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初代と2代目の万景峰号
新潟港と北朝鮮の元山港のあいだを不定期に就航する貨客船の名前。
1971年に初代が、1992年に現在の2代目が就航した。朝鮮総聯が窓口となり、在日コリアンの帰国事業や、在日朝鮮人の祖国訪問、朝鮮学校生の修学旅行、朝鮮に住む親戚などへの物資輸送などに使われてきた。
日本のメディアで、万景峰号と呼ばれているのは2代目の大型船の方である。
日本人拉致事件や核開発問題が発覚した後、日本国内で新潟への入港を阻止しようとする動きが激しくなった。北朝鮮への資金や物資輸送に使われていると見られたからだ。
2006年7月5日、北朝鮮によるミサイル発射実験が行われ半年間の日本入港禁止措置を出した。また同年10月9日の北朝鮮の地下核実験成功の発表を受け、10月14日付けで入港禁止対象を北朝鮮の全ての船舶に拡大された。
その後幾度に渡る期限延長により、万景峰号を含む北朝鮮の全船舶は現在も入港禁止となっている。入港許可が検討されたこともあるが、実現していない。
初代の万景峰号は、1971年に建造された3317トン、載貨重量1500トンの貨客船。70~80年代の在日朝鮮人帰還事業にも使われた。帰国事業に関する写真に登場するのは初代の方だ。
2代目の万景峰号は、正式名を万景峰92という。当時の最高指導者・金日成(キム・イルソン)主席の80歳の誕生日を記念して1992年に完竣工したもの。9672トンで大型フェリーサイズだが、北朝鮮では最大の客船として宣伝された。
2006年頃には、かなり厳しい入出国審査が行われていたようだ。
ピースボートがチャーターして運行したこともある。もう日本には来ていないが、今後日朝関係が改善すれば、再び日本の港に入ってくるかもしれない。
万景峰92は北朝鮮国内の観光クルーズに使われたり、2018年の平昌五輪の際には美人軍団として知られる北朝鮮からの友好使節団を乗せて韓国を訪れている。
現在も北朝鮮随一の豪華客船の地位を守っている。
2017年4月には、北朝鮮の羅先特別市とロシアのウラジオストク間に新設される定期航路に就役した。
この翌年にはロシアのタス通信が、万景峰号から制裁違反の貨物が発見され、ウラジオストクへの入港を拒否したことを伝えている。
入港できないままウラジオストク沖で停泊を余儀なくされた万景峰号は、燃料不足のため救難信号を発信し、ロシアから燃料や食料の支援を受けたという。
「万景峰」は首都・平壌の郊外にある山のことだ。
万景峰の大同江近くの丘陵は万景台と呼ぶ北朝鮮を代表する景勝地になっている。金日成主席はここで生まれたとされ、生家も残っている。
革命聖地の1つであり、北朝鮮を訪れた外国人観光客は必ずここに案内される。
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