Yoichi Yoshiyama

DXプロジェクト、情報セキュリティ戦略の策定支援、新規事業開発、人材育成に注力しています。

Yoichi Yoshiyama

DXプロジェクト、情報セキュリティ戦略の策定支援、新規事業開発、人材育成に注力しています。

最近の記事

第3回: AI時代に求められる多様な視点と柔軟な発想力

はじめにAIがさまざまな分野で判断をサポートする一方で、データに基づいた最適解だけが常に正しいとは限りません。むしろ、AIが示す結論を新しい視点から捉え、発展的なアイデアを生み出すためには、私たち人間が多角的な視点と柔軟な発想力を持つことが求められています。AI時代においても、新しい可能性や創造的な解決策を見出すための「柔軟な発想力」は、個人と組織の成長に不可欠です。 今回のテーマでは、AI時代における多様な視点と柔軟な発想力の重要性について考察し、Cognitive Co

    • 第2回: AI時代に求められる自分の思考を知る力

      はじめにAIがもたらす情報や結論が日々の意思決定を助ける時代にあっても、最終的な選択には私たちの「自分自身の思考」が欠かせません。データやAIの分析結果をどのように受け取り、どんな選択をするかには、個々人の価値観や判断基準が大きく影響します。自分の思考を深く知ることは、AI時代でも自分らしい決断を下すための力となり、AIと人間の共存の鍵となります。 今回は、AI時代において「自分の思考を知る力」の重要性について考察し、Cognitive Counterbalance(CC)

      • 第1回:AI時代に求められる人間らしい判断力とは?~疑いと仮説がもたらす発展の力~

        はじめにAI技術が日々進化し、私たちの生活やビジネスに不可欠なものとなりつつあります。しかし、AIが示す結論にただ従うのではなく、「人間らしい判断力」「自分の思考を知る力」「多様な視点と柔軟な発想力」といった、AIに頼りすぎないための力がこれまで以上に重要になっています。これらの力を身につけることで、AIの示す答えに柔軟かつ創造的に対応し、納得のいく意思決定が可能になります。 今回は、AI時代に求められる3つの力を3回に分けて考察していきます。 その第1回として、AIの判断

        • (番外編): バイアスの有効性とその力を引き出す方法

          はじめに私たちは日常の中で、自分自身や状況に対して強い感情を抱く瞬間に出会うことがあります。うまくいかない現実への苛立ちや、期待していた自分との差に気づいたときの失望感。これらの感情は、一見ネガティブに感じられますが、必ずしも悪いものではありません。実際には、こうした感情が私たちの持つバイアスと結びつくことで、前進するためのエネルギーとなることがあります。 これまでのシリーズでは、日常生活で私たちが直面する認知バイアスに対処し、冷静かつバランスの取れた判断を行うための方法に

          (最終回)第12回: 未来の人間の進化に必要なCognitive Securityとその役割

          はじめにセキュリティ戦略は技術的な防御だけでなく、人間の認知能力の進化が求められる時代へとシフトしています。デジタル化が進み、サイバー攻撃や偽情報の拡散など、脅威はますます高度化・巧妙化している中で、人間の認知バイアスを克服することが、セキュリティを強化する上で重要な要素となっています。 ここで注目されるのがCognitive Securityです。Cognitive Securityとは、人間の認知プロセスそのものを強化し、バイアスに左右されずに冷静で適切な判断を下せるよ

          (最終回)第12回: 未来の人間の進化に必要なCognitive Securityとその役割

          第11回: オープンな文化と成長マインドセットを育むCognitive Counterbalance (CC)

          はじめに前回は、CCをビジネスの場でどのように応用し、認知バイアスを軽減してバランスの取れた意思決定を行うかについてお話ししました。今回は、CCが組織内のオープンな文化を育み、個人と組織の成長にどのように貢献するかについて掘り下げます。 CCを組織に導入することで、オープンで柔軟な文化が生まれます。反論や異なる意見を受け入れ、個々の成長を促す環境が整うことで、個人だけでなく組織の成長が加速します。これは、成長マインドセットとも深く関連しています。 オープンな文化を育むCC

          第11回: オープンな文化と成長マインドセットを育むCognitive Counterbalance (CC)

          第10回: ビジネスにおけるCognitive Counterbalance (CC) の応用

          はじめに前回は、日常の意思決定や判断において、認知バイアスに気づき、バランスの取れた結論を導くためのアプローチとして「Cognitive Counterbalance (CC)」を紹介しました。CCを意識することで、直感や感情に流されることなく、冷静で客観的な判断ができるようになります。 今回は、CCをビジネスの場面でどのように応用できるかについて具体的に解説します。ビジネス環境は複雑で、情報が溢れる現代では、認知バイアスによって判断が歪められ、間違った意思決定に至るリスク

          第10回: ビジネスにおけるCognitive Counterbalance (CC) の応用

          第9回: 認知バイアスに気づくためのCognitive Counterbalance (CC)

          はじめに前回は、システム2における認知バイアスや、エコーチェンバー、フィルターバブルが私たちの意思決定にどのように影響を与えるかを解説しました。慎重に考えているつもりでも、知らず知らずのうちに認知バイアスに影響され、偏った結論に至ることがあります。 今回は、そうしたバイアスに気づき、冷静でバランスの取れた判断を促す「Cognitive Counterbalance (CC)」についてご紹介します。CCは、日常の思考の中で自然に取り入れることで、認知バイアスに気づき、より客観

