2025年度 大学入学共通テスト(情報Ⅰ)第1問 解説
解説は筆者によるものです。問題文については大学入試センターおよび新聞社が公表している情報を参照してください。
問1 a [ア]
正解は②改ざんされていないか です。デジタル署名は、電子的な手段で情報の真正性や整合性を確認する仕組み。これにより、発信者が正しいことと、情報が途中で改ざんされていないことを保証できる。
問1 b [イ]
正解は②インターネットに直接接続する機器の増加に対応するため。
近年、スマートフォン、IoTデバイスなど、インターネットに接続する機器が爆発的に増加した。これにより、従来のIPv4(32ビットのアドレス空間)ではIPアドレスが不足する問題が生じた。その解決策として、128ビットのIPアドレスを使用するIPv6が導入され、膨大なアドレス空間を確保できるようになった。
問2 [ウ・エ・オ]
7セグメントLEDは、7個のLED(a, b, c, d, e, f, g)がそれぞれ点灯・消灯の2状態を持つ部品である。すべての組み合わせを計算するためには、以下のように考える。
〔各LEDの状態〕
各LEDは「消灯する(0)」「点灯する(1)」の2通りの状態を持つ。
〔全体の組み合わせ〕LEDが独立して点灯・消灯するため、全体の組み合わせは以下のように計算できる。
$${ 2^7 = 128}$$
〔すべて消灯の状態も含むについて〕
「すべてのLEDが消灯している状態」は7つのセグメントがすべて「消灯する(0)」の状態であり、上記の計算結果はこの状態も含む。
よって、7セグメントLEDでは、点灯・消灯の全組み合わせは 128通りとなるのでウ,エ,オにはそれぞれ1,2,8が入る。
問2 [カ]
〔問題文の条件〕
エラーコードは以下の形式で表現する。
1桁目:大文字のアルファベット(8種類)
2桁目:小文字のアルファベット(5種類)
3桁目以降:数字(0~9の10種類)
表示したいエラーコードの総数は少なくとも 5000種類
〔エラーコードの総数の計算式〕
表示可能なエラーコードの総数を次のように計算する。
エラーコードの総数=(1桁目の種類)×(2桁目の種類)×(3桁目以降の組み合わせ)
2桁の場合:8×5=40 < 5,000
3桁の場合:8×5×10=400 < 5,000
4桁の場合:8×5×10×10=4,000 < 5,000
5桁の場合:8×5×10×10×10=40,000 > 5,000
5桁のエラーコードを表示するには、少なくとも 5つの7セグメントLED が必要となる。[カ]には5が入る。
問3 [キ]
利用者ID「22609」を基に、チェックディジットを計算します。以下、生成方法Aと生成方法Bに従って計算する。
〔生成方法Aの考え方〕
①各桁の値を足し合わせると、N5+N4+N3+N2+N1=2+2+6+0+9=19
②合計を10で割った余りRを求めると、19÷10=1 余り9
③余りRが9なので、チェックディジットは 10−R=10−9=1
〔生成方法Bの考え方〕
①各奇数桁 (N5, N3, N1) の値をそれぞれ3倍する。
3×N5=3×2=6
3×N3=3×6=18
3×N1=3×9=27
②各偶数桁 (N4, N2) の値は以下の通り。
N4=2, N2=0
③ ①と②の結果をすべて足し合わせる。
6+18+27+2+0=53
④ 合計を10で割った余りRを求める。
53÷10=5 余り 3
⑤余りRが3なので、チェックディジットは 10−R=10−3=7
[キ]には7が入る。
問3 [ク]
生成方法Aと生成方法Bを比較し、どのような間違いがどちらの方法で検出できるかを調べる。
生成方法Aは、利用者IDの各桁の合計を計算し、その合計を10で割った余りを求めてチェックディジットを計算する。全ての桁の合計を使って1つの余りを求めるので、桁ごとの個別の影響が小さく、誤った桁が他の桁の影響を受けにくい。そのため、複数の桁を同時に間違えた場合には、誤りが検出されないことがある。
生成方法Bでは、奇数桁(N5, N3, N1)をそれぞれ3倍して、その結果を偶数桁(N4, N2)と合わせて合計を求める。これにより、桁ごとの重み付けが強調され、偶数桁と奇数桁の間に差が生じるため、桁の順序を逆にした場合などの入力ミスを検出しやすくなる。
⓪奇数桁の数字を二つ間違える
例えば、N5とN3を間違える場合、生成方法Aでは、両方の桁の数値をそのまま合計するため、間違えた部分の影響が他の桁に吸収されてしまい、誤りを検出できない可能性がある。生成方法Bでは、奇数桁の値を3倍するので、この間違いが検出される可能性が高くなる。
生成方法Aでは検出できないが、生成方法Bでは検出できる。
①連続する二つの桁の数字をそれぞれ間違える
例えば、N4とN3を間違える場合、生成方法Aでは、間違えた2桁が互いに近く、影響が互いに打ち消し合う可能性がある。生成方法Bでは、N3が3倍されるため、N4とN3の間違いが検出される可能性があるが、やはり他の桁との関係に依存する。これが必ず検出できるとは限らない。
検出できる可能性はあるが、必ずしも生成方法Bで検出できるとは限らない。
②奇数桁のうちの二つの桁の数字の順序を逆にする
例えば、N5とN1の順序を逆にする場合、生成方法Aでは、単純に数値の合計をとるだけなので、誤りが検出されない可能性が高い。生成方法Bでは、N5とN1に3倍を掛けた結果が大きく異なるため、順番が逆になったことによって影響が大きくなるため、誤りが検出される可能性がある。
生成方法Aでは検出できないが、生成方法Bでは検出できる。
③連続する二つの桁の数字の順序を逆にする
例えば、N4とN3の順序を逆にする場合、生成方法Aでは合計の影響が互いに打ち消し合い、誤りが検出されない場合がある。生成方法Bでは、N3の値に3倍の重みをかけているため、順序を逆にすると大きな差が生じ、誤りを検出しやすくなる。
生成方法Aでは検出できないが、生成方法Bでは検出できる。
よって、②奇数桁のうちの二つの桁の数字の順序を逆にするという入力ミスが、生成方法Aでは検出できないが、生成方法Bでは検出できる場合がある、という答えになる。
問4 [ケ]
図5を見た通りで、マウスカーソルから最も短い距離にあるのは②。
問4 [コ・サ]
使用頻度が低いので、マウスカーソルの位置から遠い場所に配置されている。それぞれ⓪①が正解。