表現する人たちに贈る、数分間のエール
映画「数分間のエール」を見た
何かを表現しようとしたの心に刺さる映画だった
映画の感想を交えつつ、私の”表現”について書いていこうと思う
「映像は音楽にもっと魅力を見せるもの」
「その音楽へのエール」
この映画の主人公が言うセリフからの抜粋だ
この言葉を聞いたときすごくしっくりきた
自分が好きな音楽は自分が好きなMVがついているなと思いだした
このような共感がとても多い映画だった
”なにか”を表現したことがある人はこの映画のセリフの多くにグッとくるものがあると思う
私はまだまだ経験がない
それでも心に来るものが多くあった
心のどこかにあったり、頭の中でパっと思いついたメロディーを表現したくて、どこかに書き留めておきたくて
そんな時に限って紙がなかったり、スマホを置いてきたりしまったり
そんなかんじだ
私はこの映画がどんな映画でいつ公開されるか知ってから楽しみでしかったなかった
初日に見に行きたかったが予定がはいっていていけないときは少し残念だった
そして、自分はこの映画に”期待”していた
「この映画は自分の中の何かを変えてくれるのではないか?」
心の中でずっと思っていた
幼いころから”音楽”に触れる機会は多くあり自然に音楽に興味を示していった
親に頼んでピアノを習い事として始めた
最初の頃は自分の手で音楽を表現がとても楽しかったことを覚えている
だが成長して、色々な音楽や芸術に触れて
私の”音楽”とはなに?
こう思った時期から途端に音楽が楽しくなくなった
中学校に上がるタイミングでピアノをやめ吹奏楽部に入った
私に音楽の疑問が浮かんだのはピアノしかやっていなかったからだ
と、勝手に想像し違う楽器をやるために入部した
音楽は私の期待を裏切り心の中の音楽には疑問が増えた
ピアノの時には”独り”の演奏だった
吹奏楽では”一体”の演奏だった
誰かがミスをすれば全体がどんどんと崩れていく
自分一人での演奏ではない 責任とプレッシャーが
常に圧し掛かっている そんな音楽だった
上手な人は成長して周りとの調和を合わせて美しい演奏をしていた
私は羨ましかった
才能があっていいな と
ずっとそう思い続けていた
才能のある人間から何か言われると
”お前に何がわかるんだよ”と心の中で吐きながら
全員一体の音楽だからと思い 吐瀉物を飲み込んだ
楽しかった時も一瞬で通り過ぎ、苦しく
自分の音楽の疑問を増やし続ける3年間だった
それでも音楽をやめたくなくて
高校でも吹奏楽に入った
その高校の吹奏楽の演奏を聴いたとき
とても素晴らしいと感じた だから入った
だが、素晴らしいものには”毒針”があるものだと気づいた
中学の時よりも才能、努力の差
何をしたって埋まらない隙間をどう埋めればよいのか
永遠に音楽との自問自答だった
それは本当につらいと感じた
自分では音楽を表現できないと 本当に感じた
結局1年間で吹奏楽部をやめた
そこからはあまり音楽に触れたくなかった
自分が汚したものを触りたくはなかった
だが友人が一緒にバンドをやらないかと誘ってくれた
少しだけ救われた気がした
バンドの練習はとても楽しかった
色んな人と友達になった
そして音楽の差にとてつもない壁を感じていた
学園祭でとても盛り上がってすごく楽しいときを過ごした
そこからも定期的にバンド友達と会っていた
どんどんとその壁は成長して
自分は遠くを見つめるしかなくなっていた
自分の中に音楽はすでにいなくなっていた
私が音楽を表現しても何もなかった
彼らにはあった
彼らの音楽があってその中で笑顔で演奏していた
周りはどんどんと成長して僕は「すごいね」としか言えなくなった
どんどんと心も本当の”距離”も離れていった
羨ましかった
だけど届かないと知っていたから
触れなかった
また友達がバンドに誘ってくれた
少しだけやってみようと思った
友達のバンドの成長のために大学では軽音部に入った
色々なバンドを組むことになってしまった
今、音楽をやめたくてしかたない
私は表現することに向いていないと思う
ピアノを捨てて、ユーフォニアムを捨てて、ギターを捨てて
DTMを捨てて、イラストを捨てて、写真を捨てて、
小説を捨てて、ゲームクリエイターも捨てよう
私は一人で誰にも見られずこじんまりと長い年月をかけて自分の中の音楽を表現していたい
そう思った
この気持ちをこの映画が救ってくれると思っていた
救ってほしくて、どうにかしてほしくて
映画館へ向かった
自分が求めていたものがそこにある気がした
自分が何のために音楽を続けてきたか
その答えを見つけてくれた
どんなに諦めたって、捨てたって
自分は音楽という大きな壁の前にいつでも立っていた
何のための音楽か
「自分の作ったもので誰かの情熱を動かしたい」
これが見つけた答えだった
自分の精一杯をぶつけても動かせないかもしれない
けど諦めたら自分の情熱さえ動かせない
まだ人生は長い 今度は諦めずに続けようと
夜風を切りながら考えていた
最高の映画だった