移乗の平和を守るため♫ ~変身しないけど使いたいベルト
トップ画像、お見苦しいお腹で失礼します。不肖わたくしめの腹です。でもお見せしたいのは赤い方なのです。
新しくはないけど、せっかくウチで持っている福祉用具があるのだから、こっちも見せびらかそう!のコーナーをおもむろにやってみようかな、と。
こちら、いわゆる介助ベルトという品物。装着すると、なんとなくアガるやつです。いやほんとに。
あえて出来心で間違えて貼ってみましたすみません。斜めな具合がちょうどコレだったので。庵野カントクなら喜んでくれるはずです。
うちが持っているのはこちらの製品、スウェーデンのロメディック社製、フレキシベルト。現行品は、日本でもパラマウントベッド(株)さんより販売中です。
詳細はこちらをご参照くださいませ。
この製品、現場であまり見ないんだけど、介護保険上どういう位置づけだかあまり知られていないことにその原因があるのでは、と思っている。
実はこれ、特殊寝台付属品として、福祉用具貸与の対象品です。対象となる方は原則として要介護2以上ですけどね。でも付属品って、一般的にはマットレスをはじめ、ベッドに取り付けるもののイメージなので、なんで?という感じを持つ方もいると思います。でも、移乗のための用具が、介護保険ではこの分野に整理されているのです。他に有名なのは、スライディングボードかな。
こういった移乗用具が、介護保険法の福祉用具貸与の品目に定義されなかったのを、ベッドからの移乗に使うのだからその付属品でいいじゃろ、と解釈してくれた厚労省関係の方、ファインプレーだったと思います。褒めるべきときは褒める、大切なことです。
で。この赤いベルトの何が優れているのか、と言うと。
移乗介助の際、プロの方が叩き込まれていることに、掴んではいけない、というルールがある。なので基本は押す方向で介助を行うように、トレーニングをしているはず。なぜかと言うと、褥瘡(床ずれ)などの原因となる、内皮の中のせん断力を発生させたり、事故の可能性も増やしてしまうからである。
でも現実に、利用者さんの動作が難しいときや、環境の制約がある場合など、どうしても掴んで引っ張りたい、という局面がある方も、いる。
そんなときに、これを利用者さんに装着するのである(利用法その1)。
そうすると、装着された方の骨盤周りに縦横のグリップが生えたような状態になる。なので介助道では禁忌とされている掴んだり、引っ張ったりの介助が使えるようになるのだ。なんと革命的な。
でも、こんなの利用者さんに装着できるわけが・・・とお思いの方、いるでしょう。
でもこのベルト、装着が簡単なのですよ。変身しないだけあって。
ここ注目!アガる瞬間です。
じつは押忍!はなくてもいいです。でもきっと言いたくなるよ。
なんなら変身!でも構いません。本郷猛(藤岡弘、)の初代ライダー、放送開始が昭和46(1971)年ですからね。利用者さんにもそれがわかる世代、そろそろ増えてきておりますので、頑固そうな初老の利用者さんと、いきなりうち解けられる可能性が、微粒子レベルよりは多めに出てきますね。
さて、何度か自分で練習したら、利用者さんにも装着できるはずです。
バックルの付いている補助ベルト、結構簡単に長さを調整できますが、これを使う利用者さんが決まっているなら、そんなにしょっちゅう調整することもないですね。
ちなみにこちらの製品群、腹囲に合わせてSMLのスリーサイズ、ウエスト60cmから160cmまで対応でございます。まあ、それより細身の方はまず必要ないのかな。むしろ、腹回り160cmに対応しているところが、さすが大柄な方の多いスウェーデン製だけはある。
余計な情報のない正規の装着・利用法動画はこちらになります。
さて、この動画を見た方は目からウロコだったのではないか。
実はこれ、介助者が装着するという用途があるのである(利用法その2)。
不安感が強い人など、介助者に抱きつこうとしたりする方もいるだろうし、重心移動の際にどこか持ってほしいが、頼りない方などには、このグリップのどれかを握ってもらい、介助者の動作で動きを誘導したりすることが出来るのだ。特に立ち上がりの際、重心を前方に動かせたらなあ、という場合で、どうしたらよいか悩んでいるときには選択肢の一つとして、手持ちカードに入れておいて欲しい。
そして、ケアマネの皆様には、こういった切り札が在宅介護では出せること、頭の片隅に置いていてほしいな、と思うわけです。コルセット効果もあると思うので、介助者の腰痛予防にもきっと効果を発揮するのでは、そんなことも考えつつ。
売れないがあまり、引退販売中止になっちゃったりしたら、未来で必要としている方も困りますしね。推しは推せるときに推せ、というやつです。
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