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追伸、月子です。〜別れを夜に放つ〜No.10

「 このパワーストーン外していい?」

「 え?あ、はいっ!」

月子がおどおどしていると、桜が続ける。


「 今、このパワーストーンが右目にスーッと入ってきたの。このパワーストーンは 強すぎる。」


桜に言われるまま ブレスレットを外し 桜に預ける。そのブレスレットを月子のバックが入った荷物かごへと入れた。


聞けば、パワーストーンというものは開運のため 使われることが多いが 良いものも入ってくれば 時に悪いものも入ってくるらしい。そして何よりも 月子のパワーストーンは もともとが強すぎたようだ。

ここ数年どこへ行くにも一緒だったブレスレット。いつも左手首にはめ 安心感を与えてくれていた。

誕生日に 自分のために購入した。合う石を選んでつくってもらった。2種類の違うタイプの色のものが出来上がり すきな方を選んだ。すごく悩んだが 最終いつもなら選ばない色の方を選んだ。とても惹かれた。

初めて装着したときは 本当に驚いた。今までにない感覚だったからだ。スースーする というのが いちばんしっくりくる。川の水のように ひんやりしていて スースーしたものが ブレスレットのある方の手だけを取り巻いているようだった。

身をもって 自分の授かった石のパワーを体感した。


左腕をほぐしていた桜が口を開く。

「 左側ばっかり不調になりやすいでしょう?」 


そうだ!その通り!
何かしら左に負荷がかかる。

そういえば、パワーストーンをつけていた方も決まって左手首だった。

月子はハッ!としてしまった。 身に覚えがあった。何ヶ月か前から視えていたのだ。左側だけ。顔の横を もやもやしたもの。不気味で濁ったような はっきりとしない色。わかりやすく言えばオーラのようなものなのだが、すぐに良いものではないと感じとっていたのだ。


ずっと気になっていた。

ここで答え合わせが出来るだなんて思ってもみなかった。もしかするとパワーストーンは 月子自身の負の感情さえも吸い込んでいたのかもしれない。自分で自分を滅ぼしていたのかもしれない。

そう思えば怖くもなるが、どんな時も月子の一部となり ともにあった存在。感謝も同時に込み上げる。


いつまでも寄りかかっていては いれないのだ。
月子は月子にとって本当に必要と思う世界を生きるのだ。溜まった不要な想いも 石という物質も すべて手放す。

夜に輝く明星を手にするため。


宵のマリー☪

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