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幸せの満たし方
誰かがくれる自分だけの特別なプレゼントに、心を満たされてきた。
親からもらった誕生日プレゼント。
友人からのおみやげ。
恋人からの贈り物。
一人の時間にそっと取り出して、幸せをかみしめた。
自分で買ったチョコレートだって、自分の心を満たしてきたのだ。
けれどいつからか、私だけの特別は心を満たさなくなった。
満たさないどころか、ひとりじめしたチョコレートで太った。
脂肪しか満たされていないし、脂肪はメンタルを削ぐばかりだ。
一体いつから満たされていないのだろうと考えたが、満たされていないわけではない。
心をあたためた瞬間は、そうだ、誰かとわけたときだと気づく。
「これおいしいよ」とお皿にとりわけたとき。
「ねぇかわいいと思わない?」と半分にしたとき。
「一緒に使おうよ」と2人のあいだに置いたとき。
その瞬間は長く心を満たした。
誰かの特別になれる機会は減った。
年を取ったことを寂しく思っていたが、それとは別のドアが開いていた。
チョコレートを小皿に盛り、そっと階段を上がる。
満たされることはいつだって幸せだ。
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