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追伸、月子です。〜近くにいて遠い〜No.13

入浴中、胸まわり 乳腺〜脇腹の方へ 桜に教わったやり方でリンパを流す。ぐうにした手の第三関節を押しやってグリグリと少しずつ進んでいく。

自分でやってみるも これがわりと痛い。


ていねいに ていねいに ぐうの手を動かしていく。「 いつもありがとう。」と声に出しながら。


今まで自分のカラダに 乳房に 感謝したことなんて あっただろうか。乳房をじっと見つめることなんて 向き合って考えたことなんて あっただろうか。


むしろ その逆なような気がする。


出産最後の第三子までずっと 母乳での授乳だった。
授乳を終えてからの月子の乳房は まるで変わり果ててしまった。以前のようなハリはなく 乳首や乳輪の色まで変わってしまった。見るからにとても貧相に変貌してしまった。(以前がダイナマイト!というわけでは決してない…言ってみたいけどね)


歳の近い3人の育児を奮闘していた当時は、久しぶりに友達同士で集まろうもんなら 決まって乳首の見せ合い大会が始まる。色、形、大きさ等チェックが行われ経過が話合われる。

女性たちは産後までも 実に繊細であるがゆえに デリケートな部分を案外気にしている。


月子もそのうちのひとりだ。


自分の乳房に自信が持てなければ 恥ずかしさまで付きまとう。夫にも申し訳ないと思っていた。どうせなら いいものを提供し続けたいからだ。そんなことを夫は気にしたそぶりすらないのだが いつもの向上心の高さが月子を苦しめる。



ぐうの手を元に戻すと腕から指先を前に押し伸ばしする。引っ張られた糸が切れたかのように 両手は底へ沈み 肩が 顎先がお湯の中へと潜り込む。
腑抜けた状態のまま 月子はしばらく静止していた。



自分は 自分の乳房を 自分のカラダを 愛せていなかった。


今日というこの日この瞬間まで 気づくことすらなかった。


そこにいるだけで 在るだけで 尊いのに。


開いた口が塞がらなかった。


あの日 検診を受けていなければ、再検査をしに病院へ行っていなければ、月子は今もぼんやりとただだだ当たり前のように自分のカラダをぞんざいに扱っていたかもしれない。それは同時に 心というか 魂さえも小さく小さくさせていたのだろう。



就寝前、月子はいつもあそびでやっているオラクルカードを一枚めくった。そこにこういったメッセージが書かれていた。


【 自分を癒せば 周りが癒される 】


宵のマリー☪

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