り除かれました。

岸信介総理や佐藤栄作総理を通じて従属政権の色合いが強くなり、政治は指導的要素よりも体制順応主義的要素が強くなっていきました。

日本の民主主義運動としては、知識人による大正デモクラシ—もありましたし、ソ連の共産主義に共感する動きもありました。

また、ベトナム戦争時には、強い反戦の動きもありましたが、大きな傾向としては日本はアメリカの独裁と共存するという方向でここまできました。

日本人には強い反戦の感情があったのですが、それを恐怖という要素で崩壊させていったのです。戦後、ドイツよりも強いアメリカのコントロ ールがあったのです。

米軍基地や米軍は日本を守り、日本は核の傘が必要なのだという認識、沖縄の米軍基地は必要なのだという認識に、それはつながっていつたのです。結局、ドイツとの違いという意味では、立ち上がらない、疑問をちやんと口にしないといった体制順応主義的な日本人の国民性みたいなものも相まって、アメリカへの従属が深まつていつたのではないでしょうか。

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