追伸、月子です。〜同期するふたり〜No.7
「 あなた感じやすいね。」月子に向かって桜が言った。
「 ここ来るときも腕がビリビリして…」と月子が伝えると
「 ここへ来るのを邪魔しようとしとるんよ 」と、すかさず「 あなた視える人なの?」と目を丸くする桜。
「 みえないヒカリを時々みるけど 視よう思っても視えんです。あ、視えちゃったって感じで。」
「 そういえば つい最近きたお客さんもそんなこと言うとったわ。」冥子をほぐしながら桜が言う。
話をしていくと 桜は視える人なのだそうだ。
意識療法というだけあって 見えない世界と通ずるものがあるのであろうか。
月子の意識療法への好奇心は次第に 桜本人への好奇心へと移り変わっていた。
施術も半分に差し掛かった頃 突然、冥子がトイレへと席を立つ。
「 毒素が出よんよ。ほぐしてる間 何度も何度もトイレに行かれるお客さん多いよ。」と桜。
冥子は大量の放尿をかまし驚いて帰ってきた。
「 水分とってね。」と桜からウォーターサーバーの水を勧められた。冥子と月子ともに水分を摂る。これが不思議なのだが施術を受けていない月子まで 喉が渇いていたのだ。
冥子はベッドへ戻ると 後半の施術が始まる。
もうあとは意識がどこへあるのかわからない。冥子は寝ていたのだろうか。静かに流れる空間のなか 月子の意識はどこにあるかわからないところへ行っていた。眠っているようだが やはり眠ってはいない。とても心地の良いところ。真っ白な何かふわふわしたやさしさに包まれていた。
月子がふうっと目を細めると 施術は最終段階で 冥子はベッドに座っていて 桜の言われるままに腕を回し首を回している。最後に背中をパンパン!と叩くというより 祓われるような感じで仕上げされ終了となった。
お勘定を済ませると そそくさにトイレへと駆け込む冥子。交代とわかり月子も駆け込む。勢いよく3度カポンカポン! と簡易水洗特有の音が鳴る。
トイレから出ると冥子は月子の荷物を持って外へ出ており 「 めっちゃ!!おしっこ出た!!」とまたしても驚いている。共感し合う月子と冥子。
そこへ桜も外へ出てきて「冥子さんキレイになったでしょ?!」と月子に聞く。
来た時とは別人の顔になった冥子。内側から魅力が放たれているかのようだ。
月子も体が軽く気持ちが良いことを伝えると
「 最後ふたり同期してたよ。」桜がやわらかな表情で微笑った。