          第9回: 認知バイアスに気づくためのCognitive Counterbalance (CC)

          第8回: 認知バイアスを軽減するバランスの取れた意思決定アプローチ

          はじめに前回は、システム1による直感的な判断において認知バイアスがどのように働くか、そしてそれに対抗するための「クリティカルシンキング」の重要性について解説しました。しかし、慎重に考え、時間をかけて意思決定を行う「システム2」においても、認知バイアスを完全に避けることはできません。システム2は深く考えるプロセスですが、時間をかけたからといって、必ずしも正しい結論にたどり着くとは限りません。 今回は、システム2における認知バイアスの問題と、現代の情報環境がもたらすエコーチェン

          第8回: 認知バイアスを軽減するバランスの取れた意思決定アプローチ

          第7回:認知バイアスを克服するためのクリティカルシンキング

          はじめに前回は、メタ認知の役割について触れ、冷静な意思決定を行うために自分の判断プロセスを監視する重要性を解説しました。しかし、認知バイアスを完全に避けることは簡単ではありません。そこで今回は、認知バイアスに対抗するために有効な「クリティカルシンキング(批判的思考)」について解説します。クリティカルシンキングは、情報を論理的に分析し、感情や偏見に左右されない判断を行うための思考法です。 クリティカルシンキングとは?クリティカルシンキングとは、感情や直感に流されず、情報を客観

          第7回:認知バイアスを克服するためのクリティカルシンキング

          第6回:冷静な判断を支えるメタ認知

          はじめに前回、フィッシング攻撃がどのように認知バイアスを悪用してターゲットを騙すかについて解説しました。私たちは無意識のうちに「緊急性バイアス」や「権威バイアス」に影響され、即座に反応してしまいがちです。今回は、そのような認知バイアスに対抗し、冷静で慎重な判断を支える「メタ認知」について解説します。メタ認知を活用することで、自分の思考や判断過程を監視・調整し、バイアスによるミスを防ぐことが可能になります。 メタ認知とは?メタ認知とは、「自分の認知を認識し、制御する能力」のこ

          第6回:冷静な判断を支えるメタ認知

          第5回:フィッシング攻撃が利用する認知の罠

          はじめに前回、Cognitive Securityの基本概念について解説し、認知バイアスや心理的脆弱性を狙った攻撃に対抗するための新しいアプローチを紹介しました。今回は、実際の攻撃手法の一つであるフィッシング攻撃に焦点を当て、認知バイアスがどのように悪用され、どのように私たちの判断力を揺さぶるかを掘り下げます。 フィッシング攻撃とは?フィッシング攻撃とは、偽の電子メールやウェブサイトを使って、ターゲットに個人情報(パスワード、クレジットカード情報など)を入力させる手口です。

          第5回:フィッシング攻撃が利用する認知の罠

          第4回:Cognitive Securityの基本概念

          はじめに前回、認知バイアスがフィッシングやディープフェイク、偽情報といったサイバー攻撃にどのように利用されているかを詳しく見てきました。これらの攻撃に共通するのは、人間の認知バイアスに働きかけ、誤った判断や行動を引き起こすという点です。そこで今回は、こうした攻撃に対抗するための新しいセキュリティアプローチである「Cognitive Security(コグニティブ・セキュリティ)」の基本概念を掘り下げます。 Cognitive Securityとは?Cognitive Sec

          第4回:Cognitive Securityの基本概念

          第3回:認知バイアスがセキュリティに与えるリスク

          はじめに前回、私たちの日常生活やビジネスに潜む「アンカリング効果」や「正常性バイアス」といった認知バイアスが、判断にどのような影響を与えるかを説明しました。今回は、これらの認知バイアスがどのようにサイバーセキュリティを脅かし、特にフィッシングやディープフェイクのような攻撃にどのように利用されるかを掘り下げて解説します。 認知バイアスがサイバーセキュリティに与える影響認知バイアスは、私たちの判断力を歪め、攻撃者にとっては絶好のターゲットになります。攻撃者は、バイアスを利用して

          第3回:認知バイアスがセキュリティに与えるリスク

          第2回:日常に潜む認知バイアスのリスク

          はじめに前回、私たちの脳が持つ「システム1」の即時反応が、サイバー攻撃に悪用される可能性について説明しました。特に、フィッシング詐欺やディープフェイクのような攻撃が、認知バイアスを利用して私たちの判断力を揺るがすことがわかりました。今回は、その認知バイアスが日常生活やビジネスシーンでも、どのようにリスクをもたらすかを掘り下げます。 認知バイアスが日常生活に与える影響認知バイアスは、サイバー攻撃に限らず、私たちの日常生活の様々な場面で判断に影響を与えています。これは、小さな選

          第2回:日常に潜む認知バイアスのリスク

          第1回:認知がもたらすセキュリティの落とし穴

          はじめに現代のデジタル社会において、サイバーセキュリティの重要性はかつてないほど高まっています。しかし、技術的な防御策だけでセキュリティリスクを完全に排除することは不可能です。私たち人間の「認知の脆弱性」が新たな攻撃の標的となり、攻撃者たちはこれを巧みに利用しています。 今回は、人間の認知バイアスや心理的脆弱性がどのようにサイバー攻撃に悪用されるか、そしてその対策を考えるために、まず「認知」の仕組みを明らかにします。 認知バイアスとは?人間の脳は日常生活の中で膨大な情報を

          第1回:認知がもたらすセキュリティの落とし穴