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【寒竹泉美さんの講座を受けて⑥】最終回・いろんな読者を想定する

小説家・ライター 寒竹泉美さんの「心を伝える文章の書き方講座」を受講しています。講義での気づきや学んだことを書きます。

作品を見てもらうためのポイント

課題のエッセイをいくつかピックアップし、どうしたらもっと読んでもらえるか、書くときのコツを教えていただきました。

  • 「自分が知っている=みんなが知っている」とは限らない

  • 知らない読者ために説明を加える

  • 読者の気持ちも想像してみる

「冒頭で知らない言葉が出てくると、『わたしの知らないことだ』と読者をおいてきぼりにしてしまい、読んでもらえなくなってしまいます。相手がどこまで知っているのか想像しながら書くことが大切」と寒竹さん。

確かに自分が知っていることは無意識にスルーしがち。エッセイもライターが書く原稿と同じで、読者のことを考えて書かなければいけないのです。

エッセイの添削を受けて

今回、わたしが書いたエッセイはこちら。

■タイトル:高見石小屋のあげパン

「香川さーん!」と呼ぶ声に「来たー!」と心の中でガッツポーズをとる。期待に胸をふくらませながら受け取り口に向かう。北八ヶ岳に来たら絶対に食べたかった山小屋グルメ、それが高見石小屋のあげパンだ。これを目指して来る人がいるほど人気で、週末は早い時間に売り切れることもあるという。注文してから揚げてくれる名物のあげパンは全部で5種類。味は、黒ゴマ・抹茶・チョコレート・きなこ・チーズだ。

YouTubeで何度も見た憧れのあげパンが、いま目の前にある。木のお皿にテーブルロールくらいのサイズのあげパンが5個のっていて、それぞれの味のパウダーがたっぷりまぶしてある。チーズ味にはケチャップがトッピングされている。緑・茶・ベージュと写真映えする見た目も人気の理由の一つだろう。はやる気持ちをおさえながら、一眼レフカメラでいろんな角度から写真を撮ったあと、いよいよ実食だ。まずは黒ゴマから。

そっと上から挟むように持つと、ちょっと力を入れただけでつぶれそうなほどやわらかい。大きな口を開けてひと口かぶりつくと、黒ゴマの風味と甘さが口いっぱいに広がる。期待以上のおいしさに思わず笑みがこぼれる。ドーナツとも違う、焼き立てパンのようなふわふわ食感で、よく見ると外側はほんの少しだけ薄い衣をまとっている。油で揚げてあるのに、それをまったく感じさせないあっさりした味わいだ。うっとりしながら食べて、次のあげパンに手を伸ばす。風が吹くとパウダーがまわりに飛び散るし、かじるたびに口のまわりが粉だらけになるが、そんなことが気にならないくらい夢中で味わった。

あぁ、幸せだ。念願のあげパンをやっと食べることができた。頑張って歩いてきて本当に良かった。高見石小屋に向かうこの日は午前中から雨模様。しかも、予定より出発が少し遅れて、あげパンの販売が始まる10時までに高見石小屋に着けないことがわかりヒヤヒヤしていた。もし食べられなかったら、売り切れていたら、ショックで立ち直れなかったかもしれない。それくらい、待ち望んでいたのだ。

食べ終わったあと、夫とシェアせず、一人一皿ずつ頼んだほうがよかったかもと少し後悔する。いやいやあげパン5個はさすがに食べすぎだから、半分ずつでちょうどよかったんだと自分に言い聞かせる。また食べに来ればいい。あげパンの余韻に浸りたくて、コーヒーを追加注文し、しばらくその小屋で休憩をする。次々と小屋にやってくる人たちのほとんどが、あげパンを注文している。出来上がったあげパンを笑顔で受け取る姿を見ると、こちらまでほっこりする。次はいつ来れるだろうか。ここまで来るのは少し面倒だが、これを目的にまたワクワクしながら歩くのも悪くない。またいつか、あの最高においしいあげパンを食べに行きたい。

寒竹さんからは、「情報と感情のバランスがちょうどよくて、グルメガイドではなく「わたし」の想いがこめられたエッセイになっていました。人のぬくもりのする文章。とってもおいしそう。あげぱんを食べたいというだけじゃなく、その場所に行って、その体験をしたい、という気持ちになりました。」とコメント。

前回はダメだしいっぱいで、エッセイとすら呼べないものだったから大きな進歩!純粋にうれしい。

でも、読者が知らないことの説明が不足していました。

「山で食べるあげパンの特別感をより感じてもらうために、山小屋がどこにあってどんな感じなのか、風景を読者に見せてあげるともっと印象深いエッセイになります」とアドバイス。

登山に興味がない人にとって、「高見石小屋」なんて聞いたこともないし、どこにあるかも知らない。「北八ヶ岳」が何県にあって、山の名前なのか地域名なのかもわかりません。実際、今回の講座参加者は誰も「高見石小屋」を知りませんでした。ちなみに高見石小屋の特徴は次のとおりです。

■高見石小屋
北八ヶ岳に位置する山小屋のひとつ。八ヶ岳とは、長野県と山梨県にまたがる山域のことで、高原リゾート地として人気。
高見石小屋までのアクセスは、白駒池の駐車場登山口から歩いて約50分ほどで、うつくしい苔の森をハイキングできるのが魅力。小屋の天井には、たくさんのランプが吊るされていることから、ランプの宿としても知られる。

あげパンはこちらに写真を載せていますので、よろしければどうぞ。

嫌いな人に、好きなものを説明する

最後のワークは、自分の好きなものを1つ選び、それを嫌いな人にどんなふうに好きなのかを説明すること。いやー、これがとっても難しかった。

嫌いな人にとっては、それを聞くのも見るのもイヤだろうし、食べるなんてもってのほか。果たしてどうやったら聞く耳をもってくれるのか、まったくわからず。

わたしの好きなものは「カップヌードルのトムヤム味」と決めて、おいしいんだけどなぁ、嫌いな人は絶対食べないだろうな、と思いながら考えてみる。でも、エッセイの最初の一文が出てこない。

「だまされたと思って。スープをひと口飲んでみてほしい」
と試しに書いたら「嫌いな人は絶対飲まないですね(笑)」と寒竹さん。

うぅぅ。やっぱりエッセイは難しい。6回の講座を受けたのに、ぜんぜん自分の血肉になってない(汗)

大切なのは、自分と違う立場の人の気持ちになって考えること。文章で意図せず誰かを傷つけることがあるかもしれないし、せっかく書いた文章が届かないかもしれない。講座で学んだことを日々の執筆で考えながら、自分の文章を豊かにしていきたいと思います!

講義後に交流会を開催

最終講義のあと、都合がつくメンバーで交流会を行いました。この日は着物で来られた寒竹さんも一緒です(とってもお似合いでした!)。

いろんな方と和気あいあい話ができて新鮮でした。ライターの仕事に興味がある人もけっこういるみたいで、可能な限り質問にお答えしたり。
面識のあるライターさんもいて、今後も交流がつづきそうです!
(こういうつながりが大切!)

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