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いつもお世話になっております、医師の村本と申します。
現在も医療現場で自分の専門とする部署で働いております。
昨今の社会状況もあり更新の頻度が遅くなり大変申し訳ございません。

医療×ITのオンライン/オフラインコミュニティである「MIラボ」はこれまで幻冬舎・箕輪厚介さん、元ZOZO・田端信太郎さん、SHOWROOM前田裕二さんと言った各界のトップランナーに早くからアプローチして、医療業界にない視点をお話いただく講演会を企画し、これまで計500名以上の方に足を運んでいただきました。

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また、Ubie,inc. 阿部先生やメドピア株式会社 石見先生などにご協力いただいて、医療スタートアップ・ヘルスケアベンチャーを取り巻く環境について学ぶイベントを開いたり、実際に企業との共同開発も行わせていただきました。

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メンバー同士の交流の機会も多く設けることができて、MIラボ発の団体や企画も誕生してきました。


しかし一方では、活動を続ける中で現状の運営における「限界」を人一倍感じてきました。
また、激変する社会環境の中でコミュニティの形も柔軟に変容していく必要があると感じました。

具体的には、
・医療サービス開発におけるマネタイズの限界
・水平型コミュニティにおける主体性の限界
・SNSによるメッセージ発信の限界

です。

これまでコミュニティ・イベントを運営していく中で思い通りにいかない経験も積み重ねてきましたが、そこで学んだことは「諦めなければ失敗は失敗でなく、成功のための布石」であることです。

・医療者が自分の専門性を伸ばしながら、医療内外の両軸で活躍できる未来を作る
・医療者自身が医療環境をよりよく編集していくことができる未来を作る

というVISIONを達成するために現状の「限界」の把握とそれを克服するためのこれからの一手についてお話させていただけましたら幸いです。

①医療サービス開発におけるマネタイズの限界(ビジネス)

ここ数年間でITテクノロジーの導入が遅れていた医療業界に様々なサービスの開発を行う様々な企業・スタートアップが誕生しました。
まさにヘルスケア+テクノロジーであるヘルステックの時代が他の業界に遅ればせながら到来したのです。

医療サービスは実現すれば意義が強いものであるため、投資家や大企業からの多くの資金が開発のために投じられました。
ヘルステックバブルとでも言えるような環境がここ最近は続いておりました。

一方で、サービスを維持していくには資金調達だけではなく、その医療サービス自体でキャッシュポイントを作り持続可能な経営をしていかないといけないことは自明です。
ヘルステックにおいて、それは誰に向けたサービスで誰がその費用を買い支えるのかというところで大きな壁が立ちはだかりました。

もともと医療業界は保険制度がある関係上、国全体で医療の価格を決めているという文化があります。
そのため、医療者や患者さんは医療におけるコストをそこまで意識せずに医療活動を行うことができます。
国民皆保険制度自体は、国民全員が平等に最先端の医療を受けることができるとても良い制度です。

しかし、平均寿命が延び最先端の医療を開発するコストも増大している今、医療業界で新しいサービスのためにお金を出せる病院・企業・患者はごく限られています。

もちろん、患者さんや医療者に大いに貢献し、その報酬で持続的な経営を行っているヘルステックスタートアップも数多くあります。
しかし、当初考えられていたほどにはヘルステック業界全体は売上を作る力を伸ばしきれていないのが現状ではないでしょうか。

これからはビジネス視点で持続可能な医療業界の未来を考えられる人材が必要になってくると強く感じます。


医療は「非営利」な活動であり、経済・ビジネスと切り離されて考えられがちです。しかし非営利とは、厳密には資本主義市場における「営利」的な株式会社などのように株主に利益を分配することはしないということであり、健全な経営を持続するための利益を上げてはいけないというわけではありません。

むしろ、赤字のままでは未来の医療に再投資することができません。
医療者一人一人が自分自身の専門分野・医療活動を持続するために必要なコストを考え、それを回収することができる仕組みを考えられるようになっていく必要が強く感じます。


この資本主義社会の中で医療業界が健全に継続していくためには、
資本主義とは何か?
ビジネスとは何か?
自分が提供している価値は何か?
収益と支出のバランスは保たれているのか?
マーケティングと営業の仕組みとはどのようなものか?
医療業界でお金はどのように回っているのか?
という疑問に一人一人が答えられるようになっていかなければならないと感じます。

しかし現状では医療者はこのようなビジネス的経験や知識を身につけないまま現場に出ることがほとんどです。


そこで「シン・MIラボ」の取り組みとして
「医療者のためのビジネス入門講座」を開始しようと思います。
私がこれまで勉強してきたことや経験してきたことを共有し、ビジネス視点を持てる医療者を増やしていくことができれば幸いです。
もちろん私自身まだまだ勉強の身ですので、相互に学び合ったり、講師の方もお呼びする機会を作っていこうと思います。

SNSでは株式や不動産などの「投資」を教えてくださる医療者の方々はたくさんいますが、医療者の立場で「ビジネス」を教える方は少ないのが現状です。もちろん長期的に見れば投資を行うことは個人の収益を上げるよりも成長率が高いです。
しかし、若ければ若いほど投資よりも自身の収益を上げる方が早く達成することができ、お金そのものだけでなくビジネスで身につく能力も人脈も未来への投資の資本にすることができます。

この取り組みがこれから医療者になる医療学生や、自分の専門性を持った医療者が次のキャリアを考える上で助けになることができましたら幸いです。

②水平型コミュニティにおける主体性の限界(キャリア)

