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バルビローリのブラームス:第2交響曲・ウィーンフィル(1967)

私がこの演奏を聴いたのは、他の曲に比べて遥かに早く、シベリウスを聴いた後、 あまり時期をおかずしてLPを入手してじっくり聴いたものだった。

 この演奏の特徴は、第1楽章の冒頭を聴いただけですぐに感じ取れることだと 思うが、空気の感じが少しひんやりとして、しかも適度な湿度を持っていることだ。 しかもその空気の感覚は鮮烈で印象派的といって良いほどの強烈さをもっている。 そしてなにより通常、人がブラームスに見出すとは思わない透明感が感じられる のが新鮮である。しかもその音色は決して寒色にくすんでしまうことなく、色彩的には 通常のいわゆる「ドイツ的な」演奏と比して豊かだ。

 確かに歌わせ方はじっくりとしているが、際立っているのはフレージングの丁寧さと 音楽の経過に対する設計の緻密さであって、少なくとも粘着質であったりくどかったりと いう印象は私にはない。例えば第1楽章に聴かれる音楽は、今生まれたばかりの 生気に充たされているし、第4楽章の音楽もしばしば他の演奏で見られる激しい盛り上がりは なく、寧ろその経過は颯爽としているように思われる。

(2005.1公開, 2024.8.17 noteにて公開)

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