窓際の席でおいしそうにパンを頬張る。外の世界の人々はなかなかに面白い
私はとても周りの目をとても気にする性格だ。誰かに見られているかと思うと、変に緊張してしまう、そんな子だった。
できれば、誰かの目に触れないように生きていたい。
ひっそりと生きていたかった。
そんな願いも虚しく、私はこれまでの人生で色んな場面で人の前に立つことが多かった。リーダーなんてできればしたくない、陰でサポートするくらいがちょうどよかった。影の縁の下の力持ちに憧れていた時期もあった。
少し論点がずれてきたようだが、とにかく、イートインの窓際の席は苦手だった。特に前や横を人が通り過ぎていくガラス張りの場所。ショーケースに入っている商品の気分のようだ。
横目で食べているところを、どんなものを選んでいるのかを、見られることが苦痛だった。どう見られているんだろうとその人の心の中を探ってしまっては悲観的になっていた。自分に自信がないのも一つの原因かもしれない。
コロナワクチン2回目を終え、自分のご褒美として昼食にパンを食べた。ずっと気になっていた駅の構内にあるパン屋で、イートイン席があることを知った。品揃えを見て、悩んだ。どれもおいしそうで、自分の嗜好とお腹と相談しながら3つ選んだ。イートイン席に入ると、ソファー席はほとんど埋まっており、窓際の席ばかりが空いていた。
仕方なく、窓際の席の中でも一番奥の壁際の席を選んだ。
ここでも他人の目を気にしているのがよくわかるだろう。
パンはとてもおいしかった。
食べている間にじろじろ見られることは少なかったが、やはり少し気を揉んだ。いっそ、おいしそうに食べてやる、と思ったら少し気がまぎれた。壁際なこともあってそんなに人目に付かなかっただろう。今の人たちは意外と自分の周りを見ていないんだなと思った。
外は、たくさんの人があちらこちらと歩いていた。荷台をもっては知っている店員さんも見かけた。待ち合わせをしていたであろう男女や、帰り道の高校生。日傘を差して歩いている女子高生、日焼け対策をしているなんて、女子力が高い。
隣では、仲よくアイスコーヒーを飲むご老人夫婦が居た。仲睦ましいようで少しほっこりした。
冷房の効いた店内で、外の様子をゆったりを見てみる。
たまにはいい時間かもしれない。
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