MIラボはこれまで一人一人が職種に関係なく、対等に水平に繋がり合い活動を行ってきました。
イベントの開催やサービスの共同開発においてもとても多くの方のお力をお借りして達成することができました。

しかしメンバーのいろいろな職種や環境によっては、なかなか本業である病院業務とオンライン/オフラインの活動を両立することが難しい場合も多々ありました。
積極的に参加したいけれどなかなかリソースが足りない人のサポートを仕切れなかった反省もあります。

一方、MIラボで仲間ややりたいことを見つけ、それぞれさらに大きな活動に発展していく事例もありました。
こういった方々をぜひ今後もたくさん輩出していけるような「熱量」と「代謝」の高いコミュニティにしていけたらと思っています。
学んだことを共有し、旅立ちの一歩を掴んでいく場所にしたいと考えています。


そこで「シン・MIラボ」はプロジェクトにおける水平型の繋がりは保ちつつ、誰でも教え・教わることができる垂直型の要素も取り入れていきたいと思います。
自分の職種に他業界の視点を導入することで、自分の身の回りの同じ職種の人にも価値を提供することができ、自身のキャリア形成にも繋がれば幸いです。
例えば施設ごとの取り組みを共有し、現場ごとの臨床の違いも明確にすることができればと思います。

具体的には先ほどの「医療者のためのビジネス入門講座」のように積極的に学びを発信して、なかなか活動に参加できない方にも成長できる環境を整えていきます。
また、少しの活動量からでも参加できるプロジェクトを用意して、未経験者でも手を動かせる場を作っていきます。
そしてそれぞれのメンバーが興味のある活動を行っていくことを通して、「個」へのパワーシフトの時代に自身の能力を高めさらなる活躍の場へ旅立っていくことのできる組織を目指します。

シン・MIラボ」では
・これから何か始めたいけどまだやりたいことが見つからない医療者・非医療者
・やりたいことが見つかってこれから一歩を踏み出したい医療者・非医療者
・すでに進めているプロジェクトをより多くの人に知ってもらいたい医療者・非医療者

にぜひ参加していただきたいと思います。

医療者としてのキャリアや資産を形成していくための基盤になる力を伸ばしていけるコミュニティを目指します。
今は医療者の資産形成といえば不動産投資や株式投資を行うことが多いと思いますが、若いうちであればあるほど個人の価値を高めることがより早く資産を形成する助けになると思います。

これまで医療者が新しい事業や他業界で活動する場合は、医療機関をやめて医療職の免許を活用して起業することがほとんどでした。
しかしこれからは、幻冬舎の箕輪厚介さんのように、医療機関に所属しながら他業界との橋渡しを行う第三のキャリアの道を拓いて行くことが重要だと思っています。
自分自身がその一例になれたらと願っております。

③SNSによるメッセージ発信の限界(ソーシャル)

MIラボは、ちょうど2年前、Twitterの繋がりのみから始まりました。
そのころはまだ医療者でTwitterを活用している人も少なく、自然と自分の興味のある領域の人々と繋がることができました。

今は数年前と比べ、医療者でTwitterを活用している方も増え、専門的な内容をオンラインでリアルタイムに知ることができる機会も増えてきました。
それ自体はとても良いことで誰もが最先端の医療事情にアクセスすることができるようになったと言えます。

しかしそれでもまだ全ての人々に医療の正しい姿を伝えることは難しいことが現状です。
それどころかあまりにも属性が違う人同士が繋がりあうことで、正確な情報に基づくのではなく感情や思い込みに基づいたやりとりがなされるところを見る機会も増えてきました。
その結果、SNSでも結局リアルと同じように思考や属性の近い人同士で固まってしまい、多能性の持つパワーを発揮しきることができていないように感じます。

さらにSNSという情報の流れの速い環境の中ではじっくり内容が吟味されないまま流れて行ったり、重要なことが目に止まらないまま流れて行ってしまうことも多々あります。
医療に限らずこのような双方向性のSNSの脆弱性がいろいろな場面で明らかになってきています。

一方のコミュニティの利点として「分人主義」が注目されるように家庭・職場に次ぐサードプレイスを個々人が持つことが現代社会のストレスを緩和する方法として機能することが知られています。
「シン・MIラボ」ではコミュニティ内で多分野・他業界の人と共に学ぶことで、自分を守りながら手を動かすことができる安心・安全の場所として機能してくれることを願っています。


そして、「シン・MIラボ」は流れの速いSNS上だけでなく、
医療における「遅いインターネット計画」のように医療のヒト・モノ・コトにフィーチャーしたWebメディアを2年かけて作っていくことを目指します。

医療者が信頼性を担保しながら発信できる場所をオンラインやオフラインで作っていけたらと思います。

まとめると
シン・MIラボ」では
・医療者に向けたビジネス学習の機会を提供
・これから何かを始めたい人に向けてキャリア形成につながる能力を高められるプロジェクトを提供
・SNSの潮目に左右されない信頼性の高いWebメディアの構築・企画・運営

について今後2年間をめどに注力していきたいと思います!

それぞれの詳細についてはまた追ってご連絡させていただけましたら幸いです。
困難な世の中ですがぜひ今後とも宜しくお願い申し上げます。

2020.5.19 村本耀一

6月より「シン・MIラボ」にリニューアル予定です。
https://camp-fire.jp/projects/view/89457

誠にありがとうございます! 病院で医師として働きながら、医療にITを導入することでより早くから医療サービスを提供して医療リテラシーの向上を図るとともに より医療者にとって働きやすい医療環境が作れるように活動しています! 今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます☺️