芋茎(ずいき)
季節の野菜が大好きです。
それも変りものの特異な希少品種な野菜ではなくて昔から受け継がれたものに愛着が沸き起こります。この時期だと胡瓜、トマト、枝豆、万願寺唐辛子、新蓮根などが思いつきますがとりわけ好みなのが芋茎(ずいき)になります。先に挙げた野菜などは調理するのにそれほど手間が掛からず強いて言えば生でも食べれないこともないものも多いですし生で食べれないにしても焼いたり揚げたりして塩するだけで美味しかったりもするので手軽に食べれるのは魅力でしょうか。
でも、とりわけ芋茎が好きです。
食べるだけにしろ、調理する手間にしろ、愛おしさを感じます。
手間がかかるからこそ愛おしい。
バカな息子の手間が掛かるほどに愛おしいのと同じ境遇です。
食べてしまいたいくらいに愛おしい。
キチンとした処理の仕方を習った覚えはありません。
どこかの料理本だか今は亡き祖母に聞いて覚えていたのかはわかりませんが、取り敢えず重要なのは新鮮なうちにキチンとアク抜きをするということと、出汁の類いに落し蓋をして火を通す下準備をしておくということくらいです。そこまで拵えておくと常備菜としてタッパーで1週間くらいは十分問題なく楽しめるのも心強い。
【1】用意した芋茎のイモの部分を切り落とす。イモの部分も素晴らしく美味しいので一緒に炊きます。茎の部分はセロリの筋を刮げ取るの同じ要領で表面の赤紫の表皮の部分を刮げ取っていきます。【2】ひたひたにした酢水に浸して一昼夜アク抜きをする。【3】炊く前に酢水から引き上げてしっかりと水洗いする。【4】鍋に芋茎を並べて出汁、酒、淡口醤油少々、味醂、ミョウバン(色止めの好みで)を芋茎が浸るくらいの量を入れて落し蓋をし、火にかける。【5】煮立ってきたらグラグラしないくらいのフツフツするするくらいの火加減に調整してイモの部位が竹串のスッと通るくらいまで炊く。【6】放冷して冷めたらタッパーに移して冷蔵庫で保存する。
食べる時に一口大にカットして好みのタレを作って掛けて食べるだけなので下準備さえしておけば非常に心強い常備菜になる。胡麻ダレもいいし、梅肉和えもいいし、芥子酢味噌和えもたまらない。味噌汁の具にするとか卒倒するくらいに旨いのだけれども合いの手に蕎麦の実とかぶぶあられとか合わせると完璧であります。もちろん冷や汁にも納豆にも合います。
下拵えした後の見た目は非常に地味だけれども滋味に富んだ食材です。