痒いところに手が届くドリル?! ~改造家ツール ピックアップ②
日曜の寛ぎネタに何を書こうかと、ハンモックの上でだらだらかつ真剣に考えていたら、転がっているなら家の窓枠にすだれを吊れるようにL字フックを付けてくれ、と我が家の司令塔より厳し目のパスが飛んできたので、そのために持ち出したこれの話を書きます。
お休みモードなら、最小限の動きで最大限の効果を。猫に学んだ態度です。
手すりなどを取り付ける時に必須の道具が電動ドリル(ドライバー)。基本は充電式ですね。以前から使っている勢としては、ここ数年のものは凄まじいバッテリーの進化を感じます。
そして、単にドリルドライバーといっても、実はその機能に細かい違いがあり、職人はそれぞれの機能を使い分けていること、ご存知でしょうか。
でも、いちいちそれを持ち替えるの、面倒なんですよやっぱり。そもそも箱も重たいし、ちょっとだけしか使わない機能のために機材をマンションの9階まで運ぶの、しんどいのです。
そんな職人勢の需要を読み取るのに長けているのが、一部のギタリストにも人気のマキタ様の製品。
せっかくなのでポール・ギルバート(MR.BIG)の動画でも貼っておこう(2:16~)。毎秒1100回転×3枚ピック、1秒間に55回のピッキングを可能にするマキタ様の技術よ。アラフィフ勢なら知らぬ人はいない、かの高橋名人の3.43倍速のピッキングである。
でも痒い背中を掻くのにはちょっとお勧めできない。速すぎます。
Mr. Big - Daddy, Brother, Lover, Little Boy [The Electric Drill Song] (MV)
(参考記事)
https://www.soundhouse.co.jp/contents/column/index?post=3120
本日のBGMはこれで準備できました。
さて、もう5年は使っているのがトップ画像の愛機である。その名は、
マキタ 充電式4モードインパクトドライバ TP131D
詳細はこちら。
これ、職人が必要とする様々なドリルを、一台で賄おうとしている野心的な製品なのでした。これの存在を知ってから欲しくてたまらなかったのですが、使ってみて判ります、やっぱりこれは手放せません。次に買うのもこれ系でしょうね。こちら4モードのお手軽切替で、それらに対応できるようになっております。
1、インパクトドライバ
まず、大きな音を立ててネジを沢山打ちまくるのが、これ。
ドガガガガガガガガガガガガガガガガッ、と木造の建築現場などで、機関銃のような大きな連射音を立てているのがだいたいこれである。基本的に木工担当です。
これの良いところは、硬いところにもビスがガンガン入るところ。欠点はパワー重視のがさつなところである。硬い節とかに当たるとネジが簡単に折れたりする。
はたらく細胞で例えるなら、マッチョな強さを誇るキラーT細胞ですね。
2、震動ドリル
コンクリートやモルタルなどの硬い壁、どうやってネジを止めるのかな?と不思議に思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。それには、こちらの機能が必要になります。
先端のとっても硬いドリルチップで、ゥ゙ィーーーーーン、と対象物を微妙にブルブル震えて削り取りながら、その選んだ太さの穴を開けるドリルです。
穴を開けたら、それに合ったコンクリートビスで一発留めか、プラスチックアンカーなどをその穴に差し込んだうえでネジ止めができるようになります。
はたらく細胞で例えるなら、要所で一撃必殺のNK(ナチュラルキラー)細胞ですね。
3、電動ドリル
単にぐるぐる回る機能が、電動ドリル。ただその速度は人差し指の強弱でコントロールできるので、定速で金属に穴を開けたいときや、木材に下穴や貫通穴を開けたいときなど、様々な用途に使います。手すり工事の場合だと、金属の棒にネジ打ちのための下穴を開けるときはこれですね。
はたらく細胞で例えるなら、多彩な現場で働く縁の下の力持ち、好中球。
4、電子クラッチ付きドリルモード(ネジ締めモード)
これが、このドリルドライバーの最も使える機能と言っていいとおもう。
ネジを締め込む時、それ以上ネジが入らないところでドライバを回し続けると、ネジ頭を壊してしまう(いわゆる、舐めるという状態)。そうすると今度は外すこともできなくなるので、泣く泣く専用のラジオペンチなどを使い、そのネジをいったん外したりすることになる。なので、ネジ締めのときはかなり力を入れて、ドライバーをネジの方に押し付ける必要があるのだ。でも疲れてくるとついやりがちなミスである。なお、下向き作業のときなどは、体重が重めになったことに感謝したくなる瞬間でもある。
でも、このモードだと、先端の入り具合を感知して、ちゃんとクラッチが動作してそれ以上は締めすぎないようにコントロールできる。なので、手すりの設置などのネジ締めで失敗が減り、余計な仕事を増やしにくい。控えめに言って最高。音が静かなのも、お客さんがいる状態での仕事には有り難い。
はたらく細胞で例えるなら、相手の特徴を捉え記憶し、にこやかにすべてを終わらせる、マクロファージ様をおいて他にない。
というわけで、なぜか激しいBGMに乗せて、井上喜久子さま(永遠の17歳)の声で締めることになってしまった。
ま、とにかくこの優れものの機材が、体内の免疫細胞で例えるところの、多くの機能をマルチにカバーしているということがお伝えできるなら、安息日にもう思い残すことはありません。
でも以前、車からこれと震動ドリル、2台運ぶのを面倒くさがりこいつだけ現場に持っていき、震動ドリルモードでコンクリートと長時間バトルを繰り広げた挙げ句、案の定壊れました。面倒くさがりは高くつきます。
なので、餅は餅屋でもあることもお忘れなく。あくまで、同じ仕事で多用する際はそっち専用機がお勧め、そういう棲み分けですね。