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追伸、月子です。〜パンドラの箱〜 No.1

呆気にとられていた。

大きないびきとともに 自分の呼吸が停まるのを感じ
目が覚めたからだ。

…… え?呼吸停まるのって自覚できるもんなん?

それと普段 枕をつかわない自分の頭に しっかりと枕が収まっていることにも驚いた。

天井の洋風な柄。
しばらく 何をするわけでもなく ただただ一点を見つめていた。

無呼吸症候群。
というものを 聞いたことがある。

以前、父や夫の寝ている姿に それらしき瞬間を見たことがあり ヒャッ!としたのを覚えている。

そんなことを思い出しながらも 次第に自分のからだへと思いを巡らせている自分がいた。

なぜ そのような現象は起こるのだろうか。

からだの状態から 気持ちの状態までも 読み取ろうとしている。いつからか 自然とそんな癖がついてしまっていた。

深ああああ愛あい呼吸
からだのなかへ 内なるほうへ
すべての 矢印を向ける

月子はドキッ。とした。

手放しきれていないものが未だ ここにあるではないか。すでに解放し前進している、と信じきっていたのに。

とても寄り付きがたい 暗闇のベール。纏ったその者は ひっそりと根を下ろし、紛れもなくいま此処へと滞在している。

幾年月をかけ熟成された ソースは そう簡単には出てこない。 容れものを激しく揺すろうもんなら 大抵抗となるであろう。

開けてしまったのだ パンドラの箱を。
目が合ってしまったのだ。
【 不安や恐れ、心配 】の入り混じった世界を。

だが、遠ざけようだとか 無駄なエネルギーはつかいたくない。布団に寝転がったままの月子は 不敵な笑みを浮かべる暗黒ソースに告げる。

『 いざ、変容の時なり。』


宵のマリー☪

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