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オンラインでなんでもできる時代に、社員研修で集合し続ける理由。。。

プロローグ
 オンラインでいろいろなことができる時代に、なぜ研修のため集合することが依然として続いているのでしょう。そのようなことを、弊社の研修担当となってからあれこれ考えておりました。そこで、わざわざ集合する意味について少し考えを巡らせて書き起こしてみました。

全てがオンライン対応可能な時代に
 例えば、座学の研修ならば、オンラインやeラーニングでも十分対応可能な時代です。こうした中、弊社で実施する研修は実際の技術習得も目的にして、実際の機器操作などの実習も組まれているため、わざわざ集合するのでしょうか。確かに、こうした実習も集合する大切な目的ですが、それでも動画配信ツールやVR技術が進化する時代※1にあっては、これだけが集合する目的ではないと感じるのです。

 一体、なぜ研修のためにわざわざ集まるのでしょうか。
 要は、どうして“生身の人間”が一箇所に集まらねばならないのか、ということなのです。

非対面形式の弊害(身体的感覚の喪失)
 近年、ネットワーク機能が充実しオンラインでも仕事ができるようになりました。このようなオンラインでの仕事は、メールのやりとりを中心に“生身の人間”が介在しない非対面形式となります。
 こうした中、ネット上の出来事で垣間見るとおり、言葉を少し間違っただけで容赦ない攻撃(炎上)に晒される様子からは、“生身の人間”がそこに介在せず相手の気持ちに鈍感になっている様子(「身体的感覚を失い、他者の表情や声色をうかがったり(中略)できなくなった表れ」※2)をうかがい知るところであり、それが仕事へ支障を来す原因になりかねない印象も受けております。つまり、集合する目的のひとつは、こうした非対面で「身体的感覚」を忘れてしまうことがないようにするところにもあるのではないかと考える次第なのです。

仕事相手は何?だれ?(何事もモノではなくヒトが相手)
 そもそも、仕事とは人間と人間が処理するものであり※3、このことをシステム・エンジニアの仕事に置き換えると、エンジニアは機械やコンピュータと仕事をしているようで、それらを通じ人間と仕事をしていると解釈でき、そこにあるのは“生身の人間”との対峙であり、詰まるところ「人間関係」にあるのではないかと推察をいたします。

まとめ
 結論として、集合形式の研修では、大切な技術の習得だけでなく、「人間関係」の構築といった重要な役割も果たしていると考えます。これが仕事の質を高めるために不可欠であることを忘れないようにしたいと感じました。こうしたことを、集合研修を通じ受講される方々に感じ取っていただければ、研修を担当するひとりとして大変うれしく思うところです。
 学生さんが学校に集まるのも、社会人が職場に集まるのも、きっとこうしたことが目的のひとつにあると感じるのです。確かに、学校や職場になじめず苦しんでいる方もたくさんいます。そこに集まるみんながそこに集まる目的をしっかり考え「身体的感覚」の大切さを学びながら、他者を労り利他的行動がとれるような場になると良いですね。研修もこうした感覚を学ぶ大切な場として”演出”をしていきたいと思います。

                                                             以上
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(補足及び参考)
※1 たとえば、木を切り倒す道具のチェーンソーの技術に関したVRシミュレーター(伐木技術教育VRシミュレータ)では、命に係わる危険行為をバーチャル体験できるなど、実際の実習では対応できない面で長けていることから推察し、今後の技術の進歩次第では実際の実習を上回るメリットがみられるようになるかもしれません。
※2 萩原建治郎(駒澤大学総合教育研究部教授)「最も孤独感が強いのは20代」WedgeONLINE(20240928配信)
※3 中野浩一「多種多様な人の仕事の意義 理論フレームワークの提示」日本労働研究雑誌 論文TodayNo654(2015)P102
   浦田悠「仕事の意味に関する研究の現状と課題 -人生の意味の心理学の立場から」日本労働研究雑誌 特集●働くことの意味の変化 No736(2021)P73

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