追伸、月子です。〜気づけば蓄積〜 No.8
それからは、なんというか ダダ上がりだった。
なんせ そうなるような出来事が 起こるべくして起こるのだ。
冥子の施術見学から帰った月子は まるで自分が受けたかのように からだがかるかった。
いつもなら夫が気をきかせて買ってきた冷凍チャーハンやカップ麺を手にとるのだが その日は違っていた。手料理に取りかかったのだ。手の込んだものとまではいかないが その日できる簡単なものをつくった。
また、画像などの容量がオーバーしていてメールが届かなくなっていた月子のスマホは この日、身のこなしを変えることとなる。
というのが、40歳を迎えた月子は保険の切替の時期であった。新たな保険プランのための申し込みをメールで送られてくるフォームからやらなければならない。そのためには今までために溜め込んだ写真たちを移動するなりして容量を確保するしかない。
そこでパスワードが必要となる。
だが、キレイサッパリ忘れているのだ。加え、メモをしたものさえ どこに置いてしまったか不明である。結論、月子はだらずである。
夫の太陽はi-phoneを愛用なので 月子のスマホのことはなんせ無知である。やり方を調べパソコンの前で苦戦している太陽の傍ら、月子は何年も手つかずだった物置きを整理することから始めた。
出てくる出てくる いつの書類?ってのや 捨てるに捨てれなかった子どもたちの作品の数々。もう、色も変われば湿気てカビていたり…よくもまあ今まで目を伏せていたことか。
ひとつずつと向き合う。
盛大に断捨離を進めていく。さようなら、ありがとうを込めて。結果、ゴミ袋大(45リットル)7つ!!瞬く間に部屋の半分が埋め尽くされた。
そしてその間に探していたパスワードもひょっこり顔を出した!!が、太陽はやはり やり手で新しくパスワードを作ってしまっていたので不要となってしまったが… 物置きには空間というものが出来、見事にスマートになっていた。
そして何時間とかかったのであろう。
太陽の献身的な作業のおかげで( なんと!何千とある写真を一枚ずつ見定めては 不要そうな写真を削除してくれていた!!)ありがたいことに月子のスマホまでかるくなってしまったのである。
太陽のとても気の遠くなるような作業に ただただ月子はあたまが上がらない。今後、足を向けて寝ることはないであろう…
太陽という仏に感謝しつつ、検診結果を思い出していた。もしも病気というものが これまでの蓄積だとするなら この日の断捨離で出てきたゴミのようなものだ と思った。今までの人生の どんな時のどんな感情に見て見ぬふりを続けてきたのだろう。蓋をしてきたのだろう。そして今日まで押し込めてきたのか。
夜更けとともに キャンドルに明かりを灯